京都編 vol,19 洋服を試着するように、使い心地を試せる雑貨店「LADER(ラダー)」
京都在住ライター・大橋知沙さん
*****************
photo&text:大橋知沙
もしも、毎日使うキッチンの道具や日用品の使い心地を、実際に試してから購入することができたら? そんなわがままを叶えてくれる店が京都にあります。京都の西の観光名所・二条城の近くにある「LADER(ラダー)」は、キッチン・テーブルまわりを中心とした日用品を扱う雑貨店。カトラリーや食器、調理器具から、スポンジやタワシなどの消耗品まで、シンプルながらも使い勝手の良い質実剛健な道具たちが並んでいます。
驚くのは、店の奥にしつらえたトライアルシンクで、実際にその使い心地を試してみることができるということ。洗ってみたり、すくってみたり、ドリップポットと自分の手首との相性を確かめたり……と、使ってみなければわからない小さな納得や気づきを得ることができます。
「デザインの気に入ったカトラリーを見つけたとき『口当たりも試してみたい』と思ったことがあったんです。もし使い心地が好みじゃなくても、カトラリーなんてそう簡単に壊れないし、なんとなく持ち続けることになる。だったら、洋服を試着するように、道具も使って試してみることができるお店があったらいいなと思ったんです」。そう語るのは、店主の橋本司(はしもと・つかさ)さん。インテリア関係の仕事を経て「LADER」を立ち上げ、京都駅南の店舗から2017年7月に二条城エリアに移転。「試せる道具店」というコンセプトはそのままに、より広く、窓から差し込む木漏れ日が心地良い空間になりました。
並んでいる品々はすべて、橋本さん自身が日常生活の中で使って納得したもの。アイテムの一つひとつに、使い心地やメリットなどの丁寧なポップが添えられています。「長く使えるキッチンスポンジ」や「洗いたくなる醤油差し」など、橋本さん自身の実感が込められたネーミングも魅力。「どういうところが?」と深堀りしたくなり、読んで触れて納得できる内容に、あれもこれもと使ってみたくなるのです。
橋本さんが道具を選ぶうえで大切にしているのは、まず、家にあって毎日目にしても、美しいと思えるデザインであること。そこに、色や形のシンプルさ、使い勝手はもちろん手入れのしやすさ、値段などの要素が加わります。「例えば、水切りカゴやドリップポットなどは気に入ったものが1つあれば足りるので、少しお値段が張ってもいいものを選びたい。逆に、カトラリーや保存容器など数が必要なものは、手に届きやすい価格のものを提案できたら」と橋本さん。なるほど!
ものを選んで買うだけでなく、暮らしの中に入り込んだ後の役割まで考えられているからこそ、「LADER」に並ぶアイテムには説得力があります。実際に、私もいくつか「LADER」で買った台所用品を使っていますが、どれもしみじみ「買ってよかったなぁ」と感じるものばかり。「毎日使っていて、じんわり良さを反芻(はんすう)できるようなものを提案したいです」と橋本さんは語ります。
日々の家事の多くの時間を過ごす、キッチン。そこで使う道具たちが、目にするたび、使うたびにうれしくなるようなものだったら、台所仕事がぐんと楽しくなるに違いありません。「本当に?」と思ったら、ぜひ「LADER」でお試しを。
【神戸編】 【大阪編】 【京都編】 【名古屋編】 【弘前編】 【福岡編】 【愛媛編】 【那須編】 【香川編】 【熊本編】 【岡山編】 【高知編】 【倉敷編】 【沖縄編】 【徳島編】 【桐生編】 【大分編】
←連載「地元おしゃれさんが 案内する 小さな旅」はこちらから
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。