スプーンでも食べやすい、松原竜馬さんの子どもめし碗
~in-kyo(インキョ)より vol.21~
器の中でもめし碗は、日々の食事で一番手にすることが多いのではないでしょうか。
その一方で、実はめし碗を探しているというお客様は案外と多い。考えてみたら食べる量も、一度によそうのに程よい量も人によって違う。どんなめし碗がしっくりくるかも人それぞれというところが興味深い。中には、
「ごはんもお皿に盛りつけるので飯碗はひとつも持っていないのよ」
というお客様もいらして、「一番よく使う」というのは私の思い込み? と思うこともあった。何が良い悪いというのではなく、それだけ料理も食事の仕方も多様化しているのだなぁと妙に関心してしまった。
数年前に「in-kyo」で開催した「めし碗展」。この企画展 には、数名の作家の方々と窯元に制作をして頂いた、様々なめし碗が集まった。陶器に磁器、そして漆。色、無地、柄の違いだけでなく、ざっくりとした土肌が手にやさしく感じるものもあれば、つるりと口当たりが気持ちのいいものも。深いもの、浅いもの、軽いもの、手に持ったときにどれがおさまりが良いのか、使いやすいのかとじっくりと真剣に選ぶお客様が多いことが印象的な展示となった。
松原竜馬さんが制作をして下さった子ども用のめし碗は、サイズが小さいことに加えて、フチが内側に少し入っているのが特徴となっている。それはまだお箸が使えない小さなお子さんでも、スプーンを使って上手に食べやすいようにと松原さんが考えたやさしさのかたち。お子さんが二人いて、毎日の食事を一緒にしている松原さんならでは視点だ。
子どもが成長して、めし碗として使うには小さくなってしまったら、小鉢として使っても。器を自分で選ぶときがやってくるのは、まだまだ先となる小さな子どもたち。ご両親があれこれ考えて選んでくれた器で食べる、美味しい料理の愛情の深さに気づくのは、いつの日か。その頃にはきっと器も育ち、味わいが増しているのだろう。
日々の暮らしの中で、月日をともに積み重ねたくなるような器や生活雑貨が並ぶ店。日常着や、おいしいもののセレクトも人気。「今日のひとしな」のコラム執筆は、店主の長谷川ちえさん。
福島県田村郡三春町9
TEL:0247-61-6650
10:00~17:00 水曜・木曜定休
http://in-kyo.net
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