細い糸で密に織られた「あひろ屋」の手ぬぐい
~niguramu(にぐらむ)より vol.8~
ある時ふと目に飛び込んできた鉄瓶柄の手ぬぐい。白地に黒色の鉄瓶がたくさん並んでいる柄で、大きく余白をとった大胆な構図が印象的でした。手ぬぐいについての知識はあまりなかったけれど、こんな手ぬぐい見たことないな、いいなぁ、と思って連絡を取ったのが「あひろ屋」野口由さんとの出会いです。
お話を伺うと、オープンの時期も近く、年齢も同じだったり、おひとりでネットショップをされている(当時は私もそうでした)など、共通点が多く、お互い不慣れな中で、少しずつお取引を始められたのが、良い意味で気楽というか、ちょうどよい感じだった気がします。
「あひろ屋」さんの手ぬぐいには、特岡という生地が使用されています。手ぬぐいで主に使用される生地にはいくつか種類があるようですが、この特岡はごく細い糸をきっちり密に織り上げたやや厚手の生地で、柔らかくしなやかな中にも耐久性を兼ね備えています。新品時のふんわりさも気持ちいいけれど、使い込んでくったりしてきた時もまたいいんです。
そういえば子供が小さい頃、軽いやけどをした時や熱を出した時、保冷剤を包んで体に当てたり、沐浴の時に使ったりもしたなぁと、この記事を書きながら思い出しました。我が家はわりと皆クーラーがんがんが苦手なので、今でも手ぬぐいに保冷材は暑い日の定番です。
それから、この手ぬぐいで個人的にいつも楽しみにしているポイントが、ありそうでない色柄、デザインはもちろんですが、それらにつけられた名前や、色の選び方。灰緑や白茶といった色など、聞いたことのない響きが多くて、ちょっと調べてみたり、そこからまた物語が広がっていく感じというか。
伝統や季節の移り変わりを今に伝えてくれる手ぬぐいは、古くから遊びや洒落の利いた日用品でもあります。そっと寄り添ってくれる「あひろ屋」さんの手ぬぐいは、これからもきっと身近にあるんだろうな。
「あひろ屋」手ぬぐい
¥1,080~1,404(税込)
text:宮嶋ヒロコ
日本各地から日用品、雑貨、器、アクセサリーをセレクト。連載コラムの執筆は、店主の辻 喜代司さんと宮嶋ヒロコさん。
石川県金沢市高岡町18-13
営業時間:11:00~19:00
定休日:木曜
TEL:076-255-2695
https://www.niguramu.jp
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