北欧ヴィンテージ家具で暮らしを豊かに! vol.4 ダイニングテーブル

Comehome!
2025.02.13

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


〈北の椅子と〉よりvol.4 ダイニングテーブル


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こんにちは。北の椅子との服部です。小さな頃、日曜日の朝刊に挟まる住宅販売のチラシでよく遊びました。こんな話をすると、私の周りには結構同じように遊んだ人がいて、今の仕事が建築士設計士だったり、インテリアコーディネーターだったり、ランドスケープデザイナーだったり、造園業をされていたりする方が多いようで、なるほどと思います。

住宅販売のチラシの間取り図を見て、ここは子ども部屋にしようとか、おばあちゃんはここでとか、部屋を割り当てたり、家具の配置を考えて絵を書き込んだり、果てはこのトイレがこっちにあったらこうなれるのにとか、この壁はない方がいいよねとか、勝手に間取り変更。その中でままごと的に空想の家族が行き交うのですが、どちらかというとそのままごとの部分よりも、部屋のなかを空想する方が楽しかったのを思い出します。


その中で、よく悩んでいたのが、ダイニングテーブルのサイズとソファーのサイズ。私がそんなチラシで遊んでいたのは80年代。住宅供給の都市部集中と、マンションブーム。尚且つ、あれもこれも盛り込みたい欲求が住宅の中にも溢れていて、マンションの中にカウンターキッチンが出てきて、キッチンからリビングまでがひと続きになっていった時代です。そのひと続きの空間をどのように仕切り展開していくかについて、今店頭でお話しさせていただくお客様と同じように、悩んだものです。

ソファーのサイズについては、デンマークヴィンテージでは1人掛け、もしくは3人4人掛けとなっており、私のおすすめはひとり掛けをそれぞれにと思っていて、それはみなさんに当てはまることでもないかと思うので、また別の機会に。今回はデンマークダイニングテーブルについてご紹介しながら、食卓について考えたいと思います。

デンマークのダイニングテーブルの主流は長方形、そして次に多いのが円卓(丸テーブル)です。そして、どのダイニングテーブルにもエクステンション(延長)機能があり、普段は4人で囲むテーブルが延ばせば6人、8人10人で囲めるように大きくしていくことができます。


長方形は天板の下に左右に分かれる延長天板が入っているものが多く、片側だけ引き出すことも、両側引き出すこともできます。


デンマークヴィンテージラウンドダイニングテーブル
生産:1960年代 デンマーク 
木部材質:天板チーク厚突板 脚チーク無垢
サイズ:直径1150㎜×高さ730㎜(エクステンション用天板中板幅500㎜)
286,000円(税込)

 


円卓は延長天板を別の場所においておく必要はありますが、普段は丸だった天板を左右に引いて、真ん中に延長天板を1枚もしくは2枚(物によっては3枚のものも)載せ、楕円の形で大きくしていきます。

デンマークの友人のお家へ行けばダイニングテーブルに何時間でも座って、話が続きます。家族のことに始まり、食事のことや、バケーションの過ごし方、政治に至るまで。そういえば、デンマークだけでなく北欧の人々にとって政治はとても身近にあります。

本来そうあるべきだなぁと思うのですが、日本ではまだまだ政治も国会も、県議会でさえ遠い。ニュースの中の世界のように映ります。でも、あるデンマーク人での夕食での話では、そこの郵便局のおばちゃんが議員だよ、とか、隣のアパートの大学生のお兄ちゃんが議員だよ、とかという話。俄には信じ難かったので調べてみたら、デンマークでは職業としての議員はなく、何か違う職業(学業)がありながら議員をするシステム。まるでそれぞれの代表みたいな感じ。それは身近な感覚になるなぁと。そしてとても積極的に政治に参加し、ダイニングテーブルを囲めば、政治の話にもなるようです。

と、ダイイングテーブルに話を戻ってきたところで、小さな頃の間取り図遊びの頃から、私はずっと丸テーブルに憧れがありました。接客をしているとどうやらその思いは多数派のようで、丸テーブルに憧れて当店にたどり着いてくださった方が少なからずいます。丸テーブルはそれぞれに顔を合わせて食事ができることが、何よりよいですよね!

けれど、丸テーブルを求めてくださるお客様に間取りを見せていただいたら、入らない。そんなこともしばしば。長方形テーブルに比べて、どこも壁につけられず、四方に椅子をひく丸テーブルは余分なスペースが大きく必要です。また、丸テーブルの見た目への憧れと、効率の良い動線は両立が難しいのですが、そのように願望と重要視していることがチグハグで家具が選びにくくなっていることもよくある事。 そこで、よく言われるのが、テーブルの直径を小さくしたらスペースも小さくできるのではと考えます。なぜデンマークヴィンテージでは120cm直径が主流か。それは、隣の人との距離が適切だということが、4人のお客様でテーブルを囲むとわかります。テーブル上にそれぞれプレートとカトラリーとグラス、真ん中に取り分けるものを乗せるとその大きさが必要になり、さらには、椅子4脚を入れれば、付き合わせると結局その広さ必要最小になるのです。


そこで、再度考えます。何が一番大切か。限られたスペースの中の配置、丸テーブルの優しい見た目と、丸いテーブルを囲むというその雰囲気そのものを大切に思う場合、私はゆったりスペースをダイニングにとり、ソファーは置かないもしくは、ひとり掛けのリビングコーナーにまとめる方法をご提案するようにしています。ダイニングテーブルとチェアにこだわり、食後もこのテーブルを囲んで過ごしたいと思えるような家具選び、空間作りを目指します。

一方で、やはり縦長間取りが多い日本のマンションのリビングダイニングではすっきりと収まるのは長方形のテーブル。デンマークヴィンテージでも一番数が多いのは長方形テーブル。その表情はさまざまで、天板が舟形だったり、小口が分厚かったり薄かったり、足が丸だったり角だったり。ちょっとした足幅の違いでお隣の席の人とぶつかったり、椅子が入らなくなったり。長方形と決めても、顔さまざま。空間利用が効率的でありながら、かわいいテーブルは実現できると思います。

ダイニングテーブルこそ、一度決めると、長い間暮らしに寄り添うもの。家族が始まる時に求めたものは、その後の暮らしの変化とともに時を過ごします。初めは二人だった家族が、囲む人数がだんだん多くなって、また、二人になるけれど、時々大勢。そんな用途のうつり代わりを見据えた、包容力あるテーブルだから、デンマークヴィンテージをお勧めしたい。嬉しいことも、悲しいことも、悩ましいことも、清々しいことも。ずっと一緒に過ごしていけるテーブルってどんなテーブルでしょう。

 

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