柳宗理 〜鳥取と民藝と柳宗理〜
~「Am's」より vol.10~
今日は鳥取とも関わりの深い工業デザイナー、柳宗理(1915-2011)デザインのアイテムをご紹介します。
鳥取は柳宗悦(1889-1961)らがおこした民藝運動の影響が色濃く残る地域です。民藝運動は100年近く前、手仕事から生まれた日常の生活道具に美しさを見出し、調査、蒐集し、後世に残すために民藝品のつくり手を指導しました。鳥取では耳鼻咽喉科の医師であった吉田璋也(1898-1972)が、地元の窯元や職人を指導して新作民藝を盛んに作り、今でもその意思を引き継いだ作り手が多く製作しています。
柳宗理は、柳宗悦の長男として美しい生活道具に囲まれて育ち、黎明期の日本の工業デザインに多大な貢献をしたデザイナーとして知られています。食器や調理用品などの身近な道具から、トンネルなどの公共事業のデザインまで幅広く手がけました。なかでもカトラリーシリーズは50年近く愛される名作といえます。
柳宗理のステンレスカトラリーは軽く、手に取ったとき重さのバランスがよく、異物感のないやさしい口当たり。これは何度もモデルをつくっては実際に使ってみることを繰り返し、時間をかけてデザインされたためです。洗練された工業製品でありながら、民藝品のようなフレンドリーさもあります。そのために、たくさんあるスプーンの中でも吸い寄せられるように、つい手に取ってしまいます。
もうひとつ私が愛用しているのが、ステンレス鍋です。ずいぶん使い込んで味がでてきました。この鍋はフタのかたちに特徴があり、回転させてずらすことで吹きこぼれを防げます。そそぎ口が広く液体のきれもよく、底が丸いためお玉ですくいやすいなど、使いやすさを重視してデザインされています。お味噌汁もカレーも、なんでもこのお鍋を使って料理しています。
柳宗理は長く日本民藝館の館長をつとめ、何度も鳥取を訪れています。黒、白、緑の染分け皿で有名な因州中井窯では、陶器の職人とともに「中井窯ディレクションシリーズ」をデザインしました。
※中井窯のうつわは、Am'sでの取り扱いはございません。
鳥取では民藝が身近で、幼いころからそうと知らずに地元の窯元の器を使って育ったという人が多くいます。世界的なデザイナーのデザインに親しみを感じるのは、そんな地域性もあるのかもしれません。
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