作家さんの片口とのよい関係

今日のひとしな
2020.05.19

~ 「岡の」より vol.19 ~

作家さんのアトリエに伺うと、ついつい片口の器を手に取ってしまいます。円形の器から、流れができ、先の方できゅっとくちばしがある姿。気になるのです。
 

崔在皓(チェ ジェホ) 片口
 
艸田正樹 酒器(左)『砂丘の向こうに』、片口(右)『やわらかな方位』
 
竹花正弘 片口
 
一つの方向に向かう流線が何とも美しく、アクセントにもなり、器の面白みを増しているように思うのです。片口は肉じゃがや大根の煮物など、ちょっと汁気があるものを取り分けて使う、用の美ですが、汁物であるなしに関係なく、この形を純粋に楽しみ、鉢やお皿のように使っていただきたいです。

 
チェ ジェホさんのこちらの器にはたっぷりお野菜を入れて(ドレッシングは艸田さんの器)。お野菜の緑色が白い器によく映えます。目に美しく、お野菜の味が濃く感じるような気がします。
 
 
伸びやかで勢いのある線。白のみで勝負をしているチェさんだからこその、ラインの強さと美しさを存分に楽しめる器です。
 
 
透明な艸田正樹さんの器は、食材の色そのものを楽しめます。透明な器によそうことで、光がそこに集まり色彩が鮮やかになります。湿度が高い日本の夏に、目にも涼やかな爽やかさもあります。食卓にある透け感。一つあると華やぎがあり、重宝します。
 
 
竹花正弘さんの器は小鉢としても万能です。温もりを感じる白は竹花さんならではです。唐津の作家、竹花さんの作られるものは育てて楽しむ器です。使うほどに柔らかくなる肌合い。表情の出てくる器は長くお楽しみいただけると思います。お料理以外にもお酒を入れたり、暑くなってきたら、お蕎麦やそうめんなどのおつゆを入れたりするのも素敵です。
 
そして、片口の楽しみはもう一つ。その造形ならではのお楽しみ。
 
お花をそっと挿しておくだけで、とても絵になるのです。新緑の季節、艸田正樹さんのガラスが美しく緑を映し出してくれます。
 
 
しっかりとした花瓶に生けるほどではない、ベランダに咲いたお花をちょっと一本食卓へ。肩の力を抜いて、楽しむことができます。そっと片口に水を張って、お部屋にひと花を飾るだけで、何とも愛らしい穏やかな空間が生まれるのです。立派な花瓶や壺に生けるにはこちらもそれなりの気持ちの準備があり、それを飾る空間も必要になりますが、食器として作られた片口であれば、一輪の花、緑の美しい枝一本を、気取らず、器の流れに沿うように縁に寄りかけるように生けることができます。
 
 
チェさんの器に今朝咲いたばかりのお花を集めて。料理の器として食卓にある時とは全く違う表情。お花を生けることで、器の形がよりいっそう引き立ち、片口のアクセントが際立ちます。
 
 
駐車場の片隅から少し頂いたお花を竹花さんの器にそっと生ける。可憐な姿にうっとりします。お花も器に寄り添う姿がとても自然で、ありのまま、という感じがして心和む美しさが生まれます。
 
最後にご紹介したいのは、三笘修さんの茶海。
 
 
中国茶に使われる、これぞ用の美。急須(茶壺)から一旦お茶を預け、濃度、温度を均等にし、飲杯に注ぐ。三笘さんの器の美しさ。口の部分のくちばしのような形のユニークさと、朧(おぼろ)な青い釉薬のグラデーション。片口でなく、円形だったら……。やはり、この引きつけるような味わいは生まれなかったかもしれません。

お茶の時間、この器を出してほっと一息。しばし眺めているだけで、心の安らぎを感じそうです。
料理にお花に、そしてお茶に。お気に入りの片口。どうぞ見つけてみてください。
 
 
 
崔在皓(チェ ジェホ)
片口(大)径 約20.5×21.5㎝ 高さ7.5㎝ ¥13,200(税込)
(中)径 約19×18㎝    高さ7.5㎝ ¥8,800(税込)
 
艸田正樹
片口『やわらかな方位』 径 約16×14㎝ 高さ5.5㎝ ¥6,600(税込)
片口・酒器『砂丘の向こうに』 径 約11×7㎝ 高さ8.2㎝ ¥6,600(税込)
 
竹花正弘
片口 径 約13×11㎝ 高さ7㎝ ¥4,400(税込)
 
三笘修
茶海 径 約9×8㎝ 高さ8.3㎝ ¥7,700(税込)
 

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