金子敦子さんと探す、ニッポンのイイモノ Vol.2 シルクの産地「桐生」へ(前編)

金子敦子さんと探す、ニッポンのイイモノ
2025.07.01

この連載では、日本のさまざまな産地で職人さんによって丁寧に実直に作られてきた素敵なモノを知ってほしい! 高い品質の伝統生地や工芸品の素晴らしさや作り手のことを、もっと皆さんにお伝えしたい! そんな金子さんの熱い思いを、発売中の『新 大人の普段着<春夏編> 金子敦子さんが愛用しているニッポンのイイモノ』より一部抜粋してお届けします。第2回はシルクの産地「桐生」訪ねます。

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<作り手に会いに行く!>

歴史が息づく桐生で
日々着られるシルクの服を

「SILKKI」川上由綺さん


その昔、シルク織物の一大産地として栄えた群馬県桐生。洋装化や安価な輸入糸の増加で需要が減り、養蚕農家や織物メーカーの多くは廃業。主力は化繊織物へと変わっていきました。その中でシルク生地を織り続けてきた「桐生整染商事」から2020年に誕生したブランドが「SILKKI」。日本とフィンランドでテキスタイルを学んだ川上由綺さんが企画や製織、ディレクションを担っています。

「蚕を育て、繭を採取してから糸を紡ぐシルクは、ほかの繊維に比べて手間がかかるので高価。カジュアルに身につけてほしいという思いで自宅で洗える耐久性のある生地を作りましたが、価格の都合で生地での販売が難しくて、自社製品を作って販売することにしたんです」

学生時代から環境問題に関心があり、土に返る素材に注目していた川上さん。加えて10年前、体の不調をきっかけにシルクを常用して症状が和らいだ経験から、このよさを多くの人に体感してほしいと考えたそう。

「吸湿・放湿性にすぐれているため蒸れにくく、保温性も高い。においや紫外線を防ぎ、保湿性もある。これらは蚕が自分の身を守るために作ったもの。命に感謝しながら作っています」

糸から服になるまでの工程のほとんどを桐生市内で行うのも特徴。それにより移動にかかるCO2を削減しています。ほかにも必要な分だけを作ることで極力廃棄を減らす、裁断くずでブランケットを作るなど、環境に配慮したものづくりを追求。今後も川上さんの芯のあるものづくりが楽しみです。


上/工場にはドビー織機(たて糸を上下させる装置がついた織機)が8台。「SILKKI」の製品はそのうちの2〜3台で織るそう。下/パンチカードに左の機械で穴を開けて織り方のパターンを記録し、織機にセットして使用。


上/ブランド名は「SILK」と桐生の「KI」を合わせて川上さんが作った造語。下/「昔ながらの織機や機械は今のものと違って歯車で調節しているので、壊れても部品さえ替えれば長く使えるんです」(川上さん)

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まとうとふんわり、気持ちいい
自宅で洗える国産シルクブランド
「SILKKI(シルッキ)」のウェア

50代で軽さと気持ちよさのとりこになったシルク。海外産のイメージがありましたが、群馬県桐生市で生まれた「SILKKI」を知って、国産シルクがぐんと身近になりました。

「シルクをもっとカジュアルに」をコンセプトに作られる服は、すぐ普段着に取り入れたくなるものばかり。肌に当たる面は放湿性と保温性にすぐれたシルク100%。シルクの特性で夏は熱や汗を放湿して、冬は体を温めるので、一年中気持ちよく着ることができます。自宅で手洗いできるのも高ポイント。 ブランドを象徴する「シルッキパンツ」は年代や体型を問わず、どんな人にも似合う一本。軽くて心地よいのに加え、上品なシルクの風合いで、きれいめにはけるのも嬉しいですね。


襟元の控えめなあきとフレアスリーブがエレガントなシルクリネンのチュニックは「シルッキパンツ」と相性抜群。「涼しげなグレーとサラリとした肌ざわりが春夏にぴったり。ほどよいきちんと感も◎」


軽く、やわらかく体を包むシルクのサーマルトップスとシルクリネンの「シルッキパンツ」、足元まで白で統一。「肌寒い日は顔色も気持ちも明るくなるイエローのシルクコットンストールをひと巻き」

裁断くずから生まれたブランケットをふわり


製造の際に生じた裁断くずを再生させた一点物のブランケット。無数の針で繊維同士を絡み合わせて作られている。「表がシルク、裏がウールでふんわりやわらかく、暖かい。落ち着いた色合いも好き。マントのようにはおっても、ラグとして床に敷いても」

直接、肌に触れるものこそシルクを


内側がシルク、外側がコットンのソックス。紡績時に発生する落ち綿を撚り合わせたリサイクル糸を使用。「汗をかいてもサラサラ。足袋型もあるし、色も豊富で選ぶのが楽しい」


シルクの気持ちよさを最も体感できるインナー。「ずっと身につけていたいほどしっとりなめらか。トップスは襟ぐりがきれいなので、ジャケットのインナーとしても活躍しそう」

 


 

\ 金子さんおすすめ! /
「桐生」で立ち寄りたいショップ


シルクアイテムを手に取って体感できる

「SILKKI shop」


JR桐生駅からほど近い場所にある「桐生整染商事」本社の一角に、2022年にオープンした「SILKKI」のショップ。白と無垢の木でしつらえたクリーンな空間に、定番のシルッキパンツやストールのやさしい色合いが映えます。「シルクのこの心地よさは、実際に触れて、着て、感じるのが一番」。
オープン日は、Instagram「@silkki_kiryu」で確認を。

シルッキショップ
群馬県桐生市巴町1-1123-6
TEL:0277-22-0541
https://www.silkki.jp/


photo:黒川ひろみ、岡 利恵子、有馬貴子
text:増田綾子

 


 

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Profile

金子敦子

Atsuko Kaneko

夫と娘との3人暮らし。60代が楽しくなる着こなしや暮らし方をインスタグラムや書籍で発信し、注目を集めている。『新 大人の普段着<春夏編> 金子敦子さんが愛用しているニッポンのイイモノ』(主婦と生活社)など著書多数。

Instagram:@55akotan

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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