高岡(富山)編vol.4 1939年創業の金属工芸品「炭谷三郎商店」のショップ兼ギャラリー「SSS(エスエスエス)」
富山県の北西部に位置する高岡市は「万葉集」の代表的な歌人大伴家持が風光明媚な景色を数多く歌に詠み、万葉ゆかりの地として有名です。400年余りの歴史を持つ「歴史都市」として歴史や文化が町の様々なところで息づいています。
今回の案内役は以前の連載で富山市の素敵なスポットをご紹介いただきました、生花店を営んでいる「Atelier ANORM(アトリエアノーム)」の西淵吏英さん。歴史都市高岡に是非足を伸ばしてみてくださいね。
鋳物のまち、高岡。鋳造、彫金、研磨、そして着色。幾つにもわたる作業は昔から分業されてきました。職人の高齢化とともに廃業する工場もありますが、現在も鋳物に従事している人々は時代の流れを掴んで自社らしいものづくりやアプローチに力を入れています。
「SSS」(エスエスエス)は2023年にオープンした、「炭谷三郎商店」のショップ兼ギャラリーです。自社で企画した銅・錫製品をはじめ、長年関係を築いてきたデザイナー馬場忠寛の製品なども取り扱いしています。
店主の炭谷達郎さんの曽祖父に当たる三郎さんが自身の名前を掲げて「炭谷三郎商店」を創業し問屋業を始めたのは1939年。当時は銅器の花器や置物を取り扱っていましたが、達郎さんのお父さま(3代目)が会社を引き継いだ頃から自社企画に力を入れ、人々のライフスタイルにあった日用品、暮らしの道具を提案するようになって今に至るそうです。
達郎さんは2014年に高岡に戻ってきたUターン組。家業を継ぐことを両親は求めず都会で会社勤めをしていた頃、付き合いがあった錫工場が廃業し父が問屋業だけでなく製造業も始めたことや海外から商品の問い合わせがあることなどを知ります。当時自動車部品メーカーで輸出関連業務を担当していた達郎さんは、輸出手順や通関書類などの知識にも長けており両親の力になれるのではないかと思ったこと、高岡のゆったりとした時間の中で自分の暮らしを見つめたいと思い富山に戻ることを決意したそうです。家業を手伝いながら今後の方向性について考えていた矢先、デザインや写真などを学んでいた弟の周也さんも帰富したことでいよいよお店をする方向性が固まり、炭谷三郎商店は「問屋」+「製造」+「小売」まで一貫して取り組んでいけるようになりました。
鳥獣人物戯画から飛び出してきた猿、兎、蛙がお香立てのモチーフに。錫製品は企画から製造、卸業務まで全て炭谷三郎商店が行い、SSSでも販売をしています。
真っ白の壁とモルタルの床でシンプルでありながら所々に木が使われていることで温かみも感じられる店内。奥のカウンターは喫茶スペースになっており、コーヒーを飲むことができます。豆は達郎さんの奥さまである美月さんの自家焙煎珈琲豆屋 「mani coffee(マウニコーヒー)」が焙煎しています。
パッケージデザインやお店のホームページなどビジュアル関連は周也さんが担当。
隣の小さな小屋「TRUNK」も最近オープンしたばかり。こちらは達郎さん・周也さんが小さいころ自宅の一角で雑貨店をしていたお母さまがお店を再開し、県内に縫製を頼んでいるオリジナルバッグや国内外の器や雑貨など手仕事の温かみを感じるセレクトになっています。SSSとTRUNKの間にはタープを張ることができ、引き戸を開けると二つの建物に一体感が生まれるような設計になっています。お茶することができたり、イベントを開催したり、この場所も人々の生活を豊かにするきっかけになればと話してくれました。
家族がそれぞれが得意なこと、持ち味を活かしあいながら楽しんでいる炭谷一家のものづくり。高岡のお土産にもぴったりなのでぜひお立ち寄りください。
「SSS」
富山県高岡市問屋町76
営業時間:11:00-18:00
定休日:金曜日・土曜日
Instagram:@sss_toyama
「TRUNK」
富山県高岡市問屋町76(SSS小屋)
営業時間:12:00-17:00
定休日:不定休
Instagram:@trunk_generalstore
MAP:E
日本、〒933-0026 富山県高岡市片原町1145
日本、〒933-0029 富山県高岡市御旅屋町30−1
日本、〒933-0029 富山県高岡市御旅屋町1202
日本、〒933-0023 富山県高岡市末広町1014−15
日本、〒933-0804 富山県高岡市問屋町76
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