伝統&新しさが共存する「ハリノヲト」のこぎん刺し
~ musubi(むすび)より vol.30 ~
花っこ、豆っこ、馬っこ……東北では言葉のおわりに「~っこ」「~こ」とつけて呼ぶことがある。どこか可愛らしく、話し手の愛情が感じられる好きな方言のひとつだ。青森県・津軽地方に伝わる刺し子の技法・こぎん刺しの基礎となる模様を「モドコ」と呼ぶが、模様の「元」になるから「元っこ=モドコ」となったらしい。
モドコにはマメコ(豆)、テコナ(ちょうちょ)、ハナコ(花)、クルビカラ(くるみの殻)など、自然がモチーフのものが多く、また身近な動物も登場する。伝統的なモドコ「猫のマナグ」(東北地方の方言で「目」のこと)が施されているが、「ハリノヲト」植木友子さんの手にかかるとこの通り。遠い昔から引き継いだものにも関わらず、今の暮らしの中で思わず手を伸ばしたくなるような現代的な表情を持つ。
こぎん刺しは、綿の栽培ができず、さらに木綿の着用を禁止された農家の女性たちが、目の粗い麻布に防寒のため糸を刺したのが始まりだと言われている。伝統的な技を引き継ぎながら、凝り固まることなく、柔らかく自由な視点を持つ植木さん。秋田出身の彼女が、東北地方の名産を形にするところから始まった独自図案は、青森のりんご、秋田のイタヤ馬、岩手の鉄瓶……と、試行錯誤を重ねながら増え続けている。
目指すは日本全国47都道府県、行く先々が楽しみになる旅のような仕事です。
普段の暮らしに、ささやかだけれど美しく、しっかり寄り添ってくれる日用品や雑貨をセレクトしたお店。「今日のひとしな」の執筆は、店主の坂本眞紀さん。
東京都国立市富士見台1-8-37
TEL:042-575-0084
営業時間:12:00~18:00
定休日:日、月曜
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