森林の香りに、落ち着いた

今日のひとしな
2026.10.27

〜「en-shouten」より〜 vol.27

「木曾路はすべて山の中である。」
島崎藤村の小説『夜明け前』は、そんな一文から始まります。
私たちが暮らす木曽谷は、山々に囲まれた自然豊かな地域。面積の90%以上が森林地帯です。木曽福島は、かつて関所が置かれ、人々が行き交った宿場町。そこから少し車を走らせると、深い山々の中へと入っていきます。


私たちも、休日にのんびり過ごしたいときや、日々の疲れを癒したいときには、少し山の方へ散歩に出かけます。
お隣の上松町には、森林浴発祥の地として知られる「赤沢自然休養林」があります。御嶽山の麓に広がる「油木美林」も、お気に入りの場所のひとつ。
木曽ヒノキやサワラなどの木々に囲まれた森を歩いていると、爽やかな香りに包まれ、自然と呼吸も深くなります。外界から隔離されたような森の中は、まさに『もののけ姫』の世界。木々の間から光が差し込むと、シシ神様が現れるのではないか。そんな気持ちになる場所でもあります。
身体の中からすーっと余計なものが抜けていくような感覚。散歩と言いながら、これほど豊かな自然を堪能できるのが、木曽暮らしの良いところです。


そんなヒノキの香りは、個人的には気分をすっきりさせたいときに楽しみたい香り。リラックスしたいときや、気分を変えたいときには、もう少し違った香りも楽しみたいと、以前から家で使うルームスプレーを探していました。
いろいろ試してみても、これ!と思えるものになかなか出会えずにいたところ、見つけたのがこちらのフレグランススプレー。木曽・奈良井宿の車屋木材工業による「Natural Fragrance Spray」シリーズです。


車屋木材工業さんは、木曽漆器の産地にある木工所。この地域の特産品である木曽ヒノキのオイルを使って、ルームフレグランスをつくっています。
使われているのは、材として使われずに捨てられてしまう枝の部分などから抽出したオイル。木曽谷の厳しい環境で、長い年月をかけてじっくり育った天然の木曽ヒノキは、最高級の木材のひとつです。その木を余すところなく使おうとする姿勢に、惹かれるものがありました。


香りは「Red」と「Green」の2種類。成分は精製水と天然発酵エタノール、そして精油だけ。内容量は80mlです。


木曽ヒノキを中心に、ホーウッドとパチュリをブレンドした「Red」。すっきりとしたヒノキに、少し甘くスパイシーなホーウッド、エキゾチックなパチュリが重なります。
いくつもの香りが重なった複雑さがありながら、最後にはヒノキの清々しさが残る。そのバランスが心地よく、わが家でもこちらのRedを愛用しています。寝る前のリラックスしたい時間にも、気持ちをすっきり切り替えたいときにも使いたくなる香りです。


もうひとつの「Green」は、朴の花をイメージした香り。ジャスミンやスギ、木曽ヒノキにレモンやオレンジをブレンドし、甘さの中にも爽やかさを感じられる香りに仕上がっています。甘くうっとりするような香りなので、バスルームや、来客時など特別なタイミングにもおすすめです。


香りものをあれこれ試すよりも、これと決めた定番を長く使いたいタイプの私たち。ふたりとも、気に入った香りになかなか出会えないのですが、こちらはわが家ですっかり定番になりました。お店でも、年齢や性別を問わず、たくさんの方に手に取っていただいています。
探していた香りに、こんなにも身近な場所で出会えたこと。しかも、それが木曽ヒノキを使ったものだったことが、とても嬉しい。
言葉だけで香りの魅力を伝えるのは難しいですが、ぜひ一度、実際に手に取ってお試しいただきたい一品です。
(文・井尾)

車屋木材工業 / Natural Fragrance Spray | en-shouten ONLINE

 

 

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