24坪のスペースをムダなく生かすプロの間取りご紹介。コストを抑える方法も!

特集:世帯年収900万夫婦のマイホーム計画
2024.08.21

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


家づくりにおいて楽しみのひとつなのが間取り計画。自分たちの希望に合わせて配置を考えられるのは注文住宅ならではのよさです。でも、採光や風の通りなども計算しておかないと、暗くて、湿気がこもりやすい家になってしまったり、逆に採光や風の通りを重視しすぎて配置を考えると動線が悪くなって掃除や洗濯が大変になってしまったりする場合も。それなら、最初からプロの方に頼んだほうがいいもの? そんな間取り計画について、「オレンジハウス」の船水さんに教えてもらいました。

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土地が決まり、次は間取り計画!


ママ:ついに土地決めちゃったね。


パパ:うん、ようやく実感がわいてきた。次は、間取りをどうするかだね。


ママ:私、前から考えてた理想があるの。


パパ:へー、見せてみて。


ママ:でも、プロの方に見せるのは恥ずかしいな。素人考えだから、重要なこととか見逃していたらまずいし…。 


船水さん:いえ、私もフォローしますので大丈夫です。それに、希望を伝えてもらったほうが考えを共有しやすいので、私もありがたいです。


ママ:そうですか、分かりました。こんな感じです。


庭の植栽をみながら、料理を作ったり、ご飯を食べたり、リラックスできたりしたいので、庭がある大きな窓に向かってLDKを考えました。2階は寝るスぺースにして、基本は1階ですごせるように、LDKをうんと広くしてみました。玄関とか、廊下もなくていいかなって。


パパ:2階建てか。平屋がいいなと思ったんだけど、これはこれでいいかもな。


船水さん:とても素敵ですね。だいたい24坪くらいのお家で想定されているようですね。実際の建築となると調整しなければならないところは多々ありますが、私もイメージがつかめました。いただいた間取りをもとに私からもいくつかご提案があります。

 

提案① 1階の廊下


階段に上がるための廊下がデッドスペースになっているかなと思いました。面積が限られているため、ここはもう少し工夫できそうです。

 

提案② トイレ、サニタリー、個室の開き戸


船水さん:リビングのソファー背面に開き戸が集中しているので、 少々窮屈な印象を受けました。また、2階のトイレや個室の開き戸も同様に、扉が集中しており、お互いの出入りに干渉し てしまいそうでしたので、その点が気になりました。

 

提案③ 2階の手洗い場


船水さん:2階の手洗い場 コスト優先で検討する場合、2階トイレを付けるのであれば、トイレ内部の小さな洗面に変更して、独立洗面でなくてもいい様に思います。 一旦今回は独立洗面の状態で検討しますね。


ママ:たしかに! さすがプロの視点はすごいわ。開き戸のことまで考えてなかったわ。

 

プロが考えると、こんな間取りになる!


船水さん:上記の提案を踏まえて、以下のような間取りを考えてました。7.28m×5.46mのサイズで、1階・2階ともに12坪で、24坪の構成です。イメージをなるべく崩さない範囲で考えてみましたので、よろしければご参考にしてください。まずは1階からです。

SIC(シューズクローク)は広く取れるように移動しています。2畳の大きさが取れるので容量は十分確保できます。参考間取りでも玄関ホールを区切っていなかったので、一旦仕切りの無いイメージで作っています。LDKは全体で12畳ですが、玄関と玄関ホールの見える範囲すべて含めると14畳の大きさになり、仕切りが無い方が開放感を得ることが出来ます。

キッチンは作業用の広さがI型キッチンだと確保できないので、L形に変更しています。食器棚単独での確保が難しかったため、備え付けのカウンター内部に収納を設けるイメージです。

洗面脱衣室は3畳の大きさです。洗面の横幅が確保できるので洗面ボウルと作業台を個別に確保。また、室内が広い為天井付けのアイアンバーで室内干しに対応可能です。予算を抑えるなら、ボックス階段を採用すると良いと思いますが、2階からの採光やリビングの開放感を優先する場合は、鉄骨のスケルトン階段がお勧めです。

次に2階です。一旦すべての部屋を均等に作っています。スペースを節約するなら2階の独立洗面は中止、トイレ内部に備え付けの手洗い器の方が良いと思います。4.5畳の子供部屋は連結するように作る事も可能です。

 

コスト削減の観点では


船水さん:外形の凹凸の少ないプランはコスト削減につながるのでとても良いと思いました。切り妻屋根・片流れ屋根等、屋根の形状によっては費用が増減すると思いますが、片流れ屋根にして樋を一方向にまとめられると費用を抑えることが出来ます。軒については好みが分かれるところですが、ない方がコスト減になります。水回りも本当は1階にすべてまとめた方が良いですが、使い方次第ですかね。

 

配管スペースは配慮が必要


船水さん:今回の修正プランの弱点としては2階トイレのPS(配管スペース)がとりづらいので外部配管で露出させるか、テレビボード横に収納兼PSを作るかしないといけないです。住宅部分の大きさがあまりとれない場合、廊下の長さをなるべく短くするような配置が有効だと思います。

 

2階リビングにすると採光がよく
外からの視線も避けやすく!


船水さん:延べ床面積で24坪ですと建蔽率40%、容積率80%で計算すると約30坪程度の敷地ですので、敷地面積がそこまで大きくない場合は2階リビングに思い切ってするのもありだと思います。住宅が密接している敷地状況ではその方が採光をとれたり、目線を避けられる効果が期待できます。


ママ:なんか感動した。


パパ:ほんとそう。屋根の形状なんて考えてなかった。コストにも関わるから結構重要じゃない? それによって部屋の広さや位置も変わりそうだし。


船水さん:いえいえ。また、事例を3軒ご紹介しますので、こちらもご参考にしてください。

 

case1 住みながら手を加えて楽しむ家【Kさま邸】


車・スノボ・スケボーなど多趣味な旦那さまを中心に家づくりを進められたKさま邸。お子さまの成長で手がかからなくなるにつれ、“自分の好きな家で暮らしたい”という思いが強くなっていきました。最初はガレージ付きの平屋を想定されていて、個室が必要な部分のみ一部2階建てに。バーベキューや作業ができるよう、リビングとガレージの南側に十分なスペースをとり、庭と一体で楽しめるような設計にしました。

家族構成:夫婦+子ども2人
間取り:3LDK+ガレージ
敷地面積:215.85㎡
延床面積:102.46㎡
竣工:2019年
構造:在来工法

 

case2 テラスとガレージのある上質インテリアの家


もともと中庭を設けるようなイメージを希望されていましたが、条件的に難しかったため、開放感を感じられるよう、高天井やテラスへの大開口、リビングの造作ベンチから見える景色など検討を重ねプランニング。建物の中心に階段と吹き抜けを設けて、2階テラスからたくさん光が落ちるような空間を実現しました。ガレージから土間続きで設けたひと部屋は奥さまが将来的に自宅サロンとしても使用できるように計画しています。

家族構成:夫婦+子ども1人
間取り:3LDK+ガレージ
敷地面積:112.83㎡
延床面積:126.87㎡
竣工:2020年
構造:在来工法

 

case3 猫と暮らす、職住一体の家【Iさま邸】


愛猫たちとの暮らしを楽しまれていたIさまご夫婦の住まいです。クリエイターという職業から、アトリエ兼住居を希望されていました。1階のキッチンはゆったり広めの独立型で、ガレージに直接入れる動線になっています。R開口で空間をつなげて、景色を楽しみながら食事ができるよう、窓際にダイニングを配置。2階は水まわりとカーテンやパーテーションでゆるやかに間仕切ることのできるワンフロアです。仕事場を一番広くとり、母屋下がりのスペースはおこもり感のある寝室と畳敷の休憩コーナーに。

家族構成:夫婦+猫2匹
間取り:1LDK+ガレージ
敷地面積:82.77㎡
延床面積:98.02㎡
竣工:2022年
構造:在来工法


illustration:シホ

 

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