モノを大切に扱うってこういうこと 山桜の調理ベラとしゃもじ
~「LADER」より vol.26 ~
オープン当初から扱っている竹の調理べラがあるんですけど、ある時期からそれがツールスタンドに差さっている様子がなんだか前よりキッチンに似合わなくなっている気がしました。気のせいかなと思おうとしても、その違和感を見過ごせなくなってきて「こりゃあ新たに調理ヘラを探さないと!」と探したけどなかなか見つからない。それより以前から、「しゃもじもいいものがない」とずっと思っていたこともあって「これはもう作ってもらおう!」と思い立ちました。
前から気になっていた広島の工房に連絡をして、訪問させていただいていろいろお話を伺いました。それで作ってるところを見せていただき「こういうのがいい」という希望をお伝えして、後日試作を送ってもらいました。そこからいくつか修正をして出来上がったのが、この調理ベラとしゃもじです。
調理ベラはいわゆる調理ベラの形を踏襲しつつ、サイズや使用感をベースに細かく調節してもらいました。
しゃもじは、実は樹脂製のしゃもじの方が使用感は断然いいと思っていました。ただ、ものとして愛着が持てるものがない。だから、そこを両立できるよう樹脂製のしゃもじの形状をヒントに、しっかり掬えるようグッとカールさせつつ厚みを抑え、サイズも小さめのお茶碗にもよそいやすいよう小さくしました。
そして、大きな特徴としてお客様に最後の仕上げのヤスリがけをご自身で行ってもらいます(と言いつつ、やらなくても問題なく使えますよ)。
無塗装の木は木の種類によらず、ほとんどの場合濡れると毛羽立ったように木肌が荒くなります。ただ、それはヤスリで軽くヤスってやると簡単にきれいになります(なので、水に濡らしながら使えるヤスリを商品に付属して、一度使った後にヤスリで磨いてもらえるようになっています)。でも、それを抑えようとすると手間がかかって価格がかなり高くなったり、コーティングして押さえ込んでもそのうち剥がれてきてしまったりと、ものづくりのハードルがグッと上がってしまうのです。
みんなの求めるハードルが上がることで野菜にはたくさんの農薬が使われるようになっていったけど、今はまた「大事なところはそこじゃない」と無農薬の野菜も増えてきました。ものづくりも同じだと思います。天然の素材を使おうとすれば、僕らの都合のいいことばかりじゃありません。その不都合を押さえ込んでしまうんじゃなくて、付き合い方を知れば、思っているよりずっと簡単に身近な存在になってくれるはず。
「知らない」や「やったことない」によって難しそうに思えて、難しそうだから遠ざけてしまう。それだと道具と仲良くなりにくい。ほんとに難しいことはプロに任せて、ほんとは手の届く手入れは自分でできるようになると道具との付き合い方や見え方が変わってくると思います。その小さなきっかけになれればという思いもあって、ちょっとだけ‟参加型”のひとしなにしてみました。
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