自然のかけらを形にした、ベトナム水牛角のアイテムたち

今日のひとしな
2025.12.16

〜「tömpa(東巴 / とんぱ)」より vol.16〜


東巴で長く扱っている素材のひとつに、水牛角シリーズがあります。
穏やかな光沢と、ひとつとして同じものがない模様。自然がつくり出すその表情に惹かれ、20年以上前から現地ベトナムに通いながら、職人とともにカトラリーやアクセサリーなど、暮らしに寄り添うかたちを生み出してきました。


ベトナムでは古くから、水牛は田畑を耕し、人々の暮らしを支えてきた存在です。東巴で扱う水牛角は、そうした暮らしの中で食の恵みとしていただいた後に生まれる副産物。肉を利用したのちに残る角を削り出し、再び命のかけらとして新しいかたちに生まれ変わらせたものです。自然から授かった素材を無駄にせず、最後まで生かす。そこには、長い年月をかけて培われた生活の知恵と、自然への敬意が息づいています。


加工の工程は、今も昔も大きくは変わりません。自然の形そのままの角を切り分け、熱を加えながらやわらかくしていきます。
一定の温度でじっくりと熱を入れると、角はしなやかに変化し、板状に整えることができます。そこからひとつずつ形を削り出し、丁寧に磨き上げていくのです。


艶を引き出す最後の工程は、職人の感覚によるもの。
磨きを重ねるほどに光沢が深まり、まるで角そのものの奥から静かな光がにじみ出るようです。同じ水牛角でも、模様や色の出方はそれぞれ異なります。白濁したもの、琥珀のように透けるもの、深い黒や灰色を帯びたもの。自然が描いた唯一無二の模様は、どれも一つとして同じものがありません。そんな個性こそが、この素材が持つ大きな魅力です。


東巴では、現地の市場で直接素材を確かめたり、工場で職人とともに試作を重ねながら、カトラリーやアクセサリーをオリジナルの形で制作しています。スプーンやサーバーは使いやすい厚みとカーブにこだわり、アクセサリーは肌に寄り添う軽やかさと自然な艶を大切にしています。


これまでにさまざまな場所から声をかけていただき、デザインや生産を手がけてきた経験をもとに、素材の特性をどう生かすかを、現地の職人たちと探り続けています。ご希望に合わせたオーダーや制作のご相談も承っています。


オリジナルデザインのスパチュラは、エステやサロンを営む方々にもご好評いただいています。店舗では、水牛角を使ったカッサなどのセルフケアアイテムもご紹介しています。自然の素材が持つやわらかな手触りを、日々のケアのひとときに取り入れていただけたらうれしいです。


水牛角は、使うほどに艶を増し、しっとりと手になじんでいく素材です。
自然が育んだ素材のため、熱にはあまり強くありません。熱湯への浸け置きや食洗機の使用は避け、やさしく手洗いしたあと、柔らかい布で水分を拭き取ってから乾かしてください。また、乾燥が気になるときは、少量の植物油を布に含ませて軽く磨くと、美しい光沢がよみがえります。直射日光や高温を避けて保管すれば、より長く、やわらかな表情を保ってくれます。木や革のように、時間とともに育てていく楽しみがあるのも、この素材ならではです。


自然の恵みと人の手の温もりが重なり合う水牛角のアイテム。
アクセサリーは肌に溶け込むようになじみ、光を受けて表情を変え、カトラリーは食卓に穏やかな陰影を添えてくれます。どれも、使う人の暮らしの中で静かに息づきながら、長く寄り添ってくれる存在です。東巴が大切にしているのは、“自然と人とのあいだにある静かなつながり”をかたちにすること。
水牛角のうつわやアクセサリーは、その想いを象徴する素材です。人の手がつくる優しさと、自然が宿す美しさ。その二つが響き合う光を、どうぞ手に取って感じてみてください。



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tömpa(東巴 / とんぱ)

静岡県湖西市新居町新居2731
TEL:053-594-8633
営業時間:11:00〜17:00
定休日:日・月
(※展示会期間中は日・月も営業 / 最新情報はSNSを確認)
Instagram:@tompa_japan
(※営業日や展示会・料理教室などWSについては随時Instagramでお知らせ)

Online Store:
https://www.83com.com/
https://tompa-antiques.stores.jp/
https://www.rakuten.co.jp/tompa/

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