【Day3】蒸し器といえば、せいろ? 土鍋?

5日間特集・今おススメの台所道具
2021.07.21

“家ごはん”が増えた今、おすすめの台所道具をご紹介する特集、3日目。ガイド役は、創業334年、暮らしの道具の老舗・静岡市「三保原屋本店」九代目当主の堀 高輔さんです。

 

Day3 蒸し器

編集部:実は今回のラインナップで、いちばん関心があったのが今日の“蒸し器”なんです。

堀さん(以後、堀):そうでしたか。なぜ、蒸し器に関心があるんですか?

編集部:職場の近くに鹿児島料理の店があって、ランチメニューに「蒸し豆腐セット」というのがあるんです。一人前の蒸籠(せいろ)で、蒸した豆腐と野菜が出てくるんですが、それがとっても美味しいんです。「これは、家でもやってみたい!」と思いまして。笑

堀:あ~、わかります。野菜を蒸すと美味しいですよね。私も休日に「道の駅」や農協直売所で季節の野菜を買うのが好きで……。

編集部:自宅ではステンレス製の蒸し器を使っているんですが、中華蒸籠ならそのまま食卓にも出せるかな? と数年前から買い替えを検討中なんです。

堀:なるほど。ではまず、素材別に3つの蒸し器を見ていただきましょう。


堀:木製の中華蒸籠は、木の香りと見た目のデザイン性が魅力ですね。おっしゃる通り、このまま食卓にも出せるし、軽いのでキッチンに引っかけておいても絵になります
「長谷園」の“ビストロ蒸し鍋”も、食卓調理を意識したアイテムです。“陶製のすのこ”を外せば、普通の土鍋としても使えます。
ステンレス製の蒸し鍋は、木製や陶器と違って、割れたり壊れたりする心配がないのが最大の特徴です。多少乱暴に扱っても大丈夫。

 

食卓の「エンタメ感」を演出する中華蒸籠

編集部:土鍋という第3の選択肢が現れました!

堀:丈夫なステンレス製もいいのですが、“家ごはんを楽しむ”という視点でいうと、中華蒸籠や土鍋をおススメしたいですね。季節の野菜を切って蒸すだけで、器としても“映える”一品になりますから、家ごはんが増えて、料理作りのプレッシャーを感じている方には、よい気分転換にもなると思います。実際に中華蒸籠で野菜を蒸してみましょうか。

編集部:中華蒸籠って、サイズもいろいろでどれを選べばいいか悩みます。

堀:以前は、中華鍋の標準サイズに合わせて、蒸籠も30cm以上が当たり前だったのですが、今回は27cmを用意しました。今の家族構成や収納場所を考えると、30cm以上ってちょっと大きいと思うんです。さらに小さいサイズだと24cm。おおよそ2~4人家族用で、必要に応じて上に重ねることもできます。

 

あると便利! 蒸し板と蒸し布

堀:中華蒸籠は木製品なので、寿命があります。いちばんよく聞くのは、焦がすとか油を吸って汚れてしまうとかですね。それを防ぐには、蒸し板と蒸し布を使っていただくことです。

編集部:蒸し板、ですか?

堀:鍋と蒸籠の間に置くアルミニウム製の板ですね。これを1枚かませると、誤って蒸籠に火が届いてしまうことがなく、焦げ防止になります。こちらは「照宝」さんの蒸し板ですが、他社製品に比べて、穴の径が大きいので蒸気がよく抜けますし、下に置く鍋が中華鍋でなくても、直径20~32cmくらいまでの鍋やフライパンを合わせることができます。
お鍋のお湯が沸いてから、蒸し板・蒸籠をセットしてください。


(左)水を沸騰させたフライパンの上に蒸し板をセット。ここに蒸籠を乗せれば専用の中華鍋でなくても蒸籠が使える。焦げ防止にも。(右)蒸し布を敷けば、蒸気の戻りが防げるだけでなく、食材の油分や色が直接、蒸籠に付かない。専用の蒸し布もあるが、こちらは「中川正七商店」の”花ふきん”。綿100%で大判なので、十分に使える。

 

編集部:手持ちの鍋で対応できるのはいいですね! お~、湯気が出てきました。

堀:木製蒸籠は蓋から湯気が逃げるので、蒸気の戻りが少ないのも特徴です。ステンレス製の蒸し器は蓋がピタッとしまるので、注意しないと水滴で食材が“濡れる”ことがあります。特に「おこわ」の美味しさは、蒸気の戻りがない蒸籠に軍配が上がりますよ。

編集部:なるほど。蓋の形状もポイントなんですね。蒸し布は蒸気の戻りを防ぐために使うんですよね?

堀:それもありますが、蒸籠に食材の色や油が付くのを防ぐ役割もあります。特に油分が多い中華総菜などは、蒸し布を敷いておくとシミや汚れ防止になりますよ。

編集部:せっかく買うなら、長く使いたいですもんね。

堀:耐久性で言えば、ヒノキの蒸籠がいちばんです。お手軽に使いたい、という場合は杉や竹でもOKですが、30分以上火にかけるのは避けたほうがいい。ヒノキなら90分くらいは大丈夫です。

 

蒸した後も楽しめる「長谷園」の蒸し鍋


土鍋に水を沸騰させて、食材を乗せた“陶製すのこ”をイン! 遠赤外線効果で、芯まで火が通り、素材の味を引き出してくれる。

 

編集部:もうひとつのおススメ、土鍋についても教えてください。

堀:三重県伊賀にある窯元「長谷園」さんのもので、遠赤外線効果のある土鍋と“陶器のすのこ”がセットになっています。土鍋は全体が温まるまで時間がかかりますが、蓄熱性が高いので、一旦温まれれば蒸し時間は早いです。

編集部:卓上コンロを使えば食卓で加熱できますね。火から下ろしても保温性があるから、温かいままいただけそう。

堀:わが家では、土鍋で野菜や肉を蒸した後、その出汁が落ちた蒸し汁で、雑炊やうどん、スープなども作ります。何を蒸すかで、毎回味が違うので、それも楽しみなんですよ。


陶製のすのこを外すと、土鍋には旨味を含んだ蒸し汁が。味噌汁やスープ、おじやなどにも活用できる。

 

編集部:1回で2度美味しいんですね。それは魅力的♡

堀:あえて土鍋の問題点を挙げるとすれば、重くて割れるリスクがあること。また、収納場所も考える必要があります。もし、まだ土鍋を持っていないなら、蒸し器と兼用でこちらを選ぶといいかもしれません。「長谷園」の土鍋はパーツごとにお取り寄せができるので、蓋やすのこだけの取り寄せをすることもありますよ。

編集部:これから夏野菜が美味しい季節ですから、材料をセットしたら、後はお任せできる“蒸し器”はありがたいですね。食卓も華やぐし、ちょっとお疲れ気味のときに、頼りにしたいと思います。

 

中華蒸籠 27cm 
ヒノキのセイロの身 ¥10,395(外寸約27cm×深さ約5.5cm)
ヒノキのセイロの蓋 ¥11,440(外径約23.5cm)
「照宝」蒸し板(外寸約32cm、内寸約17cm) ¥5,170(20㎝~27cmの蒸籠に対応)
蒸し布(花ふきん) ¥770(約58cm×約58cm)

「長谷園」ビストロ蒸し鍋(直径約27cm×高さ約16.5cm、満水約2ℓ/重さ約3.4kg)¥15,400

*店頭では「照宝」の蒸籠を取り扱っていますが、在庫が不安定なのでネット通販では出品をしておりません。あらかじめご了承ください。

 

撮影:三村健二

 

【編集後記】

(上)七代目の堀 達夫さんと、妻・光江さん。昭和20年代の店頭にて。(下)左は八代目の達憲さんと、妻・佳千世さん。右が今回、お話しを伺った堀 高輔さんと、妻・麻里子さん。今回の取材では、堀さんご一家総出でご協力いただきました。

 

幼い頃から「お店を継ぐように」言われたことはなく、自由に働くつもりだった高輔さん。「子どもの頃は、店舗の上に住んでいたので、“家=お店”という感覚でした。私はスタッフのみんなから、“高ちゃん”と呼ばれていて、家業を継ぐことが、どこか気恥ずかしかったです」
自身が社会人になって、お店が存続することのすごさ、先代の頃から働いてくれているスタッフがいる有難さを実感し、お店を継ぐ決断をしたそうです。長い歴史の中で、街に根を下ろし、お客様とスタッフが顔の見えるお付き合いをする──。信頼の上に成り立つ“家業としてのお店”は、郊外の大型店や、全国チェーンの生活雑貨店が増えた今、逆に新鮮で唯一無二の存在なのだと感じました。

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三保原屋(Mihoharaya)

住所:静岡県静岡市葵区呉服町2-3-6
営業時間:10:00~18:00
定休日:元日・不定休
TEL:054-252-7111

http://www.mihoharaya.co.jp/mihoharaya/
三保原屋本店通販 https://mihoharaya-honten-online.com/

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