山形編vol.2 ずるずる、もぐもぐ食べられる山形の絶品ご当地グルメ「肉そば・鳥中華 ざぶん」
全国生産の7割を占めるさくらんぼをはじめ、フルーツ王国として有名な山形。
雄大な自然に加え、タイムスリップしたかのようなレトロな街並みの銀山温泉、クラゲの展示で知られる加茂水族館など魅力的な観光スポットが数多くあります。
今回案内してくれるのは金属工芸の工房とお店「汽水域」を営む太田さん。遠くの友人が遊びに来てくれたらおすすめしたい場所をイメージしてお店をチョイスしていただきました。
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今日ご案内するのは、山形市の中心部から少し離れた桧町にある
肉そば・鳥中華のお店 ざぶんさん。
肉そば・鳥中華は、山形のご当地グルメとして根強い人気のある麺料理です。
どういう食べ物なのかもあわせてご紹介しますね。
住宅街の中に不意に現れる、木を基調としたカフェのような外観の建物に生成色の暖簾がひるがえります。
ざぶん、というお店の名前は温泉好きの店主、我妻さんが
温泉につかるような心地よい場所にしたいとの思いからつけた名前なのだとか。
子供たちが親しみやすいようひらがなに、という我妻さんのやさしい視線もにじみます。
店内もいかにもお蕎麦屋さん!というイメージではなく、
一人でふらりと入りやすい雰囲気です。
カウンター席や、涼しい時期に利用できるテラス席もありますよ。
早速、冷たい鳥中華と冷たい肉そばをお願いしました。
まずは鳥中華から。
麺は中華麺で、親鳥からとった出汁ベースの甘めの和風のスープが組み合わされた
「蕎麦屋から生まれたラーメン」とも呼ばれる料理です。
トッピングは、親鳥のチャーシューに天かす、海苔、白葱、三つ葉。
私は初めてざぶんさんに伺った時からこの鳥中華の温かいものが大好きで、
いつもそればかり頼んでしまいます。
けれどこの日は、九月の半ばとは思えない暑さ。
初めて冷たいバージョンを頂きましたが、
温度だけでこんなに味わいが変わるのか!と驚いてしまいました。
鶏の油の舌触りも変わるので、ぜひ比べて頂きたいおいしさです。
そしてこちらはつったい(冷たい)肉そば。
そば粉を使用した、いわゆるお蕎麦が冷たい出汁の中に泳ぎ、
上にはシンプルに白ネギと、これまた親鳥のチャーシューがトッピングされています。
冷たいそばが冷たい出汁に入っている、という組み合わせは、
全国的にも珍しいのではないでしょうか。
ちなみにこのざぶんさんの親鳥(卵を産んだ後の鶏)のチャーシュー、
スープに使う出汁を取った後に味をつけたもの。
見た目の薄さに反した歯ごたえがあり、出汁を取った後とは思えないほど鶏の味が濃くて存在感抜群です。
山形ではこの鶏チャーシューが良く食べられていて、単体でお総菜になったりもするんですよ。
近年は県内各所で食べられるこの肉そば、もともと山形県の河北町という場所の名物で、
2~30年前は河北までいかないとほぼ食べられない物だったのだそう。
ご店主は高校時代、授業が終わった後に山形市内から自転車で(!)2時間くらいかけて河北町まで肉そばを食べに行ったこともあるのだとか!
ざぶんさんの肉そばの麺は他店と比べてもかなり太目の田舎蕎麦で、みっちりとした噛み応え。
噛むほどに蕎麦の香りが立ち、食べた!という満足感があります。
どちらのお料理も、「うちは正統派、というわけではない」と話す我妻さん。
それぞれの料理の老舗、と呼ばれるお店とはトッピングやスープの構成が少し異なるのだとか。
同じ料理に店ごとの多様性があるのは、その文化に人気と厚みがあるということ。
山形に来たら、食べ比べも旅の楽しみの候補に入れてくださいね。
ざぶんさんでは鳥中華と肉そばはそれぞれ冷・温を選べますが、鳥中華は元々温かい料理。
ですが冷たい鳥中華があることを、私たち山形の住人はあまり疑問には思わないのです。
なぜなら、山形県、特に内陸部が、すごく、すごく、すごく!暑い場所だから!
2007年に記録が破られるまでのかなり長い間、日本で観測されたなかで最も高い気温は山形市の40.8℃だったんです。
東北の雪国というイメージとは裏腹に、毎年溶けちゃうほど暑いのが山形の夏。
そこで発達したのが“冷やしラーメン”や“だし”をはじめとした冷たい食べ物です。
(ついでに冷やしシャンプーなんて物もあるので、気になる方はお試しあれ)
そんな背景もあって、鳥中華がひんやり冷えて出てくると、
違和感なくその涼やかさに嬉しくなるのです。
ざぶんさんでは肉そば・鳥中華のテイクアウトもされているのですが、
実はそう遠くない時期に
テイクアウトと、我妻さんが心を寄せる山形のフルーツなどの農産品、
かつてざぶんさんで販売されていたおいしいスイーツを軸とした新しい形態のお店をオープンなさる予定なのだとか。
SNSなどでも情報を発信なさっているので、こちらもぜひチェックを。
〒990-0813 山形県山形市桧町3-9-2
TEL:023-600-4187
営業時間:11:30-15:00
定休日:月・火曜日
https://www.facebook.com/nikusobazabun/
Instagram:@zabun_yamagata
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