すべすべぽってりな須藤拓也さんの「白釉こども碗」

今日のひとしな
2017.08.26

~ musubi(むすび)より vol.26 ~

娘が生まれて半年が過ぎた頃、生まれて初めて「離乳食」なるものを作ることになった。お猪口一杯分のお米を十倍ほどの水で炊き、すり鉢ですり潰して小さなお匙に載せて小さな口に運ぶ。何やら神妙な顔をして、それを口に含む様子は、これから生きていくための儀式のようだった。

今日は口をへの字に結んで食べようとしなかった、食べ物で遊んでばかりで全然進まない、食事を終えると決まって洗濯ものが山のようになる、お野菜を全く食べてくれない……。周りのお母さんたちと交わす会話、あの頃は一日中ごはんのことばかり考えていたような気がする。

26須藤拓也さんの白釉こども碗_02

抱っこして買い物に行き、眠っている隙に台所へ立ち、目を覚ましたらオムツを替え、お膳を整える。そうして、器からほかほかのおかゆをお匙ですくい、いざ口に運んだ瞬間にお匙がその小さな手で払われる、そんな事は日常茶飯事。それでも、ごはん。とにもかくにも健やかに育ってほしい、その一心だったのだと思う。

26須藤拓也さんの白釉こども碗_01

ごはんを食べる赤ちゃんのほっぺのように、ふっくらすべすべとした白釉の飯碗。使う度に少しずつ表情を変えるごはんの器は、小さな娘との暮らしの真ん中にいつもあった。

26須藤拓也さんの白釉こども碗_03

ぽってりとした厚みがありながら、手にとってみると軽い。優しい生成色をした「こども碗」は東京在住の陶芸家・須藤拓也さんの手によるもの。色も形も優しく柔らかい。低めの高台には全体に釉薬が施され、どこを触ってもすべすべふっくら、優しく柔らかい。

26須藤拓也さんの白釉こども碗_04

ごはんの回数を重ねる毎に、表面に入った貫入が少しずつ染まって、ゆっくりと育っていくことでしょう。こどもと一緒に。

 

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musubi(むすび)

普段の暮らしに、ささやかだけれど美しく、しっかり寄り添ってくれる日用品や雑貨をセレクトしたお店。「今日のひとしな」の執筆は、店主の坂本眞紀さん。

 

東京都国立市富士見台1-8-37
TEL:042-575-0084
営業時間:12:00~18:00
定休日:日、月曜
WEB:http://www.musubiwork.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/musubiwork/
instagram:https://www.instagram.com/musubi_work/

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