～「HJ GALLERY」より vol.25 ～

「暮らしの豊かさとはなんだろう？」といつもよく思い、感じています。「いいもの＝高級なもの」とは少し違う。一瞬一瞬の日常のちょっとしたことをすくい上げることができるかどうか。季節の移ろいを感じながら、それを愛でて慈しむ余裕が持てるかどうか、その少しずつが染み出してきて、その人の暮らしを豊かにしてくれるのかもしれないですね。

ケーキドーム ￥49,500

長野で年に一度開催される松本クラフトフェアにはじめて行った時、柏木圭さんと千繪さんのお二人にもはじめてお目にかかりました。そのブースで一際、目を惹かれたケーキドーム。圭さんと千繪さんの共作の品です。このドームを作るのは、相当大変でかなり気合いがいるようで、「千繪さんが納得できるものが仕上がった時で、いつでも大丈夫」とお願いして依頼しました。

圭さんの天然木のボードとの絶妙な組み合わせで、何年経っても色あせない魅力があります。上の丸くて少し大振りの取手も、ドームのラインも、ぽってりとした佇まいも、開けた時の木目の表情や木の厚みも。どれもが私の心をくすぐります。私が持っている中でも別格のもの。一生の宝物です。「HJ GALLERY」でもお問い合わせが多い品のひとつで、みなさんひと目見て惹かれるものを感じてくださっているようです。

スパイスミル ￥16,500

圭さんと千繪さんの共作は、他にスパイスミルもご用意があります。ハーブやスパイスを混ぜ合わせるのに便利な小ぶりのデザインで、スリコギの部分の造形美は本当に美しく、これ以上の答えはないんだろうなと思うほど、にぎりやすく完璧なライン。入荷してもすぐに完売してしまう人気のお品です。

お二人の魅力は、その暮らしに触れるとさらに多く感じることができます。先日、圭さんと千繪さんのご自宅と工房へお伺いした時には、お庭にテーブルと椅子が用意されていて、まるでおとぎ話に迷い込んだかのような風景が広がっていました。早朝から圭さんがお料理を仕込んでくださっていて、この日はイタリアン。千繪さんもデザートを作ってくださっていて、お二人の愛情が溢れ出ていたテーブルの上の情景は、いつまでも忘れられないものとなりました。そこで当たり前のように使われている器は千繪さんのもので、カトラリーレストは圭さんのもの。見たことのない二人の品々が並び、お料理と素晴らしい器たちに感動の連続の時間でした。

実際に作家さんがご自身の作るものを使われている光景を見るのは、私にとっても貴重なこと。他愛のない会話からまた自分自身も心が動き、新たな視点を得ることができます。一緒に過ごせる限られた時間の中で、感じられる雰囲気の丸ごとがその人たちそのものだから、ただ器を皆様に販売するのではなく、この魅力までを含めてそっとお伝えできたらと日々思っています。

工房では粛々と次の品が作られていました。どれもがひっそりと次の出番を待っているような感じがして、まるで魔法がかかる寸前のような空気感。この雰囲気を感じる度に、自分の目の前にある品々が奇跡のように感じます。

目の前にあるひとつひとつを大切に。忙しいと本当に心を亡くしてしまいそうになりますが、でも、今は一瞬しかないからこそ、ちゃんと感じることを忘れたくないものです。圭さんと千繪さんの展覧会を再来年に予定しています。お二人の世界に触れることのできる特別な時間となりそうです。今から私も楽しみでなりません。

商品、個展の予定は、「HJ GALLERY」までお問合せ下さい。

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