暮らしのなかに循環をつくる ― 料理家・ワタナベマキさん Vol.1
食べ切れる量だけを買い
使い切って掃除を。
暮らしの循環をつくるには
欲張らないことが大事。
1か月に一度、冷蔵庫の野菜室の中身をすべて出し、引き出しをシンクで丸洗いする。野菜かすなどがたまりがちだが、この習慣でいつもきれいな状態をキープできる。残った野菜をチェックするいい機会にもなっている。
ジュワ〜。油を少なめに入れたフライパンの中で、唐揚げがこんがり色づいてきたら、あいたところにかぼちゃとピーマンを投入。
「今日は、揚げ物弁当なんです」と笑うワタナベさん。毎朝7時10分には家を出るという中学生の息子のためにお弁当を作ります。かける時間は15分だけ。「今日は揚げ物」「今日は炒め物」と、調理法はひとつだけに決めているそう。
料理家としての仕事は自宅での撮影がほとんど。家族を送り出したら、掃除をすませて、すぐに準備に取りかからなくてはいけません。だからこそ、朝の時短の工夫は必須。
グラフィックデザイナーを経て料理家になったというワタナベさん。
「若い頃から、段取りだけは得意だったんです。デザイナーをしていたときも、事務所の倉庫の整理をまかされたら大張り切りで」と笑います。
段取り上手になるコツは、すべてを自分の目で見通せる状態にキープしておくこと。仕事柄、毎日大量の食材が必要になり、冷蔵庫の中も満杯になりがち。そこで、1段目は撮影用、2段目は保存食や作ったおかずの残り、3段目は朝に使うもの、と位置を決めているそう。
「何より買いすぎないことがいちばん大事です。魚は週に1回、おいしい魚屋さんが近所に移動販売にきてくれるので、そこで2日分だけ。肉も一度に買うのは2〜3種類だけと決めて冷凍しています」
さらに1か月に一度は、野菜室の引き出しをすべてからにして丸ごと水洗い。この習慣で、庫内の忘れ物もまったくなくなりました。
お弁当の調理法はひとつだけ
揚げ物の日、炒め物の日、蒸し物の日……。その日の調理法をひとつに決めれば道具ひとつででき上がり、片づけもラクチンです。
今日のおかずはすべて揚げ物にする
どんな調理法のときも、卵焼きだけは必ず入れるので、まず最初に卵1個で卵焼きを作り、同じフライパンに油を少量加えて、下味をつけた鶏もも肉に小麦粉をまぶして唐揚げを。揚げている途中でかぼちゃ、ピーマンも一緒に入れて仕上げ、最後に塩をふる。
最初の頃は、サラダやゆで野菜など、いろんな調理法で仕上げたおかずを詰めていたが、手間がかかるので、今はこのスタイルに落ち着いた。ボリュームがあるので、かえって息子も喜ぶそう。
photo:枦木 功 text:一田憲子
『家事のしくみを、整える』より
Amazon / 楽天ブックス
Profile
ワタナベマキ
グラフィックデザイナーを経て、「サルビア給食室」として料理家の活動をスタート。独立後は雑誌やテレビなど活躍の場を広げ、レシピ本も多数出版。今年からオンライン料理教室もオープン。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。