銅をたたいて成形した、中村友美さんの薬缶(やかん)

今日のひとしな
2016.07.29

~copse(コプス)より vol.29~

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「コプス」にはレジの脇に小さなキッチンがあります。わずか3平米ほどの最小限キッチンですが、ランチやカフェにとなかなかの働きもの。このキッチンでひときわ異彩を放つのが、中村友美さんの薬缶(やかん)です。
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中村友美さんは鍛金(たんきん)という手法で日常の道具をつくります。金属の板を叩いて成形すると聞けば、力強くハンマーを振り下ろすマッチョな姿を想像しますが、ご本人は意外なほど小柄でかわいらしい女性なんですよ。

中村さんは美大でインテリアデザインを学び就職後、手仕事の魅力に出会い金工を始めます。なんと薬缶を作りたくて金工を選んだとか。古いものに着想を得て作り方を研究した薬缶は、現在5~6種類。小ぶりなものや容量のあるものなど、大小さまざまあります。「コプス」では1リットルサイズの薬缶を使っていますが、あっという間に湯が沸くので大活躍。
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薬缶はもともと薬を煮出すための銅缶から始まったもの。殺菌作用に優れ、塩素を分解する作用があり、お湯を美味しくまろやかにしてくれるのも魅力です。湯を注ぐときは、菩提樹の実でできたつまみを抑えながら。そそぎ口のキレのよさも抜群で、時間をかけてハンドドリップで淹れるコーヒーも、スムーズにお出しすることができます。
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上の写真は未使用(手前)と数年使用した薬缶。使い始めの神々しく輝く姿もさることながら、使い込むほどに火色を帯び、鈍く光り始める様子は格別です。
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中村さんは薬缶のほか、サーバースプーンやコースター、スプーン、フォークなど、さまざまな生活道具を制作されています。
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「単なる金属が、ものに変わる瞬間が面白い」と、ひとつひとつの槌目(つちめ)にこだわり、素材本来の風合いを大切に仕上げます。繊細なフォルムながら業務用コンロにも調和する存在感は、素材の魅力を余すことなく生かしているからこそ。中村さんの薬缶あるキッチンに向かうたびに気持ちがピンと引き締まります。


薬缶 48,000円~(税抜)

copse(コプス)

器や日常着など、衣食住を提案する雑貨店。連載コラム執筆は、店主の小森知佳さん。
東京都練馬区石神井台3-24-39 ロイヤルコトブキ1F
TEL:03-6913-1544
E-mail:info@copse.biz
営業時間:11:30~17:30
定休日:月~水曜(企画展中は無休)
http://www.copse.biz

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