雑貨店の片隅にある本棚に並べた本
~in-kyo(インキョ)より vol.29~
「ここは何屋なの?」
この質問は今に始まったものではなく、お店を始めた当初からよく聞かれていた。
「作家ものの器を中心とした生活雑貨の店です」
質問にはそう答えているけれど、器屋でも雑貨屋でも、コーヒーを飲みに来る人にとってはコーヒー屋でもいいと思っている。自分がいいなと感じるものを紹介する場であり、それを喜んでくれる人たちに届ける場でもある。モノだけでなく何かのきっかけで人や土地へもつながっていくような…。何屋であるということよりも、お店がそんなつなぎ目のような役割の場になれればいいと思っている。
本もそのひとつ。店内には古道具屋でみつけた小さな本棚がある。そこには
「in-kyo」を始めるきっかけともなった「アノニマ・スタジオ」や「ミルブックス」「夏葉社」の本、自費出版の本や友人・知人の著書もある。レシピ本やエッセイ、絵本に小説写真集も。まだまだ他にも置きたい本はたくさんあるのだけれど、そこをグッと我慢して、お店にある他のものたちにもどこか似ている(?)顔ぶれの本をセレクトして置いている。
郊外に出れば何でも揃う大型書店があるのだけれど、同じようには到底できないし、それをやろうとは思っていない。昔、家の近所にあった町の本屋さんのような、もっと親密な感じ。本棚の近くにはノートや鉛筆、下敷きなどもあって、お店の扉を開けると消しゴムの懐かしい匂いがして…。
本を糸口に世界が広がったり、器や他のものから本にたどり着いたり。この小さな本棚から何かおもしろいストーリーが生まれないだろうかと思っている。
日々の暮らしの中で、月日をともに積み重ねたくなるような器や生活雑貨が並ぶ店。日常着や、おいしいもののセレクトも人気。「今日のひとしな」のコラム執筆は、店主の長谷川ちえさん。
福島県田村郡三春町9
TEL:0247-61-6650
10:00~17:00 水曜・木曜定休
http://in-kyo.net
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