【金子敦子さん連載】vol.11 めざせ! 憧れの木曽駒ヶ岳【後編】

金子敦子さんの大人のソトアソビ。
2023.08.22

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乗越浄土から、次は中岳の山頂に向かいます。
途中、朝露に濡れたチングルマの実が。チングルマは森林限界を超えた高山帯に生息する植物で、7〜8月に梅のような白い花を咲かせます。花の時期は終わっていて残念でしたが、実も風車のようで美しかった! 岩場で健気に咲く、かわいらしいイワツメグサも見られました。



中岳山頂に到着! 標高2925m。ひゃー高い!相変わらずまわりは霧に包まれていて、景色は見えません……。
めざす木曽駒ヶ岳山頂までは約50分の道のり。天候がいまいち、さらに高度のせいか金子さんの体調が万全ではないため、相談のうえ、やむを得ずここで引き返すことにしました。「残念ですが、またの機会にくればいいよね~」と気持ちを切り替えて。遠方だと「せっかく来たから」と無理をしがちですが、けがにつながることもあるので、山での無理は絶対に禁物です。不安に感じたらひきかえしましょう。




行きは通り過ぎた「宝剣山荘」でお昼。青空のような青い屋根が目印です。
金子さんは名物のビーフシチューを注文。「ビーフ、じゃがいも、にんじん、マッシュルーム、どれも具がゴロゴロ大きい本格派。山小屋とは思えないおいしさです」。
売店では手ぬぐいや木曽駒ヶ岳のバッジのほか、登山靴まで売っていました。トイレは200円で利用できます。


ストーブで体をあたためたり、甘酒を飲んだりしてゆっくり体を休めていたら、気づけば2時間ほどたっていました。たっぷりと時間をとって休憩したら、金子さんもすっかり元気になって、下山開始です。



帰り道も、チシマギキョウやシナノオトギリソウなど、たくさんの高山植物を目にすることができました。




霧が晴れるたびに、アルプスの雄大な景色が。「スイスってこんな感じなのかな?」と金子さん。
遠くから「ヤッホー!」と叫ぶ子どもの声が聞こえて、私達も思わず「ヤッホー!」。日頃は大きな声を出すことはほとんどないけれど、山なら大きな声を出してもOK! おなかの底から思いきり声を出したら、モヤモヤが吹っ飛んで行きました。




千畳敷カールの下部に近づくと、イブキトラノオの花が群生しているのを見ることができました。再び霧に覆われましたが、霧の中、風が吹くたびにそよそよ揺れる姿が何とも幻想的で、しばらく眺めていたほど。



千畳敷カールの最下部にある剣ヶ池に到着。ここに立つと、千畳敷カールが迫力を持ってそびえ立つ光景を見ることができます。「下から登山道を眺めると、ここを登ったのかと達成感がありますね」




「ホテル千畳敷」に戻って、館内にあるカフェ「2612 Café & Restaurant」で、名物「すずらん牛乳ソフト」を。「疲れた体に、コクのあるミルクの甘さ。おいしい~」。
ほかにも雪山をイメージした立体的なオムライスや中央アルプスの雪解け水を使ったコーヒーも人気。晴れた日は、中央アルプスの大自然を体感できるテラスでいただくのもおすすめです。

「カフェで同席した60代後半の登山ベテランご夫婦に、たくさん歩けるようになる体づくりの方法を教えていただきました。普段から山に登ること、階段を使うこと、ランニングをすること。日々の努力の積み重ねで、人生後半を元気に楽しむことができているそう。私も見習わなくては!」。山に訪れると、必ず猛者との出会いあり。私たちも猛者を目指して精進します!




路線バスで街まで戻ったら、高速バスに乗る前に、駒ヶ根駅近くの「Sink」に寄り道です。
ここは店主の沖倉さんがひとりで営むカフェ。以前、八百屋だった物件を見つけて、長野県・駒ヶ根市を拠点にする「FIELD WORK」がデザインから施工までを担当。2021年4月にオープンしたそう。


まずは伊那市のマイクロブルワリー「ペッカリービール」のクラフトビールで乾杯! 



地元のパン屋のカンパーニュにブリーチーズとみそ、きゅうりがのったトースト、キャロットケーキとカフェラテをいただいてひと息。「どのメニューも個性的でおいしい。沖倉さんの静かな接客も落ち着きます。今度は旬のフルーツを使ったデザートも食べてみたいです」

「Sink」から駒ヶ根バスターミナルまでは徒歩3分。乗ってしまえば、あっけなく新宿に到着です。

「今回初めて、地図と時刻表とにらめっこしつつ、私が一から行程を考えました。一週間かかってつくった、自慢の行程です(笑)」と金子さん。
「目指していた木曽駒ヶ岳には登れなかったけれど、お天気がいい日に、もう少しゆっくりのペースで、同じ行程でまた行くつもりです。山はいつでもそこにいて待っていてくれますから!登山は行程づくりから始まります。みなさんも、自分だけの行程を作って、山旅をしてみませんか?」

text:増田綾子
photo:黒川ひろみ

 

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2612 Café & Restaurant
長野県駒ヶ根市赤穂1 ホテル千畳敷内
https://www.chuo-alps.com/hotel/

 

Sink
長野県駒ヶ根市中央15-23
IG「@_sink._

Profile

金子敦子

Atsuko Kaneko

主婦。夫と娘との3人暮らし。看護師を経て日々の着こなしを自撮りで紹介するブログ『命短し恋せよ乙女★50代の毎日コーデ』をスタート。「あっこたん」の愛称で親しまれる人気ブロガーに。著書に『新 大人の普段着』(主婦と生活社)『お母さん、その服なんとかしよ!毒舌ムスメのファッションチェック』(飛鳥新社)がある。
Instagram:@55akotan

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