徳島編vol.10 わざわざ行きたい予約必須のピザ屋さん『yusan pizza(ユサンピザ)』
~「ウタノタネ」森香菜子さん
text & photo : 森香菜子(utanotane / KIGIPRESS)
徳島市中心部から車で約50分ほど走ったところにある神山町。こののどかな里山に囲まれた小さな町に、ちょっと遠くてもわざわざ行きたいピザ屋さんがあります。大阪から移住してきた塩田夫妻が営む『yusan pizza(ユサンピザ)』です。
人気店であるうえに、店に向かうまでの急な坂道と駐車スペースの小ささから、混雑を避けるために要予約での来店をお願いしているとのこと。
塩田ルカさん(右)と舞さん(左)。
築100年になるこの古民家と出会い、3人のお子さんと一緒に大阪から徳島の神山町へ引っ越してきたのは2014年のこと。自然と寄り添って暮らし、美味しくて健康的な食材とも向き合いながらピザづくりができる場所を見つけたのでした。
築100年の味わい残る板間はとても落ち着く空間。
他に、土間にはテーブル席もあります。
こちらは改修時に付け加えたスペースですが、違和感なく建物に馴染んでいます。
坂の下に広がる里山の風景が見えてとりわけ気持ちの良い席です。
わたしが初めてこちらを訪れたときは、まだ舞さんが3人目のお子さんをおんぶしながら店に立っていたことを思い出します。今はもうだいぶお子さんたちも大きくなって、お店自体もまた、地域とのつながりがよりいっそう広がり、新たな展開も生まれたようです。
「実は、神山町産の小麦を使うことになったんです」と塩田さん。
神山町の農家さんが今年から在来の小麦を分けてくれることになり、塩田さんのところにも連絡が入ったのだそう。そうして今年から、日本各地の小麦を独自にブレンドしてつくるピザ生地に、神山町産の小麦『神山小麦』も加わりました。
神山小麦がブレンドされた新しい「yusan pizza(ユサンピザ)」のピザ生地は、以前よりもがっしりと力強い小麦の風味を感じ、噛みしめるほど甘みが出てきます。
写真は、この日のメニューの『木次牧場のモッツァレラとプロボローネチーズ オーガニックトマトと新にんにくのピッツァ』。そのとき手に入る食材によってメニューは変わります。
食材は、日本各地の信頼できる農家さんから取り寄せたもの。神山町内の自然農法で野菜を育てる方から仕入れるなど、徳島県内の農家さんとのつながりも増えてきたと話します。「つながりのなかから手に入る美味しいものを使います。昔は当たり前だった、そんなやりとりを大事にしていきたいなと思っています」と塩田さん。
ここのピザを一度食べると、その味だけじゃなく、豊かな香りまで忘れられない。着飾らず、正直に、美味しいものと向き合って生まれるこの風味をまた味わいたくて、ちょっと遠くてもまた食べに行きたくなってしまうのです。
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徳島県名西郡神山町神領西青井夫359-1
TEL:050-2024-4927
営業時間 11:30〜14:00LO(売切次第終了)
定休日:日曜、他臨時休業あり
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