夫を育てるには、失敗とユーモアが大事 ― 「お米農家 やまざき」主宰・山崎宏さん、瑞弥さん Vol.1
まずは、
だしの取り方を
一緒に教わりに
行きました。
だしのおいしさを知ったら
自然に料理が楽しくなったよう。
今や茶碗蒸しが
夫、ヒロシの得意料理です。
鶏肉と野菜の炒め物は、子どもたちも大好きな山﨑家定番のおかず。梅酢に漬けた鶏肉を炒め、ゆでたブロッリー、パプリカを加えてさらに炒めて、塩、こしょうで味を調えただけ。梅酢の効果で鶏肉がふっくらやわらか。さわやかな梅の香りが全体のまとめ役にも。
夕方6時、山﨑家の台所からは、いい香りが漂ってきます。今日の主菜は梅酢に漬けておいた鶏肉と野菜の炒め物。湯気の立つ蒸し器では、ふるふるの茶碗蒸しができ上がりました。この夕飯をすべて作っているのが、夫の宏さんです。
「15年かけて、やっとここまで育ちました」と瑞弥さん。
お米農家のご夫婦。結婚当初の宏さんは何もできない人だったそう。
「仕事から帰ってきたら、出されたご飯食べて、テレビを見て、寝て、また仕事に行く。箱入り息子で家事は一切しない人でしたね」
瑞弥さんは、結婚前はジュエリーを作る仕事をしていた方。空調のきいた室内で、ジュエリーを作っていたのに、いきなり農家の嫁になり、一日じゅう外の日差しにさらされて、バテて体調を壊してしまったそう。さらに、妊娠するとつわりがひどく、ご飯を作ることもできなくなりました。長男の櫂くんが生まれると、買い物にも出かけられません。
まずは、宏さんに庭で育てていたなすやピーマンを採ってきて炒めてもらうところからスタート。
「なすみそ炒めを作って、『おいしいね』とほめると、それが3日も4日も続くんです。『じゃあ、次はこれを作ってみようか?』とひとつずつ誘導して……」と笑います。
だしを取るワークショップに夫婦で参加したのを機に、宏さんの「だし取り熱」が始動。「だしがおいしければ、すべての料理がおいしくなることがわかったみたい」と瑞弥さん。削り器でかつお節を削ったり、市販の削り節を使うことも。茶碗蒸しがあると食卓が贅沢に。
→Vol.2に続きます
photo:有賀 傑 text:一田憲子
『家事のしくみを、整える』より
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Profile
山﨑 宏・瑞弥
宏さんは、江戸時代末期から続く米農家の6代目。瑞弥さんは宏さんと結婚後、茨城県筑波山麓で共に米作りを。長男、長女と4人家族。著書に『お米やま家のまんぷくごはん』(主婦と生活社)。
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