若桜町(鳥取)編vol.2 森の中で心も体も満たされる「ほっこりよもぎ家kizuku」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2025.06.14

鳥取県といえば砂丘を思い浮かべる方が多いではないでしょうか。他にも日本海の荒波によって作られたダイナミックな景観と透き通った美しい海の「浦富(うらどめ)海岸」や中国地方最高峰の「大山(だいせん)」など自然の数々が楽しめます。
そんな鳥取県の東南端に位置し、岡山県と兵庫県の県境に接する若桜町(わかさちょう)。イラストレーターでもあり若桜町で「ギャラリーカフェふく」を営むひやまちさとさんに素敵な旅のコースを考えていただきました。是非旅行の計画を立ててみてくださいね。
 



鳥取県若桜町でギャラリーカフェふくを運営する、イラストレーターのひやまちさとです。鳥取県は海と山に囲まれた日本で一番人口の少ない県ですが、自然や食材の豊かさ、静かな環境など、ここだからこそ生まれるお店や場所があります。2回目は私が暮らす鳥取県の東部エリアにある若桜町にある隠れ家のような、よもぎ蒸しのサロンをご紹介します。



ギャラリーカフェふくがある若桜駅前から車で約10分。標高が1,510mあり登山でも有名な氷ノ山(ひょうのせん)にあるのが「ほっこりよもぎ家kizuku」です。かつては観光客向けに清流の魚や山菜などを提供する茶屋だった場所を改装した大きな赤い屋根の一軒家です。スキー場のゲレンデよりも少し上の場所にあることから冬場は雪に閉ざされてしまうため、この場所では4月〜11月の営業となります。12月〜3月は山からおりた別の場所で営業されています。私が訪れたのは4月の終わり頃、満開の桜が風で散り始めていました。山の春はゆっくりだということを、あらためて知る桜吹雪でした。



初めて「よもぎ蒸し」を知ったのは、こちらのサロンの施術からでした。もともとが冷え性だったのに加え、若桜での暮らしは常に冷えとの戦いです。そんな体質を改善したい思いと、よもぎの香りが美味しそう、というイメージで予約をしました。サロンの中はよもぎの香りに満ちていて、懐かしいような、暖かいような気持ちになります。私の場合はオーナーの高濱ルミ子さんが育てているよもぎや和のハーブがブレンドされたお茶をいただきながら、今日の体調などをお伝えしつつ、40分のよもぎ蒸しと腸もみマッサージを選びます。他にも足ツボマッサージや、ヘッドセラピー、2名で受けられるメニューなどもあります。



よもぎは古来より、食用はもちろんその効能が体に効くことが伝わっている薬草です。生薬として体を温める性質があり、血行を促進します。ここでは、高濱さんが農薬や除草剤を使用しない方法で栽培した、細菌検査と残留農薬検査をクリアしたこだわりのよもぎを使用しています。高濱さんの故郷である若桜町の綺麗な水と空気と土があったからこそ生まれたよもぎ。ひとつずつ手摘みしたよもぎは時間をかけて自然乾燥し、成分が溶けやすいように粉砕して使用しています。粉砕したものをさらにふるいにかけるとフワフワのもぐさに。よもぎ蒸しには、よもぎの葉、蕾、このもぐさの部分も一緒に使用しているどうです。



衣服を全てぬいで、マントに着替え、座面に穴が空いた専用の椅子に座ります。椅子の中には、煎じたよもぎがぐつぐつと温められ、徐々に蒸気が上がってきて、マントの中に満ちていきます。そのうち、じんわりと汗をかきます。気になる部分を温めたりしながら、座る位置を変えたり、マントの中に潜ってよもぎの香りを頭や顔にもまとわせます。窓の外には新芽がではじめた木々や、野鳥たちのおしゃべり、山からの雪解け水が流れる音が聞こえてきます。時折、よもぎのお茶をいただきながら心も体も次第にほっこりしてくるのでした。


よもぎ蒸しで温まった後、別室で腸もみマッサージを受けます。お腹の全体に優しく触れながら、腸のハリや固さ、位置などをゆっくり時間をかけて診てもらいます。そして、おへその周辺から腸の流れに沿ってオイルを使いながらのマッサージが始まります。私自身、子どもの頃から便秘がちで、月に1回は脂汗を流しながら長時間続く痛みとともにお腹を下してしまう症状に悩んでいました。水分や運動などを気にかけていたのですが、まさか腸をマッサージすることで長年の症状が改善していくことができるなんて。自身の体に向き合うきっかけや、その方法の道筋をこのサロンで知ることができ、私の生活は本当によくなりました。


私の生活には欠かせなくなっている、ほっこりよもぎ家kizuku。オーナーの高濱さんがサロンを始めたきっかけをお伺いしました。2018年9月にサロンをオープンする以前、高濱さんは看護師やブライダルなど、人の健康や幸せをサポートする仕事に携わっていました。結婚後に妊活をする中で、医療の力だけでは赤ちゃんが来てくれないことに悩んでいました。その後、自分自身の体と向き合いながら、体を温めることや、体温を上げることを意識した生活を取り入れていきました。そして赤ちゃんを授かったのですが、産後の体のダメージは思った以上だったことや、ご友人が亡くなられたことをきっかけに、母親が元気なことが家族を幸せにする。産後も頑張り続けるお母さんたちに何かできることはないかと考えたとき、よもぎ蒸しと出会いました。体を温めながらよもぎの力をプラスして子宮をケアしていくこと。使用するよもぎは体内に届けるものであることから、自分の手でよもぎを栽培していくことも始めました。そのよもぎを使った入浴剤やお茶なども人気です。また腸のケアにも着目し、消化器官の働きをよくすることが、体の免疫力や、自律神経を整えるお手当になることも大切にしています。高濱さんの施術を受け、腸が整うと心も穏やかに過ごせることを私はとても実感しています。


若桜町に移住して8年になる私は、振り返れば、高濱さんのおかげで産後のケアや自分の健康と向き合う時間を得ていました。日本で一番人口が少ない鳥取県、しかもこんな山の中で、とても充実した暮らしを送っていられるのは、この土地の魅力を知る人々が大切に育ててきた素材や場所のおかげです。ぜひ若桜町へお越しの際は、リトリートのつもりで2泊くらいされるのがいいと思います。その際お泊まりはぜひ、当店の「泊まれるギャラリーはち」へどうぞ(笑)。


 

 

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ほっこりよもぎ家kizuku

鳥取県八頭郡若桜町つく米635-219
TEL:080-7822-4941
※施術中は出られないことがあります。また、予約や施術に関すること以外の問い合わせはメールやLINEを利用
※男性の予約は、カップルさん・ご夫婦・お客様のご紹介の方のみ
営業日:HPの営業日カレンダー確認
https://kizuku.asuhare.jp/
Instagram:@hokkoriyomogi
 
 MAP:B

日本、〒680-0701 鳥取県八頭郡若桜町若桜396

日本、〒680-0728 鳥取県八頭郡若桜町舂米635−219

日本、〒680-0701 鳥取県八頭郡若桜町若桜379

日本、〒689-1433 鳥取県八頭郡智頭町埴師655

日本、〒689-1463 鳥取県八頭郡智頭町新見180

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