弘前編 vol.5 古道具屋という言葉ではくくれない「古家具ミヤマコ」 ~「yourwear」佐藤孔代さん~

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2016.07.30

地方在住のおしゃれさんに、地元のとっておきの場所を案内していただく人気連載「地元のおしゃれさんが案内する小さな旅」。今月、青森・弘前編を担当してくださっているのは、ニットブランド「yourwear(ユアウェア)」の佐藤孔代さんです。
歴史ある城下町・弘前には、おしゃれなお店がたくさん並んでいるわけではないけれど、じつは知る人ぞ知る素敵なお店やスポットがけっこう潜んでいるんです。今月の連載では、佐藤さんのアンテナにビビビとヒットしたスポットを紹介していただきます。この連載に登場する穴場スポットはもちろん、弘前には桜が有名な弘前城や、津軽富士とも呼ばれる岩木山の雄大な姿、ル・コルビジェの弟子・前川國男によるモダニズム建築などなど見どころがいっぱい。1泊のんびり旅に、絶対おすすめですよ~!

vol.4はこちらから

*****************

「あまり人に教えたくないお店」。そんな噂を耳にしつつ伺ったのが、こちらの「古家具ミヤマコ」。弘前のメインストリート土手町大通りからすぐ、ビルの2階にある古家具屋さんです。

s-0000

と、看板にもお名刺にも「古家具」とあるので「古家具屋さんです」とご紹介したのだけど、本当のところ私の中ではあまり(というか、全然)その紹介の仕方がしっくりきていないんです。だって、お店のどこを切り取ってもこんなにアートなお店って、古家具屋さんじゃなくても他にあるんでしょうか?

s-0006

主役を決め、それを際立たせて見せるディスプレイは他のお店ではよく見かけるし、私もそれが基本だとお店で働いているときに教わりました。でも、ここ「ミヤマコ」では全ての「もの」が主役で、全ての「もの」が完成された背景にもなっている。これって、すごくすごーく難しいこと。

色味を合わせているわけでも、サイズを揃えているわけでもない……。決まりごとが見当たらない、湧き上がるような感性でしか作れない空間。「教えたくない」「そりゃそうだわ」と、初めての訪問で納得の私。

s-0003

英国アンティーク家具を輸入販売していた関東の会社で、家具修理を担当していた宮本真さんが独立し、2012年にオープン。古家具の販売だけではなく、持ち込み家具の修理やリメイク、お店の内装や什器制作なども請け負っているそう。

商品はほぼ全て古物。または古物を材料としたオブジェ。古い自転車のサドルや大きな木片、鉄のパイプ、一見無機質な廃材。それらが宮本さんの解釈のもと手が加えられ、新しく、そして幸せな人生(?)を送り始めているように感じるのは私だけではないはず。
 s-0001

s-0005

古家具の静かなトーンに溶け込むリースやドライフラワーは、お花の知識豊富な奥さんの佳子さん作。年末にはお正月飾りも作るそう。まだ7月だけど、我が家の来年のお正月飾りはもう決まりだな。

s-0004
取材の後、どうしても気になっていた大きな飾り棚を購入させて頂きました。弘前で仕入れたものだそう。「欲しいな、買おうかな?」と迷う間、お店でのディスプレイを思い浮かべながら、どこに置こうか、何を飾ろうかと心が浮き立ちました。

日々見過ごしてしまいそうな、誰の足元にもコロンと転がっているもの。それを拾い上げて、心と手を加えて、また誰かのもとに巣立たせる。ここはそんな場所。古家具を買って帰りながらも「やっぱり『古家具屋』という一言では片付けられないよ」と、思うのでした。


photo:船橋陽馬

 

←その他の【弘前編】はこちらから

←連載「地元おしゃれさんが 案内する 小さな旅」はこちらから

【神戸編】 【大阪編】 【京都編】 【名古屋編】 【福岡編】 【愛媛編】 【那須編】 【香川編】 【熊本編】

古家具 ミヤマコ

MAP:
青森県弘前市大字土手町120-2 プラザイトウ 2F
TEL:0172-88-6768
12:00~19:00  金曜定休
http://miyamako.tumblr.com/

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ