素朴ながらも力強い 竹花正弘さんの小皿

今日のひとしな
2020.05.05

~ 「岡の」より vol.5 ~

竹花正弘さんの器はとても静か。まるで自分の手の癖や意図が出ないように、細心の注意を払っているかのよう。創作の欲を全て削ぎ落としたような、力の入る手前ですっと息を抜くような。
 
 
お店では、今日ご紹介するお皿を中心に、蕎麦猪口や酒杯なども扱っています。素直な形、自己主張のない質感、素朴な土色。作家としての特徴を出来るだけ出さないようにしているような、そのような器たち。

初めて個展で伺った時、その静けさにむしろ圧倒されてしまい、一つ頂いて帰ったのでした。そして使ってみると、何気ないもの、素材そのままのお料理を盛り付けるととてもいいのです!
 


(縁を少しぶつけてしまい金継ぎをしています。それもよいアクセントに)
 
わが家では炊飯器を置くスペースがない、という理由で土鍋でご飯を炊いています。炊き上がったばかりのお米で握るおにぎり。竹花さんの器にそういうものをのせてあげると、本領発揮という感じで輝くようです。
 
唐津の厳木(きゅうらぎ)で作陶されている竹花さん。工房はまさに山の中。
 

自然の近くというよりも、大いなる自然そのままのところに、人が作るためだけの場所を遠慮がちに切り開いたような空間。ご自身で作られた登り窯は完成までに数年の歳月がかかったそうです。

陶芸家の方と話していると、時間の流れが明らかに街中に住む人と違うと感じます。今日、明日、来週と予定の管理だけでもあたふたとしている都会と違い、一年や十年二十年、一生、そして自分がいなくなった後の未
来……という時間軸で言葉が綴られていきます。

陶芸家という仕事につい
て、改めて想像してみます。
 
土があり、火があり、人の力が及ばない窯で起こる自然の強さをそのまま受け入れる生き方。
 
 
竹花さんの創作の一つの指針としている、「1600年代はじめの古唐津」。朝鮮から連れてこられた職工たちによって、短い間だけ唐津に存在した器。唐津を訪ねた際、少しだけ見る機会がありましたが、質素でありながら力強く、精神性の高さを感じることができます。
 
竹花さんと話していて、どうしても聞きたかったこと。
 
「どうして自己を出さないのか? 作為が出ないように気をつけているかのよう」
 
すると、
 
「無作為ということではないです。作りたいものや狙いはあって、そこに向き合って突き詰めていく感じ」
 
とことん土と向き合った先にあるのは、安っぽい『自己表現』とは別の場所。求める意識が高いほどに、自分が消されていく感じ。竹花さんの言葉を聞いてからもう一度器を見てみます。小さな小皿でも高台に強さを感じます。力を抜いたよう、と感じた器でしたが、長年使って骨董品として残り続けるであろう、集中力の高さを感じます。
 
斑唐津 径13.5㎝ 高さ3.5㎝ 3,850円
 
「唐津は使って完成する」と言われていますが、まずはぜひ小皿を一枚手に取って、梅干し一つ、おにぎり一つ、のせてみて頂きたいです。素朴だけど、心のこもったもの。新鮮なお野菜のお浸しもよく似合います。
 
 
金額の目安(デザインによって金額は変わります)
4寸皿(約12センチ)2,750円〜
6寸皿(約16センチ)5,500円〜

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