【Day2】初めての鉄フライパンに「リバーライト」がおすすめの理由

5日間特集・今おススメの台所道具
2021.07.20

 “家ごはん”が増えた今、おすすめの台所道具をご紹介する特集、2日目。ガイド役は、創業334年、暮らしの道具の老舗・静岡市「三保原屋本店」九代目当主の堀 高輔さんです。

 

 

Day2 鉄のフライパン

編集部:わぁ~、カリッと焼けた豚テキ! おいしそうですね!!

堀さん(以下、堀):でしょう? 材料を焼くだけのシンプルな料理こそ、道具の力が試されます。今日、ご紹介するのは、「リバーライト」の鉄フライパンです。

編集部:フライパンは、一家に1つはある台所道具ですよね。ただ、鉄はちょっと敷居が高くて、普段づかいにはフッ素樹脂加工のフライパンのほうが便利な気が……。

 

フッ素樹脂は「大は小を兼ねない」
鉄は「大は小を兼ねる」

堀:今日は、わが家で使っている26cmのものを持ってきました。豚テキ2枚がちょうど焼けるサイズです。隣に置いたのも私物のフッ素樹脂加工のフライパンなんですが、わが家では、フッ素樹脂は小さめ、鉄は大きめと、2つのフライパンを使い分けています。
理由は、フッ素樹脂は「大は小を兼ねない」けれど、鉄は「大は小を兼ねる」から。

編集部:???

堀:フッ素樹脂は空焚きするとコーティングが壊れてしまいます。ですから朝ごはんの目玉焼きや、お弁当に入れるソーセージなど、小さなおかずを加熱する場合、大きなフッ素樹脂フライパンでは食材が乗っていない部分が空焚きになってしまうので、不向きなんです。
一方、鉄のフライパンは、丈夫でどんな温度にも耐えられるから、大きめを買っておけばステーキから野菜炒めまで、さまざまな料理に対応できます。ただ、朝の忙しいときは大きなフライパンを出したり洗ったりするのは面倒ですよね? それで2個持ちなんです。

 

肉を入れても、熱々をキープ

堀:鉄フライパンのいいところは、蓄熱性が高いことです。大きな肉を入れても、温度が下がりにくく、カリッとした焼き目ができます。野菜炒めも、水が抜ける前に火が入るのでシャキシャキの仕上がりになります。

編集部:この焼き加減を見ると、鉄の威力がわかりますね。

堀:もうひとつの特徴は、丈夫で長持ちなこと。トングやフライ返しが当たっても傷にならないし、空焚きOK、熱いまま(*)ぬるま湯で洗ってもOKです。焦げ付いても、錆びても、何度でも「鉄フライパンを焼いて」復活できるので、めげることなく挑戦してください。(*空焚きして超高温の場合、少しだけ冷ましてください。IHの方は変形して接地面が狭くなるといけないので、この点だけお気をつけください)

編集部:逆にデメリットはあるんでしょうか?

堀:“重さ”は、確認していただいたほうがいいですね。鉄のフライパンは大きく分けて「プレス」「打ちだし」「鋳物」と3つの製造方法があるんですが、鉄を型に流し込む「鋳物」、鉄を叩いて成型する「打ちだし」は、どうしても重くなる傾向があります。
また、実際の重さ以外に、持ち手の好み(材質や大きさ)により、重さには個人差がありますので、その点もぜひ、お確かめいただくことをおススメします。

 

初心者におススメの「リバーライト」

編集部:毎日、使うことを考えると“重さ”は重要ですね。いくら美味しい料理ができても、取り回しが大変だと、だんだん使わなくなりそうです。

堀:「リバーライト」のフライパンは、平らな金属板を金型に合わせて形づくる「プレス」方式で、「打ち出し」「鋳物」に比べると軽く、日常づかいにおススメです。

編集部:確かに、「リバーライト」は、大きさの割に軽く感じます。

堀:もうひとつ、「リバーライト」をおススメする理由は、窒化鉄という錆びにくい素材でできているからです。鉄は錆びやすい素材なので、通常、鉄のフライパンは出荷時に錆び止めが塗ってあります。使う前には、これを高温の火で焼き切る必要があるのですが、錆びにくい「リバーライト」は、錆び止めを塗る必要がないので、このひと手間がいりません。

編集部:そうそう! その「焼き切り」がうまくできるか心配で、二の足を踏んでいました。

堀:そういう方は案外多いですよ。また、IHの方は炎がないので、この作業ができずに困ることがありますが、「リバーライト」なら、購入後、洗ってそのまま使えます。

 

持ち手の素材と長さをチェック!

(左)堀さんの奥さま・麻里子さんに「リバーライト」26cmを持っていただいた。持ち手がやや短めで、木のハンドルでしっかり握れるせいか、鉄フライパンの中では取り回しがしやすい印象。

 

プロの調理人も使っている鉄フライパン「エスエス」。リバーライトに比べると、持ち手はやや長め。オール鉄のシンプルな造りで、頑丈。手頃な価格も魅力。

 

編集部:「リバーライト」は、木の持ち手なんですね。

堀:持ち手も使いやすさを左右するポイントです。無骨だけど、丈夫でガンガン使えるのが鉄のフライパンの魅力。ですからプロユースの「エスエス」は、壊れにくいように本体も持ち手も鉄製です。業務用の強い火力が手にかからないよう持ち手は長めです。持ちにくさが多少あること、持ち手の熱さが心配な方は、布巾などで持ち手をカバーしてください。
一方「リバーライト」は木製ハンドルなので、そのまま握っても大丈夫。ハンドルだけ別売りもしていますので、交換もできますよ。
実は鉄という材料そのものは、本来は高価なものではないんですよ。鉄の扱いに慣れている方は「エスエス」、初心者やIHの方は「リバーライト」がいいんじゃないでしょうか。

 

油をなじませて“くっつき”防止

編集部:ガンガン使えるのが鉄フライパンの魅力ということですが、日頃のお手入れはどうすればいいですか?

堀:調理後は間をおかず、束子などを使ってお湯で洗い流します。鉄と油がなじむほど、焦げ付かなくなるので、洗剤は使わないほうがいいですね。フッ素樹脂加工のフライパンと違って、束子でゴシゴシこすって大丈夫ですよ。水気を拭いて、空焚きをして水分を飛ばしたら、薄く油を塗っておいてください。
なお、テフロンを含むフッ素樹脂加工のフライパンは、「空焚きをしない」「冷めてから洗う」と、少し長持ちします。ここの扱いが、鉄フライパンと大きく異なります。


(左)調理が終わったら、食材をすぐに器へ移し、熱いうちに束子などを使いお湯で洗い流す。油膜が取れてしまうので、洗剤は使わない。(右)油がなじむまでは、調理前にお玉1杯ほどの油を温める「油がけし」をすると焦げ付かず美しい仕上がりになる。

 

編集部:しつこいようですが、フッ素樹脂加工のフライパンに慣れていると、鉄=くっついて焦げる、というイメージがあるんですよね……。

堀:焦げ付く最大の原因は、フライパンに油がなじんでいないからです。調理する前に「油がえし」をするといいですよ。フライパンを温めたら、お玉1杯分くらいの油を入れて温めてください。フライパンに油がなじんだらオイルポットに油を戻して、調理スタート! これで焦げ付きが激減するはずです。
とはいえ、健康上の理由から油が使えない方もいらっしゃいますよね。そういう場合は、フッ素樹脂加工のフライパンという選択もありだと思います。

編集部:傷を気にせず、ガンガン長く使いたい、美味しさを追求したい場合は「鉄」。数年単位で買い替える必要があるけれど、油を控えたい、軽いフライパンがいいという場合は「フッ素樹脂」。選ぶ基準は、こんなところでしょうか。これを踏まえて堀さんのように、それぞれの“いいとこ取り”をするのもいいですね。


「リバーライト」のフライパンで焼いたトンテキ。カリッとした焼き目は、鉄フライパンならでは。焼くだけのシンプルなレシピこそ、鉄フライパンの本領を発揮する。

 

「リバーライト」鉄フライパン26㎝ ¥6,600(全て取っ手を含めたサイズ約45.7cm×高さ約10.7cm、重さ950g、板厚1.6mm(満水2.0ℓ))
「エスエス」厚底フライパン ¥3,718(持ち手を含み約49.6cm×高さ約18.3cm、重さ1140g)

撮影:三村健二

【編集後記】

 

「三保原屋本店」は「リバーライト」のオフィシャルショップで、今回ご紹介した26cm以外にも、各種サイズを取り扱っています。店頭には「リバーライト」以外のフライパンも多数並び、店内はさながら“ミニかっぱ橋道具街”のよう。今回は当主の堀さんにお話しを伺いましたが、スタッフの皆さんが担当ジャンルの商品について、詳しく説明できるのも「三保原屋本店」の特徴です。

*「かっぱ橋道具街」とは、東京・台東区にある食にまつわる道具専門の問屋街。

 

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三保原屋本店(Mihoharayahonten)

住所:静岡県静岡市葵区呉服町2-3-6
営業時間:10:00~18:00
定休日:元日・不定休
TEL:054-252-7111

http://www.mihoharaya.co.jp/mihoharaya/
三保原屋本店通販 https://mihoharaya-honten-online.com/

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