「用の美」が息づく、アフリカ産まれのスツール
~HAC by WONDER MOUNTAIN(ハック バイ ワンダーマウンテン)より vol.18~
今日ご紹介するのは、アフリカ・セルフォ族のスツールです。
「かっこいい椅子を見つけた」と、当店の男性オーナーが買い付けの際に自分用に持ち帰ってきたのが、このセヌフォ族のスツールとの出会い。もともと藍染の古布に魅了され、収集をしていたオーナー。その流れで、アフリカの藍染物に出会い、アフリカの民藝品にも興味を持つように。
このスツールは、実はセヌフォ族にとって欠かせない生活道具。なんと一本の丸太から削りだして作られたものなのだそう。アフリカには、先進国ではもう不可能になってしまったような古典的な手仕事の物作りが沢山残っているような気がしますが、そのひとつがこのスツールだと思っています。
一本の丸太から削り出す手法なのですが、それが洗濯などに使う日用品であるというところに大きな魅力を感じます。「観賞用としての高級品ではなく日常的な道具でありながらも、この非効率な生産手法を用いているというところに、何ともいえぬ緩やかな時間が流れているような、そんな感覚をくれる気がします」とオーナーは言います。
アフリカの女性たちはこのスツールを逆さにし、四本の脚の間に洗濯ものをたくさん詰め込み、頭に乗せて川などの水辺まで歩いて洗濯に行きます。水辺に着くと、この洗濯台を川の浅いところに置き、座面に衣服をたたきつけながら洗濯をするのだそう。
私はそのエピソードを知り、同じ女性として大げさなようですが、「何てたくましくてかっこいい女性たちなんだろう!」と感銘を受けずにはいられませんでした。子供たちの洗濯ものを全自動洗濯機で洗い、毎日嫌々たたんでいる自分がどれだけちっぽけなのか…(笑)。
デザイン自体は柔らかなフォルムでありながらも、多少の川の流れにも負けないように、ダイナミックでどっしりとした作り。そして、それを支える可愛らしくもたくましい四本の脚。まるで強い女性を体現しているかのようで、触れれば触れるほどに愛しさがこみあげてきます。
店にいらしたお客様も、座り、触れて、眺めて、個体差や癖を見つけながら、じっくりじっくりと選ばれます。「ダイニングテーブルに合わせたい」「和室に置きたい」「茶托にしたい」はたまた「子供がミニカーで遊ぶ台にぴったり」…とお客様の思い描く楽しみ方もそれぞれで面白いなと感じます。
日々の生活を営むために、万能性を求められて生まれたかたち。使い方にとらわれない自由さは、私たちの暮らしにも新たな楽しみをもたらしてくれます。
まずはぜひ一度、腰をかけてみてくださいね。
TEL:084-983-2740
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜(祝日の場合は営業)
http://hac.digital-mountain.info/
Instagram「@hacbywondermountain」
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