浅草寺ゆかりの甘味処 「浅草梅園」

大人の江戸あるき
2019.05.29

●梅園院門前の茶店だから「梅園」に


浅草といえば、浅草寺。一年を通して国内外の観光客で賑わう浅草名所ですが、東京に長く暮らしている私も浅草に出向くと立ち寄らずにはいられません。人形焼きや忍者グッズなどキッチュな土産物店がならぶ仲見世通りを抜けて、目のまえに現れる本堂の壮観な風景。見るたびに圧倒される堂々たる佇まいの本堂へ向かい、感謝と小さな願いごとに手をあわせています。江戸のころから、創建628年ともいわれる、由緒のある浅草寺へ参詣する人びとは引きも切らず、お詣りついでに門前の茶店で一服を愉しんだものでした。

 

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梅園名物の「あわぜんざい」、一度は試してみたい味。

 

江戸時代には、今の仲見世通りに浅草寺の末寺が建ち並び、そのひとつ浅草寺別院・梅園院(ばいおんいん)の一隅で安政元(1854)年に開いた茶店が、今に続く甘味処「浅草梅園」のはじまり。梅園院が観音裏へと移ったあとも、創業当時と変わらぬ場で商いを続けてきました。明治半ばには、東京名物として世俗を描いた錦絵に「御前しるこ」が取り上げられるなど、多くのひとから愛される繁盛店だったことがうかがえます。

 

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浅草寺の賑わいと変わらぬ繁盛店。ゆっくり寛ぐならば、午前中か夕方以降がおすすめ。

 

s-3ume梅園饅頭、豆大福、どら焼きなどのお持ち帰りできる和菓子が充実。


●素朴な味わいの名物甘味「あわぜんざい」


梅園の名物といえば、「あわぜんざい」。鮮やかな黄色の粟餅に、こし餡をたっぷりからめ、熱いうちにいただく甘味です。独特の食感の餅となめらかな餡は、素朴ながらたしかな味わい。昔は粟のみを使っていたものの手に入りにくくなり、今では餅きびともち米を使っているとか。毎朝、店では昔ながらの餅つき機で蒸した餅きびを搗いています。

 

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「この餅つき機は50年ぐらい使っています。今は全自動の機械がほとんどでしょう。古い機械だけど餅の状態がよくわかっていい」、と職人頭の倉田泰治さん。

 

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店内では年中いただける「あわぜんざい」(お持ち帰り商品は期間限定)。いつでも熱々を出せるようにスタンバイ。

 

「つぶ感を残し、ちょうどいい粘りや柔らかさへと仕上げていきます。いつも同じ状態にすること、それだけを考えて作っています」と、手水をして具合をみる職人頭の倉田泰治さん。こし餡は、餅の食感にあわせて、やや甘さを控えめに仕上げています。年中のお品書きなので、今からの季節は涼しい店内で、ふうふう言いながら熱々を食べるのもご一興。

 

s-6ume昔ながらのご常連だけではなく、最近ではインスタ映えすると若者のファンも増えた「あわぜんざい」777円。

 

かき氷やひんやり甘味のお品書きも充実。黒蜜をたっぷりかけていただく「クリーム白玉あんみつ」は、老若男女関わらずとても人気があるとか。浅草逍遥には、江戸っ子をまねて門前茶屋の名物甘味でひと心地したいものです。

 

s-7umeひんやり甘味の王様、スペシャル感のある「白玉クリームあんみつ」928円。


*商品すべて税込、2019年5月現在のものです。

text&photo:森 有貴子

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浅草梅園

東京都台東区浅草1-31-12
TEL:03-3841-7580
営業時間 10:00~20:00
休日 水曜(月2回のみ*HPや電話でご確認を)
http://www.asakusa-umezono.co.jp

Profile

森有貴子

Yukiko Mori

編集・執筆業。江戸の老舗をめぐり、道具と現代の暮らしをつないだ『江戸な日用品』を出版、『別冊太陽 銀座をつくるひと。』で日本橋の老舗について執筆(ともに平凡社)。落語、相撲、歌舞伎、寺社仏閣&老舗巡りなど江戸文化と旅が好き。江戸好きが高じて、江戸の暦行事や老舗についてネットラジオで語る番組を2年ほど担当。その時どきで興味がある、ひと・こと・もの、を追求中。江戸的でもないですが、instagram morissy_edo も。

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