自然の美しさを身に纏う「Pfutze(プフッツェ)」のアクセサリー

今日のひとしな
2018.01.30

~ HOEK(フーク)より vol.30 ~


トネリコ、カラスノエンドウ、シロツメクサ、キンモクセイ、星の砂、流れ星、結晶、水滴、光と影 etc……。

大人になると、ある時、自然に対して目を向けることが特別なことになっていることに気がつきます。季節の変わり目に、変化する空気感やその匂いを感じ、ノスタルジックな気持ちにさせられるのも、幼少期、それが日常にあったからこそのこと。

シロツメクサで花輪を作ったり、オオバコで草相撲をとったり。学校の帰り道、道端で見つけたカラスノエンドウを、誰が一番上手に吹けるか競い合っていた時代です。日常と自然は、今よりも随分と近い存在にあったように思えます。両親の存在が今よりずっと大きかったあの時代。遊び疲れた帰路、夕日に伸びた親子の影はしっかりと手を繋ぎあっていて、私を安心させてくれました。

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少し成長し、宇宙の存在を知った頃には、その答えのでない広大な世界に、言葉では言い表せない不思議な気持ちにさせられたものです。夜の暗闇の中、考えすぎて眠れなくなったことさえありました。

夏休みの日課であるラジオ体操では、朝日が放つ力強い生命力を感じる朝。早起きが得意ではなかった私にとって、その清々しさが心地よいことを初めて知る機会であったように思います。長い夏休みの後、誰かにもらった星の砂には、行ったこともないどこか遠くの砂浜を思い、いつか行って見たいなぁなんて夢膨らませたものです。

息も凍る冬空で見た、一瞬を煌めく流れ星。星空の課題研究、夜、子供だけで外出した高揚感が、突き刺さる程の冷たい空気とともに、今でも生々しく思い出されます。

そんな幼少期の全身全霊で感じる世界は、大人になった私たちこそ、再び感じるべき感覚であったり、存在だったりすると思うんです。

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多かれ少なかれ、誰しもの中にしまいこんであるその記憶が形になったような「Pfutze(プフッツェ)」のアクセサリーは、外観の美しさはもちろんのこと、身につけることであの頃の感覚を取り戻せるような存在でもあると私は思っています。「Pfutze(プフッツェ)」は、ドイツ語で“水たまり”という意味。北康孝さん、賀来綾子さんが夫妻で2007年よりスタートしました。

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目の前に植物園を望むアトリエの大きな窓からは、季節ごとに木々の移ろいが楽しめます。東京とは思えないほどの印象的な空間で、白ベースのすっきりとした空間に、センスのよい小物が所々に置かれています。二人の製作スペースは、壁によって区切られており、奥には様々な種類の細かい機械が整然と並び、ここではパーツの形やコンセプトにこだわりの強い北さんが研磨してパーツを仕上げる役割を担います。

その隣のスペースでは、アクセサリーとしての美しさや使いやすさにこだわりが強い賀来さんが、細かなパーツを収納する小さな引き出しやケースたちに囲まれながら、丁寧にパーツを組んで完成させているのです。

アクセサリー制作に用いられる技法は、“鋳金”や“彫金”と呼ばれる技法が中心になるそう。鋳金は原型から型をとりそこに金属を流し込んで制作する方法で、彫金は、金属板から形を切り出していく方法。ただ、完成のイメージにより近づけることを第一に考えているお二人は、必要であれば、新しい技法にもチャレンジするといいます。妥協を許さない作品への熱意が伝わってきます。

そして、どの作品も最後は、完成型のイメージに向かって磨いたり削ったりと、本物さながらに活き活きと仕上がるよう命が吹き込まれていきます。完成した作品の放つ本物さながらのその眩い存在感は、そんな二人の熱意とこだわりの賜物なのです。

 

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カタログも、印刷から製本まで全て自分たちでつくりあげたそう。

デザインソースは、二人の幼い頃の記憶がベースだと言います。幼い頃から、自然や宇宙に興味があり、図鑑全集が愛読書。貝殻のコレクションは今でもきれいに保管されているのだそうです。そんな自然物の記憶の再構築からデザインされた「プフッツェ」のアクセサリー。私たち誰しもが子供の頃に感じたその記憶に、ダイレクトに響く暖かさが感じ取れるんです。自然物がモチーフになったアクセサリーは、躍動感に溢れています。自らの手作業で作り出すその技術は本物です。

自然物がモチーフになったアクセサリーは、まず本物を採取するところからスタートし、その実物そのもののテクスチャーを使ったほうがキレイなものであれば型をとり、そうでなければ実物を見ながら自らの手で形を削り出していくのだそう。

その過程の中から二人で話し合って、最終的にどのようなデザインに仕上げていくかを決めると言います。制作過程では時に衝突することもあるそうですが、お互いに妥協なくそれぞれのこだわりを尊重するように決めていくのだそうです。とてもいい関係性ですよね。畑は違いますが、私たち「HOEK」も日々、夫婦お互い本気で意見をぶつけ合える関係であることは、店を営むうえで最大の武器の一つだと感じています。壁が無いぶん、それなりに(結構……笑)、ぶつかるものですが、逆にそれがお店にとっても、いい意味での成長に繋がっています。もちろん、お互いの立場に立った考えを考慮しつつ、思いやりをなくしてしまっては元も子もありませんが、よいものを生み出したい気持ちは同じです。ものづくりをするうえで、「プフッツェ」のお二人ものそういった関係性も、この素晴らしい作品作りに一役買っているんだなぁと心底納得です。

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二人の確かな技術が、繊細な自然物の表情を、鮮明によりリアルに作り出しています。種のモチーフや鉱物のモチーフ、キンモクセイなど、風に乗った立体的なシルエットなど、どれも素晴らしく美しいフォルムです。実際につけてみると、さりげなくも美しく光るその存在感に感動していただけるはずです。

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手で一から削り出された1cmほどの背丈の干支シリーズは、イベントで不定期に制作されているシリーズ。素晴らしい技術です。

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グリーンゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、プラチナ、ミックス素材で作られた流れ星シリーズのピアス。直線のデザインが美しいこちらのピアスは、素材の質のよさが際立つデザイン。小さいながらに、全身をラグジュアリーな雰囲気に引き立てます。

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虹シリーズのリング。

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トネリコの種をデザインしたピアス。ゴールドとシルバーの展開で、デザインも様々。立体的で、つけると動きが出て美しいシリーズ。左右違うデザインを選んでも、同じデザインで揃えても。

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鉱物がモチーフのピアス、小さいものでも存在感があります。

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葉っぱがモチーフになっています。

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実際につけると、このような感じになります。

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雲母のピアスも立体的でユニーク。

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一部だけチェーンが二重になっていることで陰影を出した、影シリーズのネックレス。しなやかなチェーンが美しいシリーズです。

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つけると、細いけれど、確かな存在感があります。

「HOEK」の店頭では、これらのサンプルを常に展示しています(時期により商品構成が変わる可能性があります)。ピアスもご試着いただけますので、ぜひ一度体験してみて欲しいと思います。アクセサリーに姿を変えた自然物の美しさが、毎日頑張る大人たちにとって忘れかけていた大切なものを思い出させてくれるはずです。

 

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HOEK(フーク)

ヴィンテージ、プロダクトデザイン、ハンドクラフトなど様々な分野から、食器、インテリア雑貨、日用品、オブジェ、キッズアイテム、ファッションなどジャンルレスに紹介。「今日のひとしな」の執筆は、主に大井美代さん。ときどき大井智史さんも登場。

 

東京都渋谷区神宮前2-33-16 チサンマンション原宿502
TEL:03-6805-0146
営業時間:12:00~19:00
定休日:水、木曜
http://www.hoek.jp
最新情報はInstagram「@hoek_shop」にて

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