月2回オープンでも訪れる価値あり! 美しく使いやすい普段器が揃う「空音」

器店主の朝ごはん
2016.10.30

10月の朝ごはん連載を担当してくださった、東京・早稲田にある器店「空音」を訪ねました。緑豊かな早稲田大学にほど近い、小さなビルの2階にあります。

 

少し急な階段を上ると、ほんとにここかな? とちょっぴり心配になるような、こじんまりとした玄関が。でも中に入ると真っ白な壁に、ぽつんぽつんと丁寧に並べられた器たちが目に飛び込んできました。

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店主の山下麻奈美さんは、ほかのお仕事と小さなお子さんを抱えながら「空音」を営んでいるため、オープンするのは不定期の月2回。それでも、山下さんの確かな器セレクトとこのお店の居心地のよさに惹かれて、わざわざ訪れるお客さまは多いのだそう。

 

学生のころから器が好きだったという山下さん。けれど、それは大学の陶磁器の授業から興味を持ったという変り種で……。

「課題で博物館に器を見に行ったんです。昔のものなのに、大切に残されていて今も生き生きと展示されている、その姿に感動して」と山下さん。

鑑賞することがもっぱらの目的で、そのころは“生活の中で使う器”とは結びつかなかったのだそう。

ところが卒業後、日本料理を習う機会があり、そこでの課題レポートが「作った料理を器に盛って写真に撮る」だったことから、料理に合う器というものを初めて意識。俄然、器が身近なものになったのだといいます。

「それまで、大量生産の器しか買ってこなかったのですが、作家ものの打つ粟に出会い、日々使う器にも表情があるのだと気づきました」

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山下さんが初めて買った作家ものの器は村上 躍さんの小さなボウル。高台のなり手のひらに収まるサイズと、ただ石を焼いただけのようなグレーの肌合いに一目惚れ。それは、今も大切に使っています。

 

お店では、そんな“出会い”を大切にしてほしいと山下さん。

「ひとつひとつ表情が違う作家ものの器では、同じお皿を5枚揃えたいという希望は叶えられないけれど、そのぶん好きなものを自由に組み合わせられる楽しみをお客さまにも知っていただけたら」

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お店に並ぶ器には、紹介文があるものもないものも。

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「誰が作ったか、などにとらわれず、ゆっくり見てじっくり選んでいただきたくて。もちろんわからないことは聞いていただいて、選ぶときのお手伝いもさせていただけたら」

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毎日使うものだからこそ、ちょっと気分が上がる自分だけの器を。静かに並ぶ器たちは、誰かとの出会いをじっと待っているように思えました。

 

←「空音」山下麻奈美さんのコラムはこちらから 
←連載「器店主の朝ごはん」はこちらから

うつわや 空音

E-mail : utsuwa@ku-ne.com

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※実店舗は閉店しました。オンラインショップを準備中です。詳しくはお店のHPにてご確認ください。

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