毎日の小さな幸せ・・・ほっこり「ざる」のある暮らし

〜「tömpa（東巴 / とんぱ）」より　vol.30〜

弊店では毎年7月に3週間ほどかけて西アフリカのかご展（Biga du Burkina Faso）を開催しています。この展示は、年間でも特に多くの方に足を運んでいただける企画のひとつで、会期中に3度、4度と通ってくださる方や、毎年この展示を心待ちにしてくださる方が本当に多いのです。
かごという存在は、暮らしの道具でありながら、道具としての価値以上に、女性に何かしらのワクワク感を与えてくれる魔物のような存在でもあるのかもしれません（笑）。私自身も、かごを見るたびに無性に惹かれてしまいます。家中に沢山ある籠類、今年こそは購入しないと決めていても、結局手に入れてしまうのです。本当に不思議です…（笑）。
そして、今日のひとしなは、女性を虜にするかご類の中でも「ざる」のご紹介です。

日本製、海外製、古いものでも新しいものでも関係なく、私は手で編まれた、ざるや台所道具に心を奪われてしまいます。編み目の間に空気が通るような、あの素朴でなんとも愛らしいフォルム、手仕事ならではの微妙な揺らぎ。素材の香りや、手で触れたときに返ってくる柔らかな感触。どれも、量産品にはない魅力がぷんぷんと香ります。

ざるは、昔から日本の台所に欠かせない道具でした。水を切ったり、食材を干したり、蒸したり、洗ったり。忙しい日々のあらゆる場面で、たくさんの役目を果たしてくれる存在です。けれど、ただ「便利な道具」としてだけではなく、使えば使うほど愛着が増し、キッチンの風景をどこか緩やかに、ほっこりとさせてくれる。そんな力があるのも、ざるの魅力ではないでしょうか。

今日ご紹介するのは、私がベトナムの田舎で編んでもらっているざる類です。
生春巻きやチャージョー（ベトナム風揚げ春巻き）、写真はベトナムのブンボー（麺料理）ですが、日本の天ぷらなどを紙や葉っぱを敷いて盛り付けたり、それだけで何倍もおいしそうに見えます。先日いらしたお客様は、庭で旦那様が育てた椎茸を入れるのに使うそうです。この界隈は三ヶ日のみかんが有名なので、深さのあるざるは、みかん入れにもぴったりですね。パンをのせるだけのトレーやお盆としても使えるなど、ざるの使い方は本当にさまざま。

飴色に変化していくのも楽しみのひとつですし、天日干しする時間もまた楽しいのです。

暮らしのなかで自由に使っていただきたいと思っています。お客様から実際に「野菜置きにしたらキッチンが気持ちよくなった」「卓上でパン籠にしたら朝の時間がちょっと気分よくなった」「友達が来た時にお茶を出すトレーにしたら喜んでもらえた」などと教えてくださる方も多く、ざるが日常にちょっとした豊かさを添えてくれることも実感しています。

お店では、このざるたちをオープン当初からずっと絶やさず並べてきました。それは、単に便利だからでも、売れるからでもありません。私自身が、ずっと心惹かれ続けてきた道具だからです。華やかさや派手さはなくとも、毎日の暮らしに、自分のそばにあって欲しい存在です。

かご展でアフリカのかごを心待ちにされている方にも、古道具が好きな方にも、台所道具が好きな方にも、きっとこのざるの良さは伝わるのではないかと思います。飾っても気分が上がり、使えば使うほど重宝する。そんな一石何兆とも言えるほど頼もしい道具をお探しの方や、ちょっと台所の景色を変えてみたい方にも、ぜひ手に取っていただきたいひとしなです。

長く使える上質な日本製の道具とはまた少し違う、東南アジアならではの手仕事のゆるっとした温かみや、自然の恵みが息づいています。ささやかな道具のなかに、作り手の時間と自然の恵み、そして暮らしの知恵がぎゅっと詰まっているような、今日のひとしな「ざる」。気に入っていただけましたら、弊店の楽天市場支店にてお求めいただけます。

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