‟特別な顔”をもつ普段使いの器 三笘修さんの灰粉引の器

今日のひとしな
2020.05.18

~ 「岡の」より vol.18 ~

三笘さんの器は日常の器です。しかしこれほど特別な顔をしたものはありません。どれにも愛すべき特徴や、好きにならずにはいられない個性があります。

三笘さんの灰粉引の器は、おそらくわが家で最も多く使っている器です。


 
釉薬に流れがあり、美しい模様が生まれています。緑からオレンジへと釉薬の変化はひとつとして同じものがありません。
 

こちらがわが家で使っている三笘さんの器です。このお碗は、ふたりの子どもの子育て時代にあちこち欠けてしまいました。ほぼ毎日使って14年が経った器です。

愛用の器を眺めていると、日々使うことでできる染みなどが重なり、10年という時を経て育つ美しさがあることに気付きます(この染みが美しいと感じるかどうかはもちろん個人の意識で分かれるところですが)。 ふちがぼろぼろになっても、なんて美しい器だろうと思います。

美しいだけでなく、使い勝手もとてもよいのです。
 
ありとあらゆる料理にぴったりで、炊きたてごはんから煮物、おひたし、サラダ、汁物、丼ものにも使っています。いわゆる‟普段着”の器でありながら、隅々まで美しい。青菜を茹でただけ、お肉を焼いてカットしただけの簡単なお料理だって、この器なら食卓を彩りよく、豊かにしてくれます。
 
天然灰を使った灰粉引の柔らかい色。大分の山里の暮らしの中で、自然を受け入れる謙虚さと、納得がいくまで試行錯誤をし続ける、高い精神を持った三笘さんだからこそ作り出せた色なのです。三笘さんの器からは自然の一部を器に見るような、そんな感じがあります。
 
汲み出し
 
湯呑み
 
決して高価なお茶道具ではなく、日常の器であるのに、一つの器を眺めているだけで、静かな世界が広がるような気持ちがするのです。
 
一杯のお茶を飲むのにも、誰かに淹れてあげるにも、口の辺りを優しく、形の美しいものにしてあげるだけで、そのひと口から多くのメッセージが器から届くように思います。
 
自己主張をせず、使う人を思う静かな器からは温もりを感じます。
 
お茶一杯をもっと大切にしていけば、家の中も、そして世界も少しだけ住みやすい場所になるような気がします。
 
三笘さんの灰粉引の器は使うイメージがすぐできるものばかりです。

深小皿
大きさも取り皿としてちょうどよく、汁気の多いものにも重宝しそうです。
 
銅羅鉢
個性的な形が食卓を華やかに。お花を浮かべても美しいです。
 

高台浅鉢
煮物をたっぷり盛りつけたり、季節の和菓子をお出しするのにもいいですね。
 
どんなお料理をのせようか、想像が膨らみます。人が集まるお祝いのテーブルに、華やかに御馳走を盛り付けるのにももちろんぴったりですが、家族の人数分のおかずをひとつのお皿にディスプレーするように盛り付けても素敵でしょうね。
 
三笘さんの器は食いしん坊のための器。
 
決して食器棚の奥に眠ることのない、働きものの器になります。三笘さん自身が、きっと日々の暮らしの中で美しさや幸せを感じる方なのだと思います。竹の子ご飯をよそったり、大皿にたっぷりの枝豆を盛りつけたり、この灰粉引の自然の色合いに、食材がよく映えます。
 
三笘さんのお話を伺っていて思うのは、生活に占める自然のバランスがとてもよいところ。街の暮らしのよさを知っていながら、そこにある矛盾に自らしっかりと距離を持っているところ。自然に身を置きながら、鋭いデザイナーの感覚を持っているところ。現代の空気を切り取りながら、しかしデザインや色のみが独り歩きするのではなく、地に足がついた充足した生活の豊かさを器を通して見せてくれるのです。
 
 
小さなお湯呑みから銅羅鉢まで、心惹かれる雰囲気をそれぞれが持っています。三笘さんの作品は、たくさんものが溢れている中でも、すぐに見つけることができます。一見なんでもない顔をして、ものすごいもの。ものすごく美しいのに、それを日常の姿としてさらりと出すところ。

日々の生活で使っていても飽きるということがありません
。一体、三笘さんの器にはどんな創作の秘密があるのだろう? もう少し世の中が落ち着いたら、大分県日田の自然豊かな三笘さんの工房を訪ねてみたいと思っています。
 

灰粉引平碗 径約14.5センチ 高さ約4.5センチ 4,400円(税込)
灰粉引汲み出し 径約7.5センチ 高さ約6センチ 3,300円(税込)
灰粉引湯呑み 径約8.5センチ 高さ約6.5センチ 4,400円(税込)
灰粉引深小皿 径約12.5センチ 高さ3センチ 3,850円(税込)
銅羅鉢 径約21センチ 高さ約4.5センチ 9,900円(税込)
高台浅鉢 径約21センチ 高さ約6.5センチ 8,800円(税込)


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