こだまの杜で生まれる児玉修治さんの静かな器

今日のひとしな
2025.12.14

〜「tömpa(東巴 / とんぱ)」より vol.14〜


兵庫県加古川市で活動されていた陶芸家・児玉修治さんは、2024年の春、家族とともに長野県安曇野市へ移り住み、新たな地での制作を始められました。自宅兼工房を「こだまの杜」と名づけ、木々に囲まれた穏やかな場所で、日々の暮らしと器づくりが静かに寄り添っています。
朝には森を抜ける風が窓を揺らし、昼には柔らかな光が作業台を照らし、夜には薪ストーブの火が家族をあたためる。そんな穏やかな時間が、日々の暮らしの中に静かに流れています。


児玉さんの器は、どこか凛とした空気をまといながらも、使う人の暮らしにすっと馴染む不思議な魅力を持っています。窯元で培った伝統的な技術や知識に、琳派や茶道、そしてミッドセンチュリーの感性を重ね合わせ、常に新しいアイデアを形にしてきた児玉さん。


釉薬の色や質感の変化、縁の厚みや重さ、手に持ったときのバランスまで、すべてが計算されて作られています。しかし、決して見た目だけの美しさに終わることはなく、手に取って使い続けることで、器の魅力が日々の暮らしの中に静かに広がっていくのです。毎日の食事や飲み物の時間が、器の存在によって少し丁寧に、そして心地よく感じられる。


「緊張感と美しい佇まい」を大切に、余白や不完全の美を器の中に息づかせています。完璧に整いすぎない“ゆらぎ”を残すことで、手に取る人それぞれが、器を通して自由に想像を広げたり、日常の中で自分なりの楽しみを見つけたりできるのです。


長野の自然に囲まれた「こだまの杜」では、家族で心のこもった食事を拵え、食卓にはいつも修治さんの器が並びます。
暮らしと制作がゆるやかに地続きになり、使いながらまた次の発想が生まれていく。そんな日々の循環が、彼の作品をより深く、やさしく育てているのかもしれません。


昨年の年末、共通の友人・湯浅ロベルト淳さんの紹介で、児玉さんご家族が東巴に遊びに来てくださいました。初めてお会いしたとは思えないほど自然体で温かく、笑顔が絶えないご家族。


他にも仲の良い作家さんたちが集まり、お酒を飲みながらたくさん話し、笑っているうちに、あっという間に時間が過ぎていきました。その穏やかでやさしい空気は、児玉さんの作品にも通じているように感じます。


2025年12月後半、東巴にて児玉修治さんの個展を開催予定です。安曇野の風と光を受けて生まれた新しい器たちが、どのような表情で届くのか、今からとても楽しみです。凛として美しく、それでいて日常に静かに溶け込む、こだまの杜で生まれる器たちは、多くの人の暮らしにやさしい彩りを添えてくれることでしょう。作家在廊日には、京都の「日曜日のごちそう」さんが出張カフェとしていらしてくださり、児玉さんの器でクリスマスらしいガレットをご提供してくださいます。詳細はインスタグラムでご確認ください。



展示会詳細はインスタグラムにて


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tömpa(東巴 / とんぱ)

静岡県湖西市新居町新居2731
TEL:053-594-8633
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月
(※展示会期間中は日・月も営業 / 最新情報はSNSを確認)
Instagram:@tompa_japan
(※営業日や展示会・料理教室などWSについては随時Instagramでお知らせ)

Online Store:
https://www.83com.com/
https://tompa-antiques.stores.jp/
https://www.rakuten.co.jp/tompa/

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