最後の財布?
〜「en-shouten」より〜 vol.29
財布が大きいと、持ち歩けなくなります。
面倒になってコインケースだけで出かけてしまう。領収書はポケットに突っ込んで、くしゃくしゃにして持ち帰る。個人事業主なので、あとでまとめるときに結構困るのです。怠惰が故の悩みです。
そんな自分が3年ほど前に新調したのが、inswirl(インスワール)のL ZIP SEMI LONG WALLETでした。

inswirlさんは、長野市に実店舗と工房を構えるブランドです。害獣の革を使ったレザーアイテムや、生地・縫製まですべて国内にこだわった衣類をつくられていて、人にも環境にも優しいものづくりを続けています。

このお財布に使われているのは、野生の鹿革。鳥獣被害対策のために駆除されている鹿のものです。
いただいた命を無駄にしないため、強度に問題のある部分以外は使っているのだそう。なので、小キズなどの生きた跡が見られることがあり、同じ商品でも多少の個体差があります。革のなめしにも、重金属や化学薬品は使っていない植物タンニンなめし。環境にも使う人の肌にも優しいです。

表側の素材が新鮮でした。なめした鹿革を、高温のプレスでシボ目(立体的なシワ模様)を抑えて硬く仕上げ、さらにオイルフィニッシュをかけています。新しい野生鹿革の仕上げ方法なのだそうです。
表側とコインポケット、カードケースには、この耐久性の高いプレスレザーを。内側には通常の柔らかい鹿革を使っているので、手触りの柔らかさとシボ目の美しさも楽しめます。

厚みは5mm。お札を折らずに入れられて、コインポケットとカードケースもついています。必要十分で、見た目にもすっきり。
フラットなので、領収書も綺麗に収まります。くしゃくしゃにならない。
ファスナーはYKKの最高級ファスナー、エクセラ。開け閉めがとても気持ちいいです。

3年使っていますが、財布を確実に持ち歩くようになり、レシートをしまう癖もつきました。
薄いので、入れすぎると気になってくるのです。気になるから、すぐにファイルへしまい直す。物のかたちに行動を矯正されているだけとも言えますが、結果として助かっています。

経年変化も気に入っています。
プレスで抑えられていたシボ目が、使ううちに適度に出てきました。硬く仕上げた耐久性はそのままに、鹿革本来の表情がじわじわと滲み出てくる感じ。
一方、内側は買ったときとあまり変わりません。柔らかくて、手触りが気持ちいい。鹿革のしなやかさがそのまま残っています。
表と内側で革を変えているというのは、こういうことだったのかと、3年経ってようやく腑に落ちました。

ひとまわり小さいCOMPACT WALLETもあります。お札を二つ折りにして入れるサイズなので、よりキャッシュレス寄りの方に。
キャッシュレスが進んで、時代はどんどん変わっていきます。もしかしたらこれが、自分にとって最後の財布になるのかもしれない。そんな時代だからこそ、この最小限のコンパクトさが良い。紙幣と硬貨が存在し続けるまでは。
もし本当に財布がいらなくなったら、そのときはinswirlさんに、何か別のものをつくってもらいたいですね。
(文・井上)
inswirl / Deer Leather L Zip Semi Long Wallet | en-shouten ONLINE
長野県木曽郡木曽町福島8101
TEL : 0264-24-0875
営業日/時間:Instagramを確認
https://en-shouten.com
Instagram : @en_shouten
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