～「文月」「道具屋nobori」よりvol.22 ～

全体の一、二割程度、生活の道具以外のものも取り扱っています。実際の使用感や機能性も重視してセレクトしている器類とは違って、どれも見つけた時に‟感覚的”に選んだものたち。

つくられた年代や場所といった具体的な理由がないから、いわゆる骨董らしいもの、海外のもの、情報がなくいつどこで作られたかわからないものまで。改めて見てみると不思議な取り合わせで店内に共存しています。

例えば、四季折々の花や縁起物をかたどった和菓子の木型、少し色褪せた土人形。地球儀型のライトの隣にあるのは小さな地球儀……ではなく、なんと月球儀。かの有名なアポロ11号の着地点だけでなく、ファンタジー世界のような月の地名を知ることが出来ます。窓際で日向ぼっこしている木彫りのカモたちは、思ったよりもリアルに作られています。他にも、きらびやかな刺繍が目を引くインドのサリーリボン、使用済み切手、ウニの貝殻などなど。

中でもファンがいる（と思っている）のは鉱石類。

レアかどうか、透明度が高いか、鉱石として価値があるか……そういった評価はなく「和菓子っぽい」「山みたいなかたち」「色のバランスが綺麗」といった印象を基準としてセレクトしているので、いわゆるストーンショップとは違うラインナップが勢ぞろい。

加工されていない、原石のままで販売しているので、自然のつくる結晶のおもしろさを感じられます。ちなみに、すべての石の名前と組成式を書いた用紙も一緒にお渡ししているので、博士でなくても大丈夫です。全部書き写すのはものすごく面倒……いえ、テスト勉強みたいで、懐かしい気持ちになりました（でも書いているうちに、少しだけ詳しくなれたのでそれは良かったです）。

生活していくうえで、必要だったり便利だったりということはないもの。

それでも「ただあったら嬉しいもの」を道具屋として取り扱うのことは、どんな生活スタイルの方でも気軽に入っていただける店舗になるうえで多少なりとも必要な要素だと感じています。……まるで真面目な風ですが、特に高い志のあるわけではありません。でも、気軽に道具や‟もの”を楽しめるきっかけくらいにはなれるかな、と思っています。

最後に、これらの「ただあったら嬉しいもの」たちは定期的に仕入れていない為、その時々で商品が有ったり無かったり、そもそも同じものが入ることはほぼありません。写真のものがすべて今手に取れるとは限らないので、お越しの際にはぜひ宝探しのような気分でよろしくおねがいします！

text: ヨシタケ（道具屋nobori）

オンラインショップはこちらから

→その他の「文月」「道具屋nobori」の記事はこちらから
→その他の「今日のひとしな」の記事はこちらから