高さを押さえて軽やかに生まれ変わった横長シェルフ

令和の家具事典
2024.05.22

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


ICCA(イッカ)」が取り扱う家具は、材質や造り、デザイン、様々な視点から選りすぐった大正時代の逸品たち。そこには、当時の名もなき名人たちの美意識や思いやりが詰まっています。

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No.21
「端正な横長シェルフ」

 

上下2段の棚を1段に作り変える


この横長のシェルフは、もともとは上下2段の飾り棚でした。
大きな家具は圧巻の存在感がありそれはそれで素晴らしい。
しかし、ICCAのお客様には、高さを抑えた軽やかな家具をお探しの方が多い傾向がありましたので、あえて上下を別にして、2つの家具として製作し直しました。

この端正な横長のシェルフは上段になります。

別に分けたとしてもICCAでは、ただ何もせず2つに分けて販売する、という方法はとりません。それぞれそのサイズの家具としてもう一度見立てを行い、仕上げます。

この横長のシェルフの場合は、大きく3つのリメイクを行っています。

まず1つは、ガラス戸があまり地面から近すぎると、脚が当たるなどして破損のリスクが高まりますので、袴を入れて高さを加えています。

そして2つ目、天板の板の厚みが、なにかものを置いた時に心もとない、また、見た目もそれほど美しくないことから、1枚厚めの天板を入れています。

3つ目は、腰高サイズになったことで、天板にものを置くという活用方法が生まれましたので、その機能を維持するための強度を高めています。天板に重量をかけると、そのたわみによって引き戸の開閉がしにくくなる、場合によっては開け閉めができなくなることがあります。

底板と天面をつなぐように支柱をいれることによって、そのたわみを抑え、機能を維持する強度の強化を行いました。

これらの手間をかけたことによって、腰高のシェルフとしての機能性と安全性がぐっと高まりました。

 

ときには大胆にデザインを変えて


基本的に、ICCAは家具が製作された時代、当時の造り手たちが研鑽した意匠や構造に対して敬意を持っています。できる限り尊重した上で、リメイクを行うことが、手をかける際に気をつけていること。

ただ、ときに、その家具の魅力を最大限に引き出すため、大胆にデザインを変えてしまう、ということもあります。このシェルフはまさに、大胆にデザイン変更を行った家具。

実は、上部の支輪部分は、とても個性的な意匠が取り付けられていました。

上下2段の棚としては、バランスが取れた意匠でしたが、上だけ1段にしたとき、主張が強すぎる。そのように感じ、より上品にまとまるように、シンプルに。オリジナルの意匠を製作し取り付けています。


フレームが少し丸みを帯びておりますので、新たに取り付けた支輪も袴も同じ曲線を加えることによって、違和感なく調和させて。

デザインを大幅に変えたことによって、よりモダンに、より暮らしに馴染みやすい家具になったはずです。

「端正な横長シェルフ」
SIZE:W173cm×D38.5cm×H96cm
MATERIAL:楢材

 

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