野の花に似合う五月女寛さんの花入れ

今日のひとしな
2016.09.16

~in-kyo(インキョ)より vol.16~


福島・三春の「in-kyo」がOPENしたのは、桜が咲き始める少し前の4月半ば。その半月後、ちょうど緑のグラデーションが美しくなってきたゴールデンウィークに、陶芸家の五月女寛さんがお店に遊びに来てくれた。リュックひとつ、三春の駅のレンタサイクルで借りた電動自転車に乗って、まるで近所からやって来たかのように颯爽と。あまりにも馴染み過ぎたその様子に大笑いしてしまったけれど、実は心底嬉しかった。

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お店でひと息ついた後、五月女さんはスケッチをしに行くと言って自転車に乗り、三春の町へと出かけて行った。旅に出たら、その町の気に入った風景をスケッチしているという五月女さん。その絵は最近少しずつご自身のブログでも紹介されている。

緑の中に静かにポツンと佇む雪村庵や、花が散り木々の緑が勢いを増す滝桜、そして町を一望できる城山公園の頂上から…etc 観光地と呼ばれる場所も、桜の時期が終わればどこも静か。それでも目の前にしたそのときの空気を美しいと捉えた絵はどこかやさしく、ホッとするような懐かしさが漂っている。毎日あたり前にあるようでそうではない、その瞬間の景色。

道ばたに咲く、名前も知らない小さな草花をこの花入れに生けると、まるでそこからまた根を張り、メキメキと地表を破って芽を出してきたかのような生命力を感じる。「こうして飾ればきれいだよね」と、野の花にだってスポットをあててくれる。

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ちょこんと手に乗るほどの小ささだというのに、見過ごしてしまいそうなささやかな幸せを気づかせてくれる大きな存在。「大切なことは日々暮らす足元にあり、幸せはすでに手の中にある」。五月女さんの作品を見ていると、そんな言葉が浮かんでくる。それは風景のスケッチからも同様に。

←お店の紹介はこちらから

in-kyo(インキョ)

日々の暮らしの中で、月日をともに積み重ねたくなるような器や生活雑貨が並ぶ店。日常着や、おいしいもののセレクトも人気。「今日のひとしな」のコラム執筆は、店主の長谷川ちえさん。

福島県田村郡三春町9
TEL:0247-61-6650
10:00~17:00 水曜・木曜定休
http://in-kyo.net

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