ハワイで財布を気にせずごはん会するなら自炊もアリ!
Aloha、皆さん、お元気ですか? トラベル&料理・編集ライターの赤澤かおりです。
2024年の年末、久々にハワイに出かけてきました。久しぶりのハワイ旅になってしまったのは、なかなかまとまった時間がとれなかったのもありますが、なんといっても、皆さんもお悩みなのではないかと思われる円の弱さ。ですが、そんなことを言っていたらどんどんハワイが遠くなり、気持ちも落ち込むし、年もとっていくわけで……。こうしちゃいられないってことで、自分に足りなかったことを埋める旅をしてきました。
今回は、1か月間という長めの滞在。その間に体験してきたあれこれを、先月の連載でもご紹介しましたが、今週はそのパート2を。おいしいもの、素敵なもの、感激したものなど「ハワイの今」を4回にわたってお届けしたいと思います。
キッチン付き滞在型ホテル
Ka Laʻi Waikiki Beach
さて、今日のテーマは「ハワイで自炊」です。なんたって物価が高い。そして円も弱い。でもハワイらしさを楽しみたい。というわけで、今回は滞在中、結構頑張って自炊しました。そんなときにちょうどいいのが、キッチン付きの滞在型ホテル。
今回私が泊まったのは「カ・ライ・ワイキキビーチ LXRホテルズ&リゾーツ」。こちらは、2024年にトランプタワーから生まれ変わった、世界にまだ15軒しかないヒルトンのラグジュアリーブランド「LXRホテルズ&リゾーツ」のホテルで、現在、着々とリノベーションが進んでいます。実際に居住している方もいるので、キッチンの充実度は言わずもがな。広々としたキッチンに大型冷蔵庫、ガスオーブン、ミキサーや炊飯器といった調理道具、ワインセラーまで完備されている部屋も。腕がなります!
ハワイの食材を買ってきてあれこれ試しながら料理ができるのが楽しいので、以前から滞在型ホテルは利用してきましたが、改めて、こういう時期こそキッチン付きの部屋で“暮らすように過ごす”のはありだなぁと実感しました。
スーパーで買ってきたステーキ肉も、ほぼオーブンにお任せで、すぐごはん! という気楽さ。レストランで食べるよりも、お値段が安いのは当たり前。とにかくこのホテルのキッチンが充実しているので、たいしたことをしなくても簡単においしいステーキが焼けるんです。
「キッチン付きの部屋に宿泊したけれど、結局使わずに終わってしまった」という話をたまに聞きますが、それはもったいない! スーパーで肉や魚、野菜、冷凍もの(アイスクリームや珍しい冷凍食品など)などを買って使ってみると、現地をより深く知ることができるうえ、食の楽しみも数倍違ってくると思います。
冷蔵庫には、ハワイのビールを買い揃えておき、毎日、サンセットタイムにこれらを開けるのが楽しみでした。
昼は昼で、友人がランチを作りに遊びに来てくれて、海を眺めながらラナイ(ベランダ)でのんびりと。
レストランには何時間も居座れないけれど、友人作のおいしいパスタに舌鼓を打ちながら、時間を気にせず、互いの近況報告をする優雅な時間は、キッチン付きの部屋ならでは。お互いの家を行き来するように過ごせたのも、ありがたかった滞在。
ワイキキでこれだけ充実したキッチンがあり、広々としていて、2ベッドルームの部屋なら7人まで泊まれることを考えると、家族で行くなら意外とコスパもいい! 次のハワイ旅でもここはマストだなと、心にメモ!
ではここで、ステーキのごはん会の準備風景をチラリとご紹介。この日、とっても上手にステーキが焼けたので、調子に乗った私は、その後も現地在住の友人を部屋に招き、何度もステーキのごはん会を開催したのでした。
前菜には、ポケ、コーン寿司、野菜のマリネなどのデリや、チーズ、サラミ、オリーブなどを。「ホールフーズマーケット」や「フードランド ファームズ」などアラモアナセンター近辺のスーパーで調達しました。
この骨付きアンガス牛のリブアイ(ロース芯)は、穀類を食べて育った赤身と脂身のバランスがいいお肉で、$32.29(友人夫婦が買ってくれました〜)。
さっそくホテルの部屋のキッチンで料理開始。お肉を室温にもどしたら、全体に塩を適量ふります。こしょうは粗挽きをガリガリしながら挽いて両面にまんべんなく。
骨部分にアルミホイルを巻いたお肉を、オイルをひいて熱したフライパンで表面の色が変わる程度に両面さっと焼いて、旨みを閉じ込めます。
お肉が大きすぎてフライパンに入りきっていませんが(笑)、このあとオーブンで焼くので、だいたいで大丈夫。
オーブン対応のアルミ容器に入れて、好みのハーブをどさっと。オリーブオイルを軽くまわしかけて356℃(日本の180℃)に温めておいたオーブンに入れます。このアルミ容器は「ロングスドラッグス」や「ウォルマート」などのスーパーで売っていて、ひとつ買っておくと、洗って何度か使えるので便利です。
待つこと30分。焼き上がりました〜。いい匂い! 時間と温度は、肉の大きさや部位にもよるのでご参考まで。
すぐにアルミホイルをかぶせて少し休ませ、肉汁を落ち着かせます。最初に高温で焼いて、一旦出して少し休ませてから温度を下げてまた焼くという場合もありますが、私は、気楽に一気に焼くほうが気に入っております。
ちょうどいい感じに焼けました〜。かなり大きいお肉だったので、5人で食べても余るほどのボリューム。これをレストランで食べたらいくらになるか、想像するだけで恐ろしい……(笑)。
骨の周りが一番おいしいので、料理当番のご褒美ということでいただき!
ハワイ在住の友人宅での
朝・晩ごはん・おやつ
今回は長旅だったので、途中、友人宅にも数日間、泊まらせてもらいました。もちろん、キッチンを借りて料理も! 買い出しから始まり、現地の食材であれこれメニューを考えるのはとにかく楽しい!
●Special Dinner
今回はちょうどサンクスギビングの時期だったので、友人がターキーを焼くお手伝いも。初めての体験にテンション上がりまくりでした。その様子をご紹介しますね。
まずはブライン液と呼ばれるハーブ、塩、こしょうなどが入った液体にターキーを一晩つけ込みます。
友人は、グレービーソースもクランベリーソースも手作り! さすがです。
ターキーの中に詰め物をしてローズマリーをのせ、オーブンで焼きます。
外はこんがり、中はジューシーでふわふわの焼き上がり!
サンクスギビングといえばのスイーツ、パンプキンクランチはお客様の手作り。これもめちゃくちゃおいしかった~。
●Breakfast
そして、ハワイにいるときだけちゃんと朝ごはんを食べる私のために、友人が用意してくれるモーニングプレートには、毎朝、庭で採れたパパイアが。日本では高価なパパイアを、毎朝こんなふうにいただけるとは、さすがハワイ〜! ハワイのスーパーでもお手頃価格で売っているので、カットされたパパイアなどぜひ試してみてください。
ある日の朝ごはん。庭のパパイア、トーストくり抜き卵のっけ、アイスコーヒー。
庭のパパイア、2Egg、トーストにサワークリームとサンクスギビングのクランベリーソースのせ。
サンクスギビングの残りのハムとサワークリームを、サワードゥブレッドにのせて。
ハワイにいるとなぜだか2Egg。この日も庭のパパイアと、クランベリーソース&サワークリームをのせたブレッド。
●Dinner
そして、日々の晩ごはんは、友人と私の合作。サンクスギビングのときの大きなハムの残りでチャーハンを作ったり、ファーマーズマーケットで購入した野菜を蒸してシンプルに塩でいただいたり。その日あるものでチャチャッと作るのが楽しい自炊でした。
アスパラガスは長いままバターでソテーし、塩、こしょうをふるだけでごちそう。
カリフラワーは塩、こしょうしてオリーブオイルをまわしかけ、厚手の鍋で蒸し焼き。クタクタにしても少し食感が残ったくらいでも。
サンクスギビングのターキーとハムを使ったチャーハンや焼きそば。柿のサラダやナスの煮物を副菜に。
この友人宅での食卓で注目していただきたいのは、ハワイアナと呼ばれるヴィンテージの器やカトラリー。ヴィンテージのお店を切り盛りする彼女は、それらを毎日、朝も昼も夜も、惜しげなく使っているのです。そのたびに私はいちいち目を丸くして「こんな高価な器、使っていいのー!?」と感動していました。
ヴィンテージ好きの私ですが、ここまで日常的にじゃんじゃん使っている姿に感激。やっぱり、器は使わないとね。
●Sweets
おやつタイムに用意してもらったのは冷凍アップルパイ。ハワイ島の北部にある1932年創業の「Holy's Bakery」のもので、昔からよく見かけてきたこれをようやく堪能。オーブンで焼いてアイスクリームを添えていただきました。
ハワイ在住の友人宅で
料理教室開催!
また別のハワイ在住の友人から「料理教室をやってほしい!」というお申し出をいただき、たいしたことはできないけれど、ゆっくり話でもしながら一緒に料理作って食べようかと2泊3日でお世話になりに行きました。
まずはスーパーで買い物。あれやこれやと数日分の材料を一気に買い込みました。ビーツや香菜はよく買うもの。また、アメリカは脂少なめのいい赤身がお安く手に入るので、私は結構これも買います。調理法は簡単。しっかり室温にもどし、塩をしてハーブとともにオーブンやフライパンで焼くのみ。玉ねぎやにんじんなどを一緒に焼いてもいいですし、バターをちょっと落としてもコクが出ておいしいです。ビーツは蒸し焼きにすることが多く、香菜は生のままサラダにしたり、肉や魚と合わせたり。それに何かしらの柑橘類をプラスします。
●Cooking Class 1日目
夕暮れ前からローカルビールで乾杯しつつ、仕込みを開始。
この日のメインは、赤身のステーキ。ポーション小さめの赤身の肉に、ハワイの粗塩、粗挽きこしょうをして、庭のローズマリーとタイム、オリーブオイルとともに、フライパンでさっと強火で焼いてから、ホイルで包んで余熱で火を通しました。中がほどよくレアで、いい感じ〜。
副菜に使ったのは、チャイニーズキャベジと呼ばれる、日本でいうところの白菜。ハワイで売っているのは小さめで扱いやすく、刻んで塩をふってしんなりしたものをサラダ代わりに食べたり、蒸したり、スープにしたり、いろいろ使えて便利です。この日はカルアポークと交互に重ねて蒸すだけの簡単料理。カルアポークは、この豚ちゃんマークのものを長年愛用。昔からこの組み合わせが大好き。
ちなみに翌日は、このチャイニーズキャベジとカルアポークの重ね蒸しの残りにトマトを加え、パスタソースにしました。
ヨーグルトを水きりしたものをチーズ代わりにのせて、簡単パスタランチです。
●Cooking Class 2日目
次の日の料理教室のメインは、チキンのハーブ焼き。前日のうちに、鶏もも肉に塩、こしょうして、レモン、オリーブオイル、庭で摘んだタイムで一晩マリネしておきます。
当日、レモンをはずして鶏肉の皮目を上にしてオーブンへ。焼き目がついたらレモンをのせてさらに5〜6分焼いて完成。このときは、356度(日本の180℃)で35〜40分焼いたと思います。鶏肉は中まで火が通りにくいので、じっくりと(温度と時間は参考までに)。
すべて仕上がったら、食卓に並べて乾杯~。写真手前の四角いものは厚揚げ。ハワイのスーパーにはだいたい厚揚げが売っているので、フライパンで焼き目がつくまで焼いてしょうゆをかけて食べたり、粉チーズをふったりしてつまみにしています。
●Sweets
友人の家にも立派なオーブンがついていたので、大好きな「ハワイアン・パイ・カンパニー」の冷凍アップルパイもスーパーで購入。「ハワイアン・パイ・カンパニー」は、オアフ島の西、カリヒ地区にある老舗の焼き菓子屋さん。こういう冷凍のものも販売していて、なかなかにおいしいんです。ちょっとお値段高めでしたが、久しぶりに食べられてうれしかった〜。
また、友人がアップルバナナ好きということで、それを使ってバナナブレッドも焼いてみました。アップルバナナは、通常のバナナよりやや酸味があって小さめ。アルミのミニ容器に入れて焼くことに。
が、友人宅には、はかりがなく……。仕方なしに計量カップやティースプーンなどで置き換えて計算しながら、なんとか完成。旅先ですから、ないものがあるのは当たり前。逆にこういうことがあると燃えるタイプなので、ないなりに考えて試してみたら意外とあっさり作れました。
出来上がりはしっとり、ふわふわ。砂糖がきび砂糖だったのでかなり茶色になりましたが、それもまたハワイっぽくていい感じ。
●Breakfast
こちらは、友人が朝ごはんに作ってくれたベリーとタロ、ハニーのボウル。これ、すっごくおいしかったなぁ。また泊まりに行ったら作って欲しい!
……と、料理教室で作ったものは、日本で当たり前に作っていたなんでもない料理ばかりでしたが、友人が喜んでくれて「毎日料理を頑張ってみる!」と言ってくれたのはうれしかった! 私としても、趣味であるキッチンでの時間がハワイで増え、オーブンの温度や時間、現地の食材、粉類、牛乳やクリーム関係などを使った料理をいろいろ試せたのでありがたかったです。おかげで、ハワイ滞在中の切実な問題である食費も浮きましたし(笑)。
これからの旅は、おいしいレストランを知っておくのも大事だけれど、現地のものを使って、チャチャッと作れる料理のレパートリーをいくつか持っておくのも大事だなと思った滞在でした。キッチンを貸してくれた友人たち、いつもありがとう!
Ka Laʻi Waikiki Beach, LXR Hotels & Resorts
223 Saratoga Rd., Honolulu
TEL:808-683-7777
http://kalaiwaikiki.jp
Ka Laʻi Waikiki Beach, LXR Hotels & Resorts 日本総代理店(株)ジェイバ
TEL:03-5695-1770
Profile
赤澤かおり
料理と旅、暮らしまわりのことを中心に執筆・編集を行う。ハワイ渡航歴150回以上。『THIS IS GUIDE BOOK IN HAWAII』『Travel Hawaii』(ともに主婦と生活社)、『Hawaii note ハワイ手帖』(KADOKAWA)などハワイにまつわる著書多数。近著に『人生にはいつも料理本があった』(筑摩書房)、編著に『いざ、豊島屋』(KADOKAWA)がある。
Instagram「@kaoriakazawa.akalohasunny」
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