‟育てていく”日用品 木工作家・大澤知美さんの器やランプシェードたち

今日のひとしな
2021.08.24

~「HJ GALLERY」より vol.24 ~

木の器も陶器の器も、作家の手にかかると本当に別物に仕上がっていきます。

大澤知美さんの作品にはじめて出会った時、私がいつも使っている器やお皿よりも少し可愛らしく愛らしい印象を受けました。それは大澤さんのお人柄を見ていたからそう感じるのか、その場の雰囲気がそうさせていたのかは今になっては分かりませんが、いくつか買わせていただいて、日々どんどん使っていくと、気がつけば、私の家の空間にも生活にもすっかり溶け込んで、作家さんの作品のようにも見えるし、アンティークのようにも見える佇まいへと変わっていきました。

「自分たちの生活と共に過ごす」という言葉がぴったり似合うようになった品々は、少し可愛らしかった印象から自分の生活に馴染み、愛着あるものへ。その時に、「大澤さんの作品は、きっと使われる人やシーン、空間によって異なる表情を醸し出す魅力があるんだろうな」と感じたのをよく覚えています。彼女自身も妻であり、母であるからこそ、器を日用品として使うこと、愛用することはとても近い存在で、だからこそ、彼女が作るものはどこかやわらかくたおやかに私を包んでくれているように感じます。



大澤知美さんは、奈良に拠点を置いて制作されている木工作家です。大学卒業後に建築を学び、現場で職人たちと関わり合いながら、もの作りと対峙していかれました。そうして木工という世界に出会って新たな道へ進みながら、木と触れ、形にし、漆と出会い、制作を深めていくこととなります。

昨年の9月には、「HJ GALLERY」ではじめて大澤さんの個展を開催させていただきました。彼女の作り上げる、魅力的な顔を見せてくれる品々やその作品の多様性は「HJ GALLERY」のフィルターを通した時に一体どんな表情を出してくれるのだろう、とワクワクしながら準備を進めました。

初日からたくさんの方が来て下さり、トレイや器、ランプシェードなど、彼女の作り上げるものをこんなにもたくさんの方が熱を帯びたような目で見て、選ぶのだと、側で見ている私も心が浮き立つ瞬間でした。

端正な顔立ちのボウルやトレイ、それとは全く違う、まるで絵本に出てきそうな器たち。白漆や灰色の漆たちが魅せる姿は、美しい、可愛いだけでは終われない何かを感じます。それは、彼女が内包するいつまでも失われない少女のような一面がちらほらと作品から垣間見られるのかもしれません。その時にオリジナルでお皿も作っていただきました。どんどん育てたくなるお皿。最初は愛らしい佇まいのこのお皿もいつしか大人びた顔を見せてくれるようになるのかもしれないと思いながら、日々愛用しています。

来年の10月にもまた彼女の個展を開催する予定です。前回の個展から二年。その二年の間に生まれた彼女の新しい感性を皆様と共に見られる日が今から楽しみです。

リム皿(15cm)¥4,180

商品、個展の予定は、「HJ GALLERY」までお問い合わせください。

 

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HJ GALLERY

住所:奈良県奈良市三碓2-4-13-2
TEL:0742-52-5000
営業時間:11:00~16:00
営業日:木曜・金曜・土曜
https://www.hj-g.jp/
instagram:@hjgallery

※ペット、10歳未満のお子様の入店はご遠慮願います
 

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