夏はさっぱり麺類の朝ごはん
「ひねもすのたり」松原幸子さん vol.4
こんにちは、「ひねもすのたり」の松原です。
夏に向けて食欲のなくなる時期の朝ごはんには、さっぱりとした冷たい麺類(うどん、そうめん、お蕎麦、冷麺など)が増えます。今回は稲庭うどんに薬味をたっぷりと盛り合わせ、お漬物、ミニサラダ、常備菜などを添えました。季節柄、涼しげな磁器やガラス、銀彩や染付の器が多くなります。
稲庭うどん……古伊万里皿、工藤和彦さんのたわみ皿
お漬物……藤塚光男さんの小皿
ミニトマト……村田森さんの小鉢
そして今回は、折敷(おしき)のススメを。私も器のお店に勤めるまで読み方も知らず、「お盆」と言っていましたが 「折敷」は縁のついたお盆で食器を乗せて使うもののことを言います。
稲庭うどんを食べたこの日は、夏らしいメニューに合わせ、折敷も竹製のものを使ってみました。
普段の食事で家族3人がよく使っているのは、山本英明さん作の漆の折敷。息子が小さい時は、何度もこぼして拭いてをくりかえしたせいか、下の漆が顔を出して、根来(黒漆の下塗りの上に、朱漆塗りを施したもの)みたいになっています。山本さんは亡くなってしまい、ご子息に塗り直してもらおうとご相談したのですが、「いつでも塗り直しできますが、このままのほうが味があっていいのでは?」と言われ、今もそのまま使っています。
こちらはお店で使っている折敷で、左下が赤木明登さん作の漆塗り、他はどれも骨董市で入手したもので、左上から時計回りに、ケヤキ、竹編み、楕円型のものです。
折敷を使うと、簡単な料理でもきちんとした食事の気分になりますし、セッティングや片付けが楽です。お客様がいらした時は、なんとなく本格感が演出できます。高価なものでなくても、骨董市などで見つかるので、ぜひお気に入りの一枚を探して使ってみてください。 特に一人での食事は、折敷があるのとないのとで、全然気分が変わりますよ。
最後に、お店で扱っている調味料の一部をご紹介。左から、奄美の粒みそ、能登「鳥居醤油店」のだしつゆ、イタリア「Guerzoni(グエルゾーニ)」のバルサミコ酢です。
だしつゆは、今回の稲庭うどんなど、麺類のつゆとしてはもちろん、煮物や汁物やおひたしなどにも重宝しています。バルサミコ酢も長年愛用しているもので、2年ほど前にイタリアのモデナに生産者を訪ねました。究極の有機栽培とも言われるバイオダイナミック製法で、真面目な物作りに取りくむ姿勢に感動しました。生野菜に、このバルサミコ酢と塩こしょう、オリーブオイルをかけるだけで、とても美味な一皿になります。
奄美大島の粒みそは、旬の野菜や山菜と和えたり炒めたりするだけで季節感のある常備菜に。また、そのままでお酒のつまみにもなります。ちなみにこちらは、島らっきょうと粒みそを炒め和えした、わが家の定番常備菜です。
作り方は簡単。島らっきょうと粒みそ、酒、水を炒め合わせるだけです。粒みそと相性がいい素材は、春は、ふきのとう、うど、島らっきょう、山椒、ふき。夏は大葉、ゴーヤ、なす。秋はきのこ類、冬はねぎなど。これらを、厚揚げと和えたり、お肉やお魚のソースとして使ったりしてもおいしく、バリエーションが広がります。
4回にわたり、拙い朝ごはん紹介コラムをお読みいただき、ありがとうございました。繰り返しになりますが、お料理は簡単なものでも買ってきたものでも、お気に入りの器を使うことで、日々の生活にうるおいと彩りが生まれること、そして、多少高価でも長い目で見れば修理もできるし、いつまでも飽きずに使えて割安であることを、ぜひ実感していただけたら幸いです。
東京都杉並区阿佐谷北1-3-6 2F
TEL:03-3330-8807
営業時間:月~水12:00~18:30、木18:30~23:30、金土12:00~23:30
定休日:日曜
http://ひねもすのたり.com/
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。