真鍮と暮らす「FUTAGAMI(二上)」の生活用品と建築金物

今日のひとしな
2018.02.23

~ 「組む東京」 vol.23 ~


「FUTAGAMI」のプロダクトには“一緒に暮らす楽しみ”があります。こちらの製品は全て、無垢の真鍮で作られています。そのため、使い込むほどに、色合いが濃く深くなり、味わいがでるのです。それは見た目だけのことではなく、手に響く感触、重み、温度。日々、触っていると変わっていく風合い。使う人、使われる場所の色に染まっていき、素材を育てる楽しみを味わうことができるのです。

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photo:山崎義樹(@yamazaki yoshiki


「FUTAGAMI」のプロダクトは、溶かした真鍮を砂の型に鋳込んで作る鋳物です。そして、その鋳肌の素地のテクスチャーを生かした仕上げが「FUTAGAMI」の特徴の一つ。細かな粒子を集めたような美しい肌合いは、柔らかな反射を生み出し、その輝きに深みを与えています。

鋳肌の素地そのままで仕上げるのは、大変技術のいることです。型から出したあとに磨き上げるのが一般的な技法ですが、この磨きのプロセスで、ある意味、消したい部分は消すことができます。しかしながら、鋳肌のテクスチャーをそのまま残すためには、砂の質、砂型の精度などに、大変な配慮が必要になります。

「二上」は、富山県高岡市で1897年に創業。真鍮鋳物の伝統技術を守ってきたメーカーです。磨かれた真鍮が普通だった時代からの、意識改革と技術の見直し。二上社長の決意と挑戦が、この美しい鋳肌仕上げのシリーズの礎となっているのです。

そして、プロダクト一つ一つをよく見ると、鋳肌の部分と磨き仕上げの部分のコンビネーション、磨きの加減、ヘアラインの方向、面の取り方や角の仕上げ、全てが、デザイナーの大治将典さんにより注意深くデザインされています。そのようなデザインへの徹底した姿勢も、「FUTAGAMI」の大きな魅力なのです。

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<「FUTAGAMI」ペンダントランプ(小)鋳肌 @「組む」>


振り返れば、「真鍮がなんとも言えず好き」という人に、たくさん出会ってきました。けれど、その人々とかつて話したのは、「なかなか気に入ったものが見つけられない」「アンティーク屋さんで、やっと掘り出し物を見つけ出した」というようなこと。そんな真鍮を、日常の中で楽しむことができる、“一緒に暮らせるもの”にした「FUTAGAMI」。私は、「FUTAGAMI」が生み出したものが暮らしに与えた影響は、とても大きいと感じているのです。

10年近く前、二上社長とデザイナーの大治将典さんの出会いから生まれたこのブランド。私がよく存じ上げているのは、二上社長、大治さん、そして建築金物のブランド「MATUREWARE」を押し進めたデザイナーの山崎義樹さんですが、それを実現し、形にし、届けてくださる関係者の方々全てにお礼を言いたいほどなのです。

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<「MATUREWARE」ドアノブ @「組む」>


8、9年前でしょうか。ある日、大治さんが三日月型の木で作られた栓抜きのモックアップを、家に持ってきて見せてくれました。振り返れば、それが、二上さんと大治さんが最初に手がけたプロダクト、栓抜きのシリーズの一つの原型です(こちらは現在、冒頭の写真の中央、三日月型の栓抜き「三日月」として製品化されています)。我が家のダイニングテーブルの上で、「なんで今、栓抜きなの?」と談笑しながら、みんなでそのモックアップをさわった、そのひとときが忘れられない光景として、心に残っています。今振り返れば、「FUTAGAMI」が芽吹いた瞬間に立ち会っていた、幸せな時間だったと思います。そして、今や世界中の人々に愛されている「FUTAGAMI」の姿を見ると、感慨深い気持ちでいっぱいになるのです。

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< @「組む」>


例えば、箸置き一つから、ペーパーウェイト一つから。真鍮との暮らし、はじめてみませんか?

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<「MATUREWARE」ネームプレート @「組む」>


「組む」では、「FUTAGAMI」の製品、ほとんどを手にとってご覧いただけますし、全てを取り扱っています。照明器具、建築金物は実際に設置して使っていますので、その状態を見たり、触ったりすることもできます。ペンダントランプの光の加減は、点灯したところをご確認いただけます。

世界中で引っ張りだこの「FUTAGAMI」の製品は、受注からお届けまで、数ヶ月の時間を要することもあります。詳しくは、お問い合わせをいただければと思います。

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<「FUTAGAMI」ペンダントランプ(小)鋳肌 @「組む」>

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<「FUTAGAMI」ペンダントランプ(小)明星 黒染め @「組む」>


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組む東京

国内外のものづくり、手工業の交流拠点となる場として、ショップ、ギャラリー、コミュニティ・スペースの機能をもつお店。「今日のひとしな」の執筆は、代表・キュレーターの小沼訓子さん。

 

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