【ナチュラルガーデン】『西の魔女が死んだ』に憧れて(中編)
※Come home! webに掲載された記事を転載しています
知らぬまに育つ雑草やさびていくスコップ、 どこからやってくる鳥や虫たち ...... 。そんな【ナチュラルガーデン】が育むありのままの姿は、美しさや安心感、そして生活に豊かさをもたらしてくれるももの。ここでは、そんな“庭がくれる暮らしの喜び”をテーマに記事をお届けします。前回に続き、映画『西の魔女が死んだ』のおばあちゃんの家を目指す、井上さんの庭づくりです。
この記事は、Come home! vol.67より抜粋しています。
「変化を前もって知ることは
私からサプライズの楽しみを奪います」
というおばあちゃんの台詞が好き
日々の思いがけない発見こそ
庭がくれる何よりの喜びです
〈井上由貴さん〉
シンボルツリーはミモザ。カーポートの上にはいつの間にやら鳥が運んできたノブドウがわさわさと茂っています。
カリンの木には
鳥がよく来るようになりました
春にはピンクの花が咲き、秋には大きな実が。実ははちみつに漬けてのどが痛いときにいただきます。
門柱やスコップなどの
経年変化が楽しみなんです
朝と夕方に少し光がさす程度で、日中は暗め。そのぶん、日陰にも強い植物が生き残っています。
鍬(くわ)や脚立もしまい込まずあえて置き場をつくりません。庭を飾るのではなく、暮らしの一部に溶け込むような雰囲気が好き。
雨ざらしで風合いが増した枕木、 雑多に置いた飛び石が森のイメージにぴったりです。
植栽に選んだのは『西の魔女が死んだ』のおばあちゃんの家の庭に植わっていた素朴な草花や雑木。でも、土が固くて水はけが悪かったり、 日当たりがよくなかったりで、 手をかけても枯れてしまう子もいて。育てやすいといわれるハーブさえ、うまく育たなかったんです。
こぼれ種でふえたり
重なり合って育ったり
自然らしくて好きです
いつの間にか生えていた名前のわからない植物。鳥の落とし物から「何これ?」という植物があちこちに。
『西の魔女が死んだ』の主人公・まいが大切に育てていたヒメワスレナグサ。わが家にもたくさん咲いていて、草取りのときもそっと残しておきます。
私にとって森といえばシダで、いろいろ植えました。これは春に食べるクサソテツ。
いっぽうでシダ植物やヘビイチゴなど山野草はぐんぐんと成長。果樹も育ちがよく、実がなると鳥も来ます。こぼれ種で雑草も生えました。そうして10年、庭づくりを始めたころと植物はずいぶん変わったけれど、今の庭には満足。大切なのは自分なりに楽しむことだっていう考え方も、この庭が教えてくれました。
庭での楽しみは木もれ日を眺めること。同じように見えても、影の出方や葉の揺れ方が日によって全然違うんです。 植物も毎日観察していると、 つぼみがついたとか、同じ植物でも一つひとつ葉の色が違うとか、小さな発見があります。なにげないことだけど、そんな驚きに出会えると気分が上がるし、なんだかおばあちゃんに近づけたような気もして、うれしく感じます 。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。