残り物が豪華に変身! 出汁茶漬け朝ごはん
「matka (まとか)」吉井美晴さん vol.4
こんにちは。群馬県高崎市で「matka(まとか)」という作家ものの器を扱うお店を、夫と二人で主宰しております吉井美晴です。我が家の朝ごはんとその器づかいを少しづつご紹介してきましたが、いよいよ最終回となりました。今回もよろしくお願いいたします。
photo:吉井淳一 text:吉井美晴
ときどき夫からリクエストのあるメニューの一つに、出汁茶漬けがあります。少しずつ残ったお惣菜、お漬物を消費する為にひねり出した組み合わせなのですが、余り物が一転して特別な朝食メニューに変身してくれるようです。
喜んでもらうためのポイントは、出来るだけたくさんの具材を用意することと、しっかり濃いめ、熱々のお出汁を用意すること。
林拓児さんの貫入舟形皿には、塩鮭のほぐし身、自家製梅干し、お漬物を細かく刻んで。伊藤聡信さんの色絵小皿は、薬味を使い切った時にあらわれる可愛らしい色絵にほっこりしてしまいます。どちらのお皿もそのサイズ感、形、深さが使いやすくて頻繁に使ってしまう器です。
数年前にご飯茶碗を割ってしまってから、間に合わせの飯碗を買う気になれず、器屋の店主としてはお恥ずかしいお話なのですが、小鉢や汁椀をその時々で飯碗代わりに使っていたここ数年。家族みんなで共有して使う器と違い、ご飯茶碗はとてもパーソナルなモノ。大きさはもちろん、フォルムや釉薬の色味、手触り、重さ。毎日、毎日使う器となれば、考えれば考えるほど迷宮に入り込んでゆきます。ようやく迷宮から抜け出す事が出来たのは、長谷川奈津さんのお陰。
展覧会用に、と送っていただいた器の中から、私の手にピッタリおさまる林檎灰釉の飯碗を見つけたので自分用に購入させていただきました。そして、やはり縁が欠けたまま使っていた夫の茶碗も、長谷川奈津さんの粉引茶碗に切り替えたのです。
タイミング同じくして我が家の食器棚に加わった長谷川奈津さんの片口。酒器のイメージがある片口ですが、我が家では今日のようにお出汁を入れたり、時にはお料理を盛ったり、お抹茶を何人分かまとめて立てるのに使ったりと大活躍してくれる器です。
豆皿好きが高じて色々な作家さんの豆皿が充実している我が家。お茶漬けメニューの時には、ここぞとばかりに具材を盛るのに色々な形を並べて楽しみます。もちろんお気に入りの安齋新・厚子さんの木瓜豆皿も並べて。色々な形のお皿が並ぶ事で、食卓の上にリズムが生まれるような気がしているのです。素敵な器に大きく助けられている我が家の食卓。作り置きも、残り物だって、器のお陰でご馳走に見えてしまう奇跡です。
10月の朝ごはんコラム。拙い文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。いつか、私たちの住む街で皆さまにお会いできますと嬉しいです。
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