変動金利と固定金利、その差約1600万円!?住宅ローンの種類と選び方をFPに教えてもらいました

特集:世帯年収900万夫婦のマイホーム計画
2024.07.25

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


「マイホームを建てたい!」。そう決意したら、さっそく次のステップへ。でも、何からスタートしたらいい? 誰に相談すべき? など、分からないことばかりですよね。やることが多い家づくりをスムーズに進めるためには、前もってある程度の知識を蓄えておくことが大切です。そこで、家づくりをはじめるにあたり、最低限知っておきたい基本をご紹介。マイホームを計画し始めたある家族とともに、その流れを確認していきましょう!


 

この物語の主人公は東京に暮らすOさん家族

都内下町エリアの賃貸マンションに暮らす4人家族。「いつかはマイホームを」と頭にはありつつも、仕事や子育てなどで落ち着いて考える余裕がなく、時間だけが過ぎていきました。けれど、2人目の誕生を機に、いよいよ本格的に家づくりが始動!

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これまでのやりとりのなかで、たくさん登場してきた用語が「住宅ローン」。当たり前のようによく聞くワードですが、Oさん夫婦は知っているようでよく分かっていない…。そこで、FP・内田さんに住宅ローンについて詳しく教えてもらいました。

 

住宅ローンの種類は主に3つ


内田さん:住宅ローンとは、主に住宅の取得、建築の際に利用できる「ローン」のことです。住宅は大きなお買い物。取得時だけでも数千万のお金が必要になることが多いため、多くの方に利用されています。


パパ:そこまではなんとなく想像ついてました。


内田さん:具体的な説明の前に、まず重要なことをご説明します。


パパ:重要なこと…? な、なんですか?


内田さん:お金を借りる行為なので賃借料がかかり、「返済」は義務です。借入額を増やすと返済期間も長くなり、もちろん金利負担も増えます。また、金融機関からの審査を受けます。


パパ:なんだ、それくらいわかってますよ、先生。


内田さん:当たり前のことなんですけど、「借りられる額」と「返せる額」は違うんです。なので、何度も言うようですが、無理なく返せることが大切、です。


パパ:はい、わかりました!


内田さん:では、まず住宅ローンの特徴です。借入金額が大きく、返済期間が長いです。金融機関によっては長いと50年というのもあります。そして、担保が必要になるのですが、担保はわかりますか?


パパ:連帯保証人みたいなやつですよね?


内田さん:一般的には住宅ローンの場合は保証会社が入ります。ここで言う担保とは、万が一お金を借りた人が返済を行わなくなった場合に、お金を貸し付けた側が被る損害を補うために設けられものです。人による担保と、土地などものによる担保があります。審査では物件の担保価値も見られる場合が多いようですね。最近は金利が低いネット型の住宅ローンもありますが、ネット型の住宅ローンは厳しい傾向です。


パパ:返せなくなると、マイホームや土地を売ってお金にしないといえないってことか…。

 

住宅ローンはどこで借りられる?


内田さん:次に、どこで借りることができるか、ですが、大きく3つあります。銀行やJA、信用金庫、労働金庫などの金融機関、ハウスメーカーなどが提供しているノンバンク、財形住宅融資や自治体融資の公的融資です。


パパ:ほー、そんなにあるんですね。ということはいくつか見積もりをとったほうがいいってことですよね?


内田さん:そうですね。少なくとも2~3社はとったほうがいいと思います。
次に、ローン利用の流れです。
①申し込み先を検討する
②申し込み
③事前(仮)審査
④本審査
⑤契約
⑥融資実行
です。住宅ローン申込時には、申し込み関係書類と申し込み本人関係書類、物件確認書類が必要になります。


パパ:審査されるのか、やましいことはないけど、なんかドキドキだな。


内田さん:事前審査は、一般的には借入を行うご本人の年齢や勤続年数、年収、そして、その他のローンやクレジットカードの支払い状況、返済負担率、安定した収入があり完済まで返済を続けていけるかなどを見られる場合が多いようですよ。

 

金利のタイプは3種類


パパ:なるほど、よくわかりました。
あと、住宅ローンと言えば「フラット35」というのが頭に浮かぶんですが、これは35年間一定の金利で支払いつづけるローンですよね? ほかにも種類はありますか?

◆全期間固定金利型


内田さん:はい、金利タイプには、大きく3つあります。
1つは「全期間固定金利型」。こちらが「フラット35」のように借入期間中ずっと金利が変わらないものになりますが、銀行によっては所定の期間(10年間が一般的)経過後に金利が引き上げられる段階金利のものもあります。ただ、共通するのは金利が決まっているので、返済が見通しやすいというメリットがあります。世の中の金利が今後上がっていきそうだな、というときに選ぶと有利になりやすいです。


◆固定金利期間選択型


内田さん:2つ目が「固定金利期間選択型」。固定金利ですが、期間限定というのが特徴です。取り扱う銀行は多いですが、金利が固定される期間は2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年、25年など様々です。金利の固定期間が短いほど、金利は低くなる傾向はあります。固定金利型選択後は、原則固定金利期間中に他の金利タイプに切り替えることはできません。


◆変動金利型


内田さん:3つ目は「変動金利型」。借入期間中、金利が変わるものです。今は低金利で魅力的に見えますが、約束されている金利は半年だけ。世の中の金利が上昇に合わせて上がっていきます。「変動金利型」を選んだあとも固定金利に切り替えることはできますが、その際は金融機関によって所定の手数料がかかります。


パパ:「変動金利型」がお得そうに聞こえるな~。 


内田さん:例えば、今「フラット35」だと金利1.760%(2023年6月時点)で団信に加入すると0.2%金利が上乗せされ、計1.960%となります。変動金利の最安値ですと、約0.4%なので、1%以上金利に差が生まれます。5000万円を35年借入した場合、固定金利(約2%)ですと毎月返済額は約165,631円、利息分約1,950万円。変動金利(0.4%)ですと毎月返済額127,595円、利息分約359万円。その差1591万円です。 


ママ:1591万円! それは大きい。よし決めた! 


パパ:いや、待って、待って! もうちょい慎重に考えよう。 


内田さん:最近は「全期間固定金利型」と「変動金利型」の金利差が開いてきているので「変動金利型」を選ばれる方は増えているようですが、背景にはこのところの金利上昇があります。変動金利型も今後上昇する可能性も十分あります。
そうなると、将来のお金の見通しを立てられる固定金利がいい面もあります。例えば、今お子さんが1歳と6歳ですよね? ライフイベントで特に教育費は大きな支出を伴うため、お子さんの教育費がピークを迎える10~15年先までは固定金利を選び、そこからお金に余裕が生まれるので、変動金利に変えるという選択もあります。


パパ:なるほど。勉強になりました!

illustration:シホ

 

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Profile

FPオフィスツクル代表  内田英子さん

ファイナンシャルプランナー。CFP、FP1級、消費生活アドバイザー、消費生活相談員、住宅ローンアドバイザー。教育費から保険、住宅、資産形成、キャリア、相続まで幅広い視点で家計を診る家計の総合医。証券会社・保険ショップ勤務、専業主婦を経てひとり起業。ライフワークは金融教育。ライフプランシミュレーションを駆使した、心を埋もれさせないファイナンシャルプランニングが強み。
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