大正時代の最先端技術で作られたグッドデザインの丸テーブル

令和の家具事典
2024.05.25

※Come home! webに掲載された記事を転載しています


ICCA(イッカ)」が取り扱う家具は、材質や造り、デザイン、様々な視点から選りすぐった大正時代の逸品たち。そこには、当時の名もなき名人たちの美意識や思いやりが詰まっています。

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No.24
「帯飾りのエレガントな丸テーブル」

 

大正期のグッドデザイン


大正時代に製作された美しい装飾面たち。

装飾面とは、フレームなどに施された彫り込みの意匠のこと。この時代の装飾面は、西洋のデザインをルーツとしています。イギリスやフランスなどから影響を受けた家具が、多く製作されていますが、面白いことに、それらは進化し、日本独自の装飾面が次々と開発されました。

開発された装飾面はさまざま、共通項は、どれも上品で控えめであるということです。
凛としていてやさしい、そんな表現がしっくりとくるデザインに昇華されています。

この丸テーブルは、帯飾り面取り意匠と呼んでいる、丸みを帯びた縦縞が帯状に連なった意匠が、天板の縁、支柱に大胆に施されています。

手彫りで仕上げたであろうこの装飾面は、微細なゆらぎを帯びて、豪華でありながらもシンプルに、そしてどこか温かみも感じさせる仕上がりになっています。
ここまで贅沢に装飾面がほどこされたアンティーク和家具の数は少なく、大正期を代表するテーブルと言っても過言ではありません。

 

当時最先端の技術であった
ベニヤ板の天板


この丸テーブルの天板はベニヤ板で構成されています。

ベニヤ板(ベニヤ合板)というと、ホームセンターでも手に入るような、簡素な安い板のイメージがありますが、実際には、薄くスライスした板をミルフィーユのように層にして製作した板のことを呼びます。

ホームセンターで販売しているものの多くは、それほど上質な材が使われていないものが多い印象ですが、この時代のものは違います。

上質な材を、あえて薄くスライスしてベニヤ板として製作されているものが多い。
その理由は、無垢材だと木の収縮・膨張が起こりますが、ベニヤ板にすることで、その現象が起こりにくくなるため。

ベニヤ板を活用すれば、木の収縮・膨張を考えて構造を作る必要がありません。
当時では最先端の技術であったため、とりわけ良質な家具にベニヤ板が積極的に使われています。

このテーブルは、楢材のベニヤ板が採用されています。

 

空間のシンボルとして


天板も120cmと広々としたサイズ感。デザインもサイズ感も、とても印象的な家具といえます。

豪華な装飾ですが、均整の取れたシンプルさがありますので、その主張の塩梅が絶妙によい。他の家具ともすんなりと調和してくれる懐の深さを備えています。

空間のインテリアを構成してゆくときに、シンボリックな家具がひとつあると、その雰囲気にひっぱられてインテリアが纏まりやすい。この家具は、まさにそんなシンボリックな家具として機能する力を備えています。

「帯飾りのエレガントな丸テーブル」
SIZE:Φ119cm×H70.2cm
MATERIAL:楢材

 

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