手仕事のおへそ ― 佐々木智子さん vol.1

暮らしのおへそ
2020.11.16

暮らしのすぐ横で手を動かせば
日々のなかから形が生まれ
仕事と暮らしが楽しくつながる。


ミャンマーの布でミニバッグ作りを。本体はミシンで縫うが、最後の仕上げのまつり縫いは手縫いで。こういう細かな作業をしているときが、いちばん楽しいそう。

 

朝起きるとまずは、長男の紡くんと一緒にラジオ体操を。その後、炊きたてのお粥に卵みそを添えて朝ご飯を食べます。9時頃お店に出かけ、夕方6時前には帰宅。週末には、家族で借りている畑へ。

「小学校3年生の息子に生活のペースを自然に合わせるようになりましたね。子どもが生まれる前までは、朝から晩まで仕事のことばかり考えていたけれど、今は力を抜いて過ごすようになりました」

そう語る佐々木さんは、昨年秋に5年ぶりに、アジア雑貨とオリジナル服の店「チョロン」を再開しました。「チョロン」と言えば、東京・銀座や代官山、蔵前にお店があった頃に通った人も多いはず。アジアの生地を使って作られたオリジナルの服や小物は、キッチュでカラフルでありながら、どこか大人っぽく、ポップなのにどこかモダンで……。そんなふたつの魅力を共存させた「チョロンらしさ」が多くの女性たちに愛されていました。

幼い頃から手を動かすことが好きだった佐々木さん。会社勤めをしていた20代の頃、友達と参加したイベントで、作ったものを販売していたら「お店をやってみない?」と声をかけられました。同じ頃、世の中はアジアブームで、ベトナムにひとりで旅を。

「いつも思いついたらすぐに行動しちゃうんです」と笑います。

そこで見たベトナムの文化にすっかり夢中になったそう。

「たとえばアオザイや刺しゅう小物を売る店の奥をのぞくと、そこでミシンをカタカタ鳴らしておばさんが作っているんです。作ることと生活がすぐそばにあるっていいなあと思って」

さっそく現地で仕立て屋さんを探し、自分のデザインしたサンプルと布を持ち込んでオリジナル商品をオーダーしてみました。さらに雑貨を仕入れ、地元札幌で、ベトナム雑貨と手作りの店をオープン。その後、札幌で2号店、東京で3号店と、次々にお店が広がっていきました。3店舗を切り盛りしながら、ベトナムにも部屋を借り、日本と行き来する毎日は、目が回るほど忙しかったそう。


カラフルな織り模様が美しいミャンマーのカチン族の布で作ったミニバッグ。


自宅のリビングで布を裁ってバッグ作り。佐々木さんが着ているブルーのシャツもミャンマーの生地。

子どものペースで暮らす

パワー全開で走り切るより子どもに合わせてゆっくり過ごせば頑張りすぎない自分になれる。

ラジオ体操をする
毎朝長男の紡くんと一緒にベランダに出てNHKラジオを聴きながらラジオ体操を。体を動かすことで脳もすっきり目覚め、肩こり防止にもなる。


朝ご飯は炊きたてお粥と卵みそで
みそに卵とみりんと砂糖少々を加えて作る卵みそは、お粥に添えて食べるのにぴったり。お粥は米から土鍋で炊くとおいしい。


お茶を水筒に詰めて仕事に持っていく
お茶が好きで、一日じゅう紅茶や中国茶を飲んでいる。仕事に行くときは、自分と夫のためにお茶を水筒に詰めて。いつもよく飲んでいるのは、兵庫県の「チャッツワース」のオリジナルミックスティー。水筒は「ヘリオス社」。

→vol.2に続きます

『暮らしのおへそ Vol.30』より
photo:佐々木智子 text:一田憲子


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チョロン

Profile

佐々木智子

Tomoko Sasaki

1997年、北海道札幌で、オリジナルの洋服や雑貨、アジア各国で買いつけた雑貨やアクセサリーなどを扱う店「チョロン」をオープン。東京にも店舗を作ったが、出産を経て2014年に全店閉店。昨年札幌で評判の「庭ビル」内に新たな店を再開した。夫と小学3年生の息子との3人暮らし。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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