北欧ヴィンテージ家具で暮らしを豊かに! vol.2 ライティング

Comehome!
2025.02.11

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


〈北の椅子と〉よりvol.2 ライティング


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店の売り場の一角。

 

こんにちは。北の椅子と服部です。大好きなデンマークヴィンテージチェアについて書かせてもらった後、次回は何にしようと考えていると、お客様から「部屋の雰囲気を変えるには家具を全部変えないとダメですか?」と問われて、今回のテーマを決めました。

そう、このような質問、ほんとうによく聞きます。思い切ってこどもの筆箱の中身を一新しよう!と思い切ることはできても、部屋の家具を全部変えるなんて、そんなことできません。そして、循環を大切に思う私たちの店としては、今ある家具はどうなるかの方が気になってしまったりします。ですので、そう聞いてくださるお客様には「まず灯りを変えてみるのはいかがでしょう」と答えることが多いです。部屋の中のスペース割り付けを変えたり、壁色・壁紙を変えたり、家具を変えずに部屋の雰囲気をがらりと変えられることはいろいろありますが、部屋の明るさを変えてみることは、案外と手軽にできるけれども、思いつかないことではないかと思います。

 よく言われるように、北欧の人はとても灯りの使い方が上手だと思います。買い付け先で、友人の家に招かれると、陽が沈んでも電気をつけない。ほの暗い部屋の中で陽の残光を楽しんで、やっと灯をつける。けれどもまだ、部屋の隅々には影があって、灯された明かりの届く範囲が浮かび上がる感じ。初めての時は、本当にびっくりしました。話に夢中で灯りをつけにいかないのか、ただ面倒くさくて立ち上がらないのかと思ったくらい。でも、彼だけでなく、他の家に招かれてもそんな風。そして、それはホテルでも。10年前にはコペンハーゲンに泊まることも多かったけれど、もうしばらくこの頃は私たちが泊まるところといえばカントリーサイドの価格も安めなホテル、もしくは農家の2階。都会から離れたそんなところでも、やっぱり部屋の明るさは、日本で蛍光灯の下にいることのない私でさえ暗く感じます。そして、冬のホテルの朝食はまだ外は真っ暗。そんな中、灯されるのはテーブルキャンドル。

 友人に、いつもこんなに暗いのかと問うと、会社の中や学校や病院は明るいけど、家の中はそんなに明るかったら落ち着かないって。確かに。家はほっとする場所。柔らかい光の中に入れる方が心落ち着くのは、言われるまでもない。そして家具のディーラーにはこう言われました。「明るいとライトの良さはわからないんだ」って。それ、また確かに。ほの暗い中にライトが照らす灯りが落ちて、そのライトのデザインも輪郭をもって見えてきます。

デンマーク照明でいえばあの有名なルイスポールセンのPH5も光だけでなく影がどうできるかを考え抜かれた照明と聞きます。明るく照らすだけが照明ではない。どこに光を当てて、どこに影をつくるのか思いながら照明を選ぶと、きっと部屋の雰囲気はガラリと変わり、もしかすると、その灯りの下で過ごす時間が心地よいものになるかもしれません。

もうずいぶん前のことだけれども、コペンハーゲンでは夜の散歩が好きでした。なぜなら、街の中のアパルトマンで、すぐそばに人が歩くようなところでもカーテンが引かれている窓はなく、家の中が丸見えだったから。留守の部屋にも窓辺の灯りが照らされていることが多くて、ほんのり部屋の中かが見える。どの部屋も隅々が見えるわけではないけれど、見えることが意識された部屋だと感じたことと、吊るされる照明、壁から灯る照明、そしてデスクやフロアライト、その多様な灯りに魅了されていたことを、これを書きながら思い出しました。



デンマークヴィンテージペンダントライト。製造:1970年代デンマーク シェード部分材質:ブラスとアイアン メーカー:不明

 

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