山形編vol.3 眠っていた古くて良い物を、再び人へと送り出す「発酵素材」
全国生産の7割を占めるさくらんぼをはじめ、フルーツ王国として有名な山形。
雄大な自然に加え、タイムスリップしたかのようなレトロな街並みの銀山温泉、クラゲの展示で知られる加茂水族館など魅力的な観光スポットが数多くあります。
今回案内してくれるのは金属工芸の工房とお店「汽水域」を営む太田さん。遠くの友人が遊びに来てくれたらおすすめしたい場所をイメージしてお店をチョイスしていただきました。
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今回ご紹介するのは、山形市の中心部から車で10分ほど、
新山という場所にある古道具のお店、「発酵素材」さんです。
汽水域の店に置いている什器の一部は発酵素材さんで求めたもの。
雰囲気がいいと評判なんですよ!
元々発酵素材さんの本業は、天然の素材で家を作る大工さん。
本筋のお仕事の中で古民家を解体する際に引き取った古道具を再び暮らしの中に届けたいと始めたのがこのお店なのだとか。
このお店も、解体した複数の蔵の木材を組み合わせて作られているそう。
柱の一本まで趣ある二階建ての店の中には
時を経てまさに発酵したような暮らしの道具がひしめき合っています。
この日は藍染めを集めた一角がありました。
その時々で店頭のラインナップが変わっていくので、
お出かけの際にはぜひInstagramなどもチェックしてみてくださいね。
眺めているだけでも幸せな気持ちになりますよ!
代表の高木さんに、お店に並べるものを選ぶ際になにか心がけていることはあるかお尋ねすると、興味深い答えが。
なんでも、民藝あるいは民具の良さとは何かをつかむために日本民藝館に何度か通い、
そこで感じ取ったものをベースにしておられるのだとか。
良いものをよくみて、何が良いと感じたのかを自分の中に蓄積していくのは
工芸の世界でも大切なことの一つ。
似通った部分を感じた気がして、嬉しくなった汽水域なのでした。
店内には様々な生活用品が並びますが、
陶器やガラスの食にまつわる器は数も多く並び、見応えがあります。
趣のあるカットグラスや、今ではあまり見かけない形のもの
気軽に取り入れやすい形の物など
個性豊かな器類が並びます。
昭和の型ガラスを利用した現代作家の作品なども。
古い陶器はかすかな歪みや色づいた貫入、剽軽さを感じるいびつさも愛おしいポイント。
絵付けのお皿などは、柄とお料理の取り合わせを想像しながら選ぶのも面白いものです。
発酵素材さんに置かれる器は素材にかかわらず
どれも机の上に一つ置かれているだけで
その器の周りがぼんやりと温かな光を放つような、
あるいは周りの空気がキュッと引き締まるような佇まいを感じます。
金属の物には仕事柄自然と吸い寄せられます。
古いものは作り方を考えながら眺めるのも楽しみの一つ。
足踏みミシンは、古いもの好きが一度はあこがれるアイテムではないかと思っています。
角ばったフォルムが魅力的な革のカバン。
扉に型ガラスが使われていたりと、ふとした部分にこだわりが感じられます。
今回の私の目当ては調味料などを食卓に添える手塩皿や豆皿などの小さなもの。
こんな可愛らしい器をお迎えしましたよ。
そして、折角なら!と見せて頂いたのが
最近出来上がったばかりの天然素材のサウナ!
ちょっとだけ中を見せて頂いたのですが、木の香り漂う気持ちのいい空間でした。
実はお店の周りの開けた一帯が発酵素材さんに関わる敷地になっていて、
木を切って製材して…といった設備も備わっているのです。
これから一部をキャンプができるように整えたりといった
楽しい展開を考えておられるそう。
なんでも、暮らしがあって、仕事があって、そして自然があってという
現代の里山のような場所にしたいのだとか。
場所を作り出すことのできる大工さんというお仕事が軸にあるからこその
心にほっと馴染む美しい土地と空間で、ぜひお気に入りを探してみてくださいね。
〒990-0015 山形県山形市大字新山166-1
TEL:023-616-4528
営業時間:金・土・日・月 10:00-18:00
定休日:火・水・木曜日
https://www.kominkalife.jp/
Instagram:@hakko_sozai
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