内田彩仍さん「家時間」vol.1 長く使い続けるために

「家時間」特集
2020.12.04

少し前に、長年住み慣れたマンションから、小さな一軒家に移り住んだ内田彩仍さん。住まいが変わり、家にいる時間が長くなったことで、ずっと大事にしていた「心地よく暮らす」ということに改めてじっくり向き合いながら見つめ直したのだそう。今週は、そんな日々を綴った本『家時間』から、毎日1話ずつご紹介します。初回の本日は、ずっと使い続けている家具についてのお話です。


今のリビングにある家具は、以前のマンションで使っていたものがほとんどです。住み替えは家具を新調するいい機会ですが、八十歳になっても今と好みが変わらないと確信しているのと、長年使って愛着が増した家具を修理しながら大切に使おうと思っているので、傷んでいるものだけを張り替えることにしました。近所に信頼している家具職人の方がいらっしゃって、よくメンテナンスをお願いするのですが、その方のおかげで家具が蘇るから、また新たな気持ちで使うことができているというのも大きくて、とても感謝しています。

わが家には猫がいるので、椅子やソファは数年経つと、どうしても爪とぎでボロボロに。下地まで響かないうちに張り替えるようにしています。張り替える度に色柄を変えられるのも楽しみのひとつで、今回は、座面の角がボロボロになったヴィンテージスツールのシートを、自分でパッチワークした布地を使って張り直し。また、へたってきたソファの中身を足すなど、これからも長く使い続けられるよう修復をしてもらいました。いつも完成を待ち望んで、出来上がると、もうすでに次はどう張り替えようかとわくわくしています。

カーテンは、いつも麻の布を自分で縫い合わせ、上部にタックを寄せるのだけを、専門店にお願いしていましたが、麻を使っているからか、長年使うと裂けてきて、自分で直すのにも限界がありました。新たに選んだニトリのカーテンは、手頃なのに驚くほど機能的。今回「麻でなくては」という思い込みをやめたことで、新たな物選びができたようで、どんな時も柔軟な心が大切だと感じました。住み替えを機に暮らしをがらりと変えたり、スリム化したり。それもひとつの方法ですが、好きなものを使い続けながら、今のわが家にちょうどいい選択をするほうが、私には合っているようです。



ソファをシックな生地で張り替えて
この家に引っ越す前に光沢のあるグレーの生地で張り替えていたソファ。マンションに置いていた時は少し違和感があったのですが、この家の雰囲気には馴染んで、空間が引き締まって見えます。同じ生地でダイニングチェアも張り替えました。


ベッドサイドのスツールは好きな布を集めて張り替え
十五年ほど前、カメラマンの方と物々交換してわが家にやってきたヴィンテージのファネットスツール。角がボロボロになってきたのでミナ ペルホネンの生地をパッチワークして一枚の布地にしたあと張り替えてもらいました。


窓の大きさに合わせカーテンをセミオーダー
ニトリの遮像レースカーテンは裏が反射するので、一枚でも室内が見えにくい優れもの。同じくニトリの遮熱カーテンを重ねたら夜も透けず、冷気をガードできます。


目隠し用のスツールも好みの生地に
光ファイバーのケーブルを隠すためにベッドサイドに置いているイケアのスツール。下についていた布製の小物入れをミナ ペルホネンの生地で作り替えたらぐんと素敵になりました。


→vol.2に続きます

『家時間』より
photo:大森今日子

←その他の内田彩仍さんの記事はこちらから

Profile

内田彩仍

Ayano Uchida

福岡県在住。夫、愛猫と暮らす。ていねいな暮らしぶりや素敵な着こなしが注目を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』(ともに主婦と生活社刊)などがある。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ